第18回(1997)青龍賞
概要
韓国映画振興と大衆文化発展のために『スポーツ朝鮮』が毎年開催している青龍映画賞の第18回受賞式。1997年は12月12日国立劇場大劇場で開かれました(ミウォン・グループ協賛でMBCテレビを通じて全国に生中継)。
部門は、最優秀作品賞、監督賞、男女主演賞、男女助演賞、撮影賞、脚本賞、技術賞、新人監督賞、新人男優賞、新人女優賞、人気スター賞、韓国映画最高興業賞、特別賞、チョン・ヨンイル映画評論賞、そして今年新設されたシナリオ大賞(脚本賞は、この1年に上映された作品が対象。シナリオ大賞は、新しいシナリオで公募制)など17個。
この賞のちょっと面白い所は、読者の投票も参考にして候補作を決定し、その後の審査結果・審査の進行全過程を新聞で公表するという点。投票できるのは、「最優秀作品賞」「監督賞」「男女主演賞」「男女助演賞」「男女人気スター賞」。対象作品は、96年12月から97年11月現在までに公開された韓国映画。締め切りは11月26日で、当選者発表は11月28日(1等から5等までの豪華賞品)。
|青龍映画賞出品作リスト|
各賞候補作品|
受賞作品/人物|
青龍映画賞候補作上映祭
期間 | 11月29日から12月10日 |
場所 | 東崇アート・センターの東崇ホール 地下鉄4号線ヘファ駅下車徒歩5分。 |
入場料 | 3,000ウォン |
上映作品 | 『ゴースト・ママ』,『ビート』,『接続』,『娼』,『グリーンフィッシュ』 『バッドムービー』,『極道修行 決着(おとしまえ)』 『ナンバー・スリー』,『深い悲しみ』,『愛と悲しみのマリア』,『オクスタン』 『彼は私にチータを知っているかときいた』,『オルガミ 〜罠〜』 『敗者復活戦』,『チェンジ』,『プワゾン』,『モーテルカクタス』 |
お問い合わせ | アートヒル(02-512-8285) |
青龍賞の読者投票は11月26日に終了。各部門別候補(作)は、109,221通の読者投票とパソ通やインターネットを通じた5,000名の投票、および青龍賞候補作選定委員団・各界名士の推薦などを集計して決定。
これらの候補作は、29日から12月10日まで開かれる青龍映画賞候補作上映祭で審査委員団により審査されます。ちろん一般観客の観覧も可。
他に撮影賞・脚本賞・技術賞などがありますが、確認できませんでした。
人気スター賞は、読者投票だけで決まります。男優賞はハン・ソッキュとパク・チュンフン。ハン・ソッキュはここ数年『ドクター・ポン』,『銀杏のベッド』などのヒット作に主演していたのに、実は初受賞。パク・チュンフンは常連さん。
女優賞は、チェ・ジンシルとシン・ウンギョン。チェ・ジンシルは、96年は出演作がなかったため同賞の連続受賞記録が途絶えましたが、今年めでたく復活。シン・ウンギョンは初受賞。去年の事故から『娼』の大ヒットと、華麗な「災い転じて福となす」攻撃ですね。
私の予想は、こんな感じです。
【最優秀作品賞】『接続』
【監督賞】イ・チャンドン
【男優主演賞】ハン・ソッキュ
【女優主演賞】シム・ヘジン
【男優助演賞】イム・チャンジョン
【女優助演賞】チュ・サンミ
【新人監督賞】チャン・ユニョン
【新人男優賞】パク・ヨンウ
【新人女優賞】チョン・ドヨン
勝手な講評
『グリーンフィッシュ』が、最優秀作品賞・監督賞・男優主演賞・技術賞の4つを受賞。1997年の大鐘賞でも主要部門を『接続』と分け合った『グリーンフィッシュ』。1997年上半期の作品中、映画関係者一押しの韓国風ノワール映画で、田舎から都会に出てきた若者がやくざに拾われヒットマンとなるが、最後には報復で殺されてしまうといったストーリー。イ監督は、パク・クァンス監督の『あの島へ行きたい』,『美しき青年 全泰壱』で脚本を担当している。監督中心に映画をご覧になる方は彼の名前を記憶しておくべきか。なお、『グリーンフィッシュ』は監督デビュー作。
男優主演賞は、予想通りハン・ソッキュ。彼は、青龍賞制覇で、今年のすべての映画賞で男優主演賞を獲得する大記録を達成。今年彼が主演した『グリーンフィッシュ』,『ナンバー・スリー』,『接続』は、青龍賞での対象になる13部門中、9部門を独占。まさに、ハン・ソッキュのハン・ソッキュによるハン・ソッキュのための青龍賞状態。人気スター賞も獲得したことだし、キム・ジンギュ、アン・ソンギと続いたミスター国民的俳優の三代目襲名は、ハン・ソッキュ。君しかいない。
女優主演賞は、シン・ウンギョン。韓国の新聞を読んでいると結構彼女の名前が出てくるので、ひょっとして... とは思っていたが、まさか諸先輩方を押しのけて受賞してしまうとは。『娼』の演技で幅広い年齢層からの支持を得たようだが、どうも私にはピンとこない。個人的には、『九老アリラン』の初々しいスッキ役のほうが好み。『娼』が扱っているテーマ自体が私の関心外というのが大きいのかもしれない。
『娼』は撮影賞も受賞。釜山で見たとき、映画自体おもしろいとは思わなかったが、重厚な映像に「さすが、イム・グォンテク&チョン・イルソンの無敵コンビ」とかってに思い込んでいたら、撮影は、チョン・ジョミョン氏だったのですね。失礼しました。
特別功労賞を受賞したチョン・イルソン氏。日本公開作でも『風の丘を越えて〜西便制』,『愛の黙示録』などでおなじみ。その他、『開闢』,『太白山脈』,『曼陀羅』,『アダダ』,『将軍の息子』,『破戒』,『火女』,『虫女』,『異魚島』,『馬鹿たちの行進』,『霧の柱』... 彼の手になる作品は数え切れない。特にイム・グォンテク監督とキム・ギヨン監督とのカップリングにより数々の名作を供給。70年代以降の韓国映画を支えつづけた彼の受賞には何の異存もない。青龍賞受賞式当日、彼の受賞シーンでは、千五百名の観客が全員スタンディング・オベーションという感動的な一コマもあったとか。
1997年から新たにシナリオ大賞が設けられました。脚本賞が、この1年に上映された作品を対象とするのに対し、シナリオ大賞は新しいシナリオを公募するものです。また新たなる才能の発掘が期待されます。
文責:ソチョン 1997/12/13
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