第二次世界大戦終結後、日本の植民地支配から開放された朝鮮半島を舞台に、イデオロギー対立によって同じ民族・兄弟までが骨肉の争いをするに至った混乱期を描いたチョ・ジョンレ(趙廷來)の歴史大河小説『太白山脈』を映画化した長編大作。解放直後に発生した麗水順天反乱事件(1948年10月)から朝鮮戦争(1950〜1953年)までを背景に、当時の右翼左翼のイデオロギー対立に巻き込まれた人々の苦悩を、左翼=ヨム・サンジン、右翼=サンジンの弟ヨム・サング、中道民族主義者=キム・ボムを中心に描く。
麗水順天反乱事件(1948年10月)
済州島4・3事件(1948年4月)を鎮圧するために派遣される予定だった麗水の第14連隊が反乱を起こし(中心人物はヨム・サンジン)、そのまま智異山にたてこもってパルチザンとなった事件。
『風の丘を越えて〜西便制』のイム・グォンテク監督、キム・ミョンゴン(ヨム・サンジン役)、オ・ジョンヘ(ソファ役)、チョン・イルソン(撮影監督)、キム・スチョル(音楽)に加えて、ミスター韓国映画アン・ソンギ(キム・ボム役)、そしてキム・ガプス(ヨム・サング役)、シン・ヒョンジュン(チョン・ハソプ役)、チョン・ギョンスン(チュウク・サンテク役)、パン・ウンジン(ウェソテク役)らも参加した歴史長編大作。原作の脚色は後に『ナンバー・スリー』で監督デビューするソン・ヌンハン。当初『将軍の息子』シリーズを撮り終えたイム・グォンテク監督の次回作として1992年に製作される予定であったが、共産党のパルチザンを描いているため政府サイドからクレームが付き(当時は盧泰愚政権)、次期大統領選挙が終わる1993年3月以降に製作を延期したという逸話がある。ちなみに、その延期期間に製作されたのが名作『風の丘を越えて〜西便制』。
原作小説の翻訳本(全10巻,監修:尹學準)が、集英社から出版されている。ちなみに、映画で描かれているのは小説全体の半分に過ぎない。
総撮影回数132回、撮影日程10ヵ月、主要俳優150人、エキストラ7千人、エキストラの人件費3億5千万ウォン、オープン・セット製作費8億ウォンなど、製作費は当時としては破格の20億ウォンが投入された。また、韓国国内では、韓国映画としては初めて全国40館あまりで一斉公開された。
1995年ベルリン映画祭コンペ部門本選進出、第33回(1995)大鐘賞審査委員特別賞・男優助演賞(キム・ガプス)・女優助演賞(チョン・ギョンスン)・音楽賞(キム・スチョル)、第31回(1995)百想芸術大賞男子演技賞(キム・ガプス)、第15回(1994)青龍賞作品賞・男優助演賞(キム・ガプス)・女優助演賞(チョン・ギョンスン)・技術賞(音楽:キム・スチョル)、第5回(1994)春史映画芸術賞作品賞・男子新しい顔演技賞(キム・ガプス)・女子優秀演技賞(チョン・ギョンスン)・照明賞(イ・ミンブ)・撮影賞(チョン・イルソン)・技術賞(音楽:キム・スチョル)受賞作品。1994年映画振興公社選定「上半期の良い映画」。
初版:1998/7/12
最新版:2000/11/16
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