銀杏のベッド
|
1996年の大ヒットSF恋愛映画(「1996年韓国映画興行成績」)。千年の時空を超えての4人の男女の愛憎劇。2000年には、この作品の第2弾『燃ゆる月』が製作された。
冒頭のシーン。CGで製作された野原に立つ二本の銀杏の木。そしてそこに舞って来る鷹の映像が美しい。しかし、その時、雷が鳴り響き銀杏の木の一株が燃えてしまう。
画家であり大学講師のスヒョン(ハン・ソッキュ)と外科医者のソニョン(シム・ヘジン)は恋人同士。ごくごく平凡だった彼らの生活は、露天市場で銀杏のベッドに出会った時から音を立てて崩れ始める。スヒョンの前世は宮廷楽士ジョンムン。彼はミダン王女(チン・ヒギョン)と許されざる恋に落ちた。ミダンはファン将軍(シン・ヒョンジュン)が略奪結婚した美しき姫。ファン将軍の逆鱗に触れた二人は二本の銀杏の木になり、そしてミダンは銀杏のベッドとなって、スヒョンに生まれ変わったジョンムンの前に姿を現したのだった。そこへ過去からミダンを執拗に追いかけてきた愛の化身ファン将軍が現れる。
『シュリ』のカン・ジェギュ監督デビュー作。監督が代表をつとめる映画発電所の企画で、脚本もカン・ジェギュ。撮影監督はパク・ヒジュ。照明監督はイ・ガンサン。音楽は後に『グリーンフィッシュ』,『ソウル・ガーディアンズ 退魔録』,『シュリ』の音楽を担当するイ・ドンジュン。編集はパク・コッチ。プロデューサーはシンシネのシン・チョルとオ・ジョンワン。後に『ソウル・ガーディアンズ 退魔録』を生み出すパク・クァンチュンが助監督を担当している。
アーティスティックな映像、そして秀麗なポスターが印象的。イルシン創業投資はこの映画から映画への投資を始めた。香港でもゴールデンハーベスト社系列で公開された。香港での題名は『隔世琴縁』。
第1回(1996)釜山国際映画祭「韓国映画パノラマ」部門、第3回(1999)富川国際ファンタスティック映画祭「ファンタスティック韓国映画特別展」部門、第13回(2000)ヘルシンキ国際映画祭LOVE & ANARCHY部門、第34回(2001)シッチェス国際映画祭「オリエント・エクスプレス」部門招待、第17回(1996)青龍賞新人監督賞(カン・ジェギュ)・撮影賞(パク・ヒジュ)・技術賞(イ・ドンジュン)、第16回(1996)映画評論家協会賞撮影賞、第32回(1996)百想芸術大賞技術賞(パク・ヒジュ)、第34回(1996)大鐘賞主演女優賞(シム・ヘジン)受賞作品。映画振興公社選定「1996年良い映画」。
初版:1998
最新版:2001/9/19
|
投稿者:ともともともーんさん 投稿日:1998年10月5日(月)16時35分53秒
わたしの知ってる女の子たちはみんな感動してた。
・・・しかしわたしはこの映画の良さがわかりません。
CGもなんだか安っぽいし、ストーリも予想がつくし。まあ、時間つぶしとか、韓国語のヒアリングの練習にはいいんじゃないでしょうか。
【評価:★★★】
投稿者:SUMさん 投稿日:1999年2月23日(火)22時51分13秒
主人公となる現代の二人と過去の二人、畳みかけるように進む絵巻に韓国の若者を魅了したのはよく分かる。日本SFX映画や香港SFX映画のファンが見てもまったく遜色はない。「韓国映画」というジャンルがちゃんと日本人に認知されたなら間違いなく日本公開されるレベルである。
アジアSFX映画を語るなら外せない作品で、香港SFXと日本SFXの両方の影響を受けて、独自性は弱いかもしれないが一定の水準を満たしているのは確かである。
それにしても、ハン・ソッキュは名優だ。
【評価:★★★】
【ソチョンの鑑賞ノート】
特撮ものは普段あまり見ないからか、うまく表現できないのだが、SFX映画として何かが足りないような気がする。映像と音楽がラストまでグイグイ引っ張っていってくれるのだけど、高まった期待が最後に解放されないのだ。どんどん高まる期待が最後に解放されてこそ、SFX映画は「スゴイ!」という言葉が出てくるように思うのだが、この映画では最後の最後に「あらら、こういうエンディングだったのね」と肩透かしを食らったような気分になってしまった。
とまれ、見ていて飽きるようなことは決してない作品。そして主役の俳優4人がそれぞれの持ち味を発揮していて素晴らしい。個人的にチン・ヒギョンの美しさと、シン・ヒョンジュンのメークが非常に気にいっている。
1999年3月8日執筆
投稿者:Kamibeppuさん 投稿日:1999年4月4日(日)16時42分49秒
ハン・ソッキュの演技はいいが、それ以外は…。
期待が大きかったが、CGなどが、余りに安っぽく見える。
ちょっと、期待はずれ。
でも、ストーリーは、結構面白いので、最後まで見ることは出来る。
【評価:★★★】
投稿者:カツヲうどんさん 投稿日:2001/7/18 16:02:56
VTRにて鑑賞。
過去と現在をファンタジーの手法で紡いだ物語は、日本ではありきたりだが、韓国映画としては初めて成功した作品ではないか?
韓国のエンターテイメントを考える上でこの企画は評価したいと思う。既に古臭い匂いが漂う作風だし、特筆すべき出来栄えでもないが、ラストは感動的である(但し、この物語がSFではないことを筆者は強く主張したい)。
シン・ヒョンジュンの特異な風貌を生かした役柄は、まさに偏執さと狂気を感じさせ、はまり役、チン・ヒギョンの抑えた演技も悲劇性に花を沿えて好感が持てる。ただし、オープニング&エンディングのCGのカットは、当時の状況を考えてもひどすぎ。物語の鍵となるシーンであるため、監督は力を入れたかったのであろうが、もう少し何とかならなかったのか?
カン・ジェギュのデビュー作である本作品は、彼の商売人としての賢さを感じさせ、それが『シュリ』の成功へと、つながっていったことを見終わった後に妙に納得させる映画であった。
【評価:★★★】
Copyright © 1998-
Cinema Korea, All rights reserved.
|