社会風刺のきいたコメディ風ヤクザ映画。一流を目指す三流人間達の物語。
トガン派のチンピラ、テジュ(ハン・ソッキュ)は組織内のクーデターからボスのドシク(アン・ソックァン)を守り、反乱を鎮圧したジェチョル(パク・サンミョン)に続きトガン派のナンバー・スリーとなる。一方、彼の妻でホステス出身のヒョンジ(イ・ミヨン)は、仕事一本の夫に対する倦怠感から、怪しげな詩人ランボー(パク・クァンジョン)と浮気をしてしまう。だが、それもつかの間、テジュの子分に見つかったランボーはぼこぼこに殴られ、ルームサロン「カオス」のマダムでドシクの妻ジナ(パン・ウニ)の性欲のはけ口にされる。その頃、テジュと同じ孤児院出身でドシク殺害に失敗したジョピル(ソン・ガンホ)は、不死派を結成して復讐を決意。たった四人で山篭もりして修行に励む。そしてジェチョルとのナンバー2争いの渦中にあったテジュの前に暴力団掃討作戦に立ち上がった検事マ・ドンパル(チェ・ミンシク)が現れる。
抱腹絶倒の台詞が特徴で(ただしネイティブ以外には理解不能か?)、ソン・ガンホのたどたどしい口調や台詞はテレビで物まねの対象となった。
『太白山脈』などのシナリオを担当したソン・ヌンハン監督デビュー作。シナリオも監督が執筆。多彩な人物の日常生活を描いた傑作『ショート・カッツ』(1993年:ロバート・アルトマン)からヒントを得、登場人物のキャラクター設定を重視したエピソード並列型映画に仕上げた。それが功を奏したか、ソン・ガンホ、チェ・ミンシクなど個性的な俳優がこの作品で開花した。また、パク・サンミョンも「灰皿」と呼ばれるヤクザ、ジェチョル役で人気者に。
監督の言によれば、イ・ミヨンがキュウリを顔に付ける場面は『英子の全盛時代』に対するオマージュ。また、作品全体が韓国社会に対する風刺となっており、チェ・ミンシク演じる検事の砂時計はテレビ・ドラマ『砂時計』に熱狂した韓国社会に対する嘲笑であり、ハン・ソッキュ演じるテジュはチェ・ミンスが『砂時計』で演じたテスのパロディとか。
撮影はパク・スンベ。編集はパク・コッチ。音楽はチョ・ドンイク。美術はオ・サンマン。
1997年バンクーバー映画祭招待、第35回(1997)大鐘賞新人男優賞(ソン・ガンホ)、第18回(1997)青龍賞男優助演賞(ソン・ガンホ)・新人監督賞・脚本賞、第34回(1998)百想芸術大賞シナリオ賞、第18回(1998)映画評論家協会賞脚本賞・男優演技賞(ソン・ガンホ)、第21回(1998)黄金撮影賞銀賞(パク・スンベ)受賞作品。映画振興公社選定「1997年良い映画」。
初版:1999/2/13
最新版:2001/10/29
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