母の不倫がトラウマとなった兄弟と、夫に捨てられた女を主人公にして、人間の欲望と性欲を赤裸々に描いた作品。
自分の母親が、妻の不倫に怒った父親によって殺害される現場を目撃したことがトラウマとなっている兄弟。弟のギウク(シン・ヒョンジュン)は、知恵遅れの兄ギテ(キム・サンジュン)の世話をしながら海辺で旅人宿を営んでいた。夏も過ぎ客足の遠のいたある日、彼らの宿に娘マリア(7歳:ソ・ジヒ、成長後:イ・ジョンヒョン)を連れたミョンジャ(シム・ヘジン)がやってくる。夫に見捨てられ自暴自棄な毎日を送っていたミョンジャだったが、そんな彼女に兄弟は心惹かれるようになる。時が流れ、再び夏を向かえて客を迎えるのに忙しくなった旅人宿。ミョンジャとギウクは愛し合うようになるが、ギウクは兄から「ミョンジャを愛している」ことをうち明けられる。悩んだギウクは、ミョンジャへ「自分の兄と結婚して欲しい」とお願いする。
原題にある「ヨインスク」は韓国語で「旅人宿」と「女人宿」という二つの意味があり、実際には、純粋な旅行者用の安宿、売春宿、そして時と場合によりどちらにもなる宿の三種類が存在している。
シム・ヘジンとシン・ヒョンジュンが共演しているほか、キム・サンジュンがこの作品でスクリーン・デビュー。他にイ・ギョンヨン、パク・サンミン、そして『つぼみ』で少女役を演じていたイ・ジョンヒョンが友情出演している。
監督は、『ソウルのイエス』をチャン・ソヌと共同監督したソヌ・ワン。彼にとって本作は5作品目となる。脚本はイ・グムジュ。脚色はムン・サンフン、パク・キョンドク、ヤン・ジンソン、作家時代、チョン・デソン。撮影はシン・オッキョン。照明はイ・ガンサン。
映画振興公社シナリオ公募大賞受賞作。
初版:2001/3/20
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