『鰐 〜ワニ〜』でデビューし、カルト的な人気を誇るキム・ギドク監督の第二作。監督自身、フランスに渡り絵の勉強をしていたことがあるが、その時の体験を元に、前作『鰐 〜ワニ〜』と同様、社会の底辺に生きる人々の熾烈な生きざまを描く。
舞台はパリ。同僚の絵を盗んで売ることによって生計を立てている画家のチョンヘ(チョ・ジェヒョン)は、フランス外人部隊に入隊するために密入国した北朝鮮特殊部隊脱走兵ホンサン(チャン・ドンジク)と偶然出会う。だまされやすいホンサンを金儲けの手段として利用しようとするチョンヘだが、二人の間には奇妙な友情が芽生える。そして、チョンヘはボディ・ペイントで生計を立てている女性コリンヌ(Sacha Rvkavina)と出会い恋に落ち、ホンサンは密入国の手助けをしてくれたローラ(チャン・リュン)のことが忘れられなくなる。しかし、マフィアの手下に落ちぶれてしまった二人の人生に未来はないのだった。
脚本と美術も監督のキム・ギドクが担当。撮影はソ・ジョンミン。
当初はハン・ソッキュをキャスティングし、12億ウォンの予算で製作する予定だったが、ハン・ソッキュのキャスティングがうまくいかず製作会社が尻込みするや、たったの5億ウォンでパリ・ロケを敢行して製作。その監督の心意気や「良し」ではあるが、(韓国では)作品の出来栄えとしては「完全な失敗作」と酷評された。
『フランスの思い出』、『コックと泥棒、その妻と愛人』、『ディーバ』、『イヴォンヌの香り』などでもお馴染み、フランスの名優リシャール・ボーランジェ(Richard Bohringer)がマフィアのボス役で出演している。
第17回(1998)バンクーバー国際映画祭、第34回(2001)シッチェス国際映画祭「オリエント・エクスプレス」部門招待作品。
初版:2000/5/8
最新版:2001/9/19
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