現代社会における女性の自立というテーマを描いた家庭心理劇。韓国女性映画の幕開けとして高い評価を受けた。監督のパク・チョルスはその後も女性の心理を的確なストリーテリングで描き続けている。
「私」(チェ・ミョンギル)は大学出のキャリア・ウーマン。そして「私」のハートを射止めた「彼」(イ・ヨンハ)は裕福な家庭に育った秀才で、一流企業に就職して出世街道まっしぐら。人も羨むようなカップルの結婚だったが、出産後、妻は子供の世話をするために生きがいであった仕事をあきらめ家庭に入る。専業主婦を選んだ「私」だったが、平凡で退屈な毎日に夫に対する不満が募っていく。そんな時、大学の後輩の伝手で翻訳の話しが入る。「私」は家でもできる仕事と引き受けるが、「彼」はそうは思っていないようだ。
自分の生き方に疑問を持つ妻が感じる倦怠感、いらだち、絶望感、孤独感を巧みに描く。主人公の二人とその姑(パク・チョンジャ)、子供(イ・ジョンミ,シム・ジェウォン,チェ・ヒョンソン)、友人との関わり合いも見所か。撮影はチョン・イルソン。
第25回(1986)大鐘賞優秀作品賞・男優主演賞(イ・ヨンハ)・女優主演賞(チェ・ミョンギル)、第11回モントリオール世界映画祭出品作品。
KNテレビジョン(SKY PerfecTV!)では『霧がすみ』という題名で放映。
初版:1999/1/1
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