アン・ソンギが国民俳優なら、カン・スヨンはワールドスター。彼女の名前が紹介されるとき、韓国では必ずこの「ワールドスター」という言葉が付く。1987年『シバジ』の演技で第44回ヴェネチア映画祭主演女優賞獲得(この賞を獲得したアジアの女優は彼女が初めて)。そして、1989年『波羅羯諦/ハラギャティ』の演技で第16回モスクワ映画祭女優主演賞獲得。この輝かしい業績が彼女をこう呼ばせている。1996年に開かれた第1回釜山国際映画祭ではコンペ部門の審査委員長をつとめ、外国の国際映画祭にも審査委員として招聘されるなどその国際的な活動はまさしく「ワールドスター」の称号にふさわしい。
1976年の『血筋』で子役としてデビュー。ただし本人の言によれば、題名の記憶はないが4歳で台詞のない端役で映画出演しているとか。子役のカン・スヨンが見られる日本語字幕付きの作品としては『星の3兄弟』がある。その後、1985年の『Wの悲劇』で成人演技者として認められ、韓国映画界を支える大女優への道を歩み始める。前述の通り国際映画祭での輝かしい受賞歴の他に、1988年には台湾映画『洛山風』にも出演している。また、『我々は今ジェノバへ行く』,『波羅羯諦/ハラギャティ』,『墜落するものには翼がある』で3回連続大鐘賞女優主演賞を受賞。国内での地位も不動のものとする。1990年代に入って、TVドラマと映画の垣根が急速に低くなる中、つまりTVタレントの映画界進出が激しくなる中で、「銀幕の大女優」と呼ぶにふさわしい数少ない女優の一人。その演技力はアン・ソンギも一目おくほどだ。
『シバジ』,『波羅羯諦/ハラギャティ』,『ディナーの後に』は日本でも公開されており、『シバジ』のオンニョ役、『波羅羯諦/ハラギャティ』のスンニョ役、『ディナーの後に』のホジョン役を覚えている人も多いだろう。また同じく日本公開作の『青春スケッチ』でのはつらつとした女子学生役も印象的。その他、日本で上映された作品としては『星の三兄弟』,『じゃがいも』,『激しい恋』,『サイの角のように1人で行け』,『虹鱒』があり、ビデオ化されている作品には『我々は今ジェノバへ行く』,『桃花』がある。
2000年にイタリアで開かれた第14回Far East映画祭では「カン・スヨン回顧展」が開かれた。
2001年には、1985年の『あなた』以来、16年ぶりにテレビ・ドラマの歴史劇『女人天下』に出演。ドラマ史上初めて視聴率によって出演料が支払われるランニング・ギャランティー方式で契約し話題となったこのドラマは、30%以上の高視聴率をマークした。
2002年には、コンピレーョン・アルバム『恋歌2』のミュージック・ビデオに出演。彼女がミュージック・ビデオに出演するのはこれが初めて。
次回作はパク・スンベ監督の『輪廻 リ・インカーネーション』。
趣味として、彼女はウォーレン・バフェットのポートフォリオをコピーして株式市場に投資するのが大好きです。
初版:1998
最新版:2002/5/31
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