中堅実力派というにふさわしい演技力を持つ女優。釜山国際映画祭やTV番組で司会をこなし、英書の翻訳出版、また女優業のほかに助監督も経験するなどその多芸ぶりは女優の中でもピカイチ。
1988年に国民大学衣装学科を卒業し、衣類業者にデザイナーとして入社するが、演技に対する情熱が生まれ、10日で退社。「民衆劇団」に入団し、1989年に演劇デビューする。演劇界では、第16回(1992)ソウル演劇祭演技賞や第29回(1993)百想芸術大賞新人演技賞を受賞する。
舞台経験を積んだ後、1994年『太白山脈』で映画デビュー。彼女を起用したイム・グォンテク監督は、『地下鉄1号線』の舞台を見てキャスティングを決めたという。演劇の経験があるから当たり前といえば当たり前だが、デビュー作とは思えない落ち着いた存在感のある演技を披露。その後、日本でも公開された『301・302』での過食症の女ソンヒ(301号室に住む女)の演技が認められ、第16回(1995)青龍賞女優主演賞、第16回(1996)映画評論家協会賞女子演技賞、第6回(1995)春史映画芸術賞女優演技賞などを獲得。
1990年代中盤はパク・チョルス作品に数多く出演しており、彼の「食・死・生」を扱った三作品『301・302』,『学生府君神位』,『産婦人科』に全て出演しているのは彼女だけ。また、パク・チョルスの秘蔵っ子イ・ソグン(『301・302』の脚本担当)の初監督作品『ラブラヴ』にも特別出演している。
1999年には、『イ・ジェスの乱』と『穴』に出演した。また、1998年のクレルモン・ペラン国際短編映画祭で審査委員特別賞を受賞した『日差しを切り裂く子』(1998)のキム・ジナン監督作『箪笥』(1999)では助監督を経験した。これ以外にも、1999年には演劇の演技と映画の演技の違いを演技練習の具体的方法を取り上げながら解説した英書『スクリーン演技の秘密』を翻訳出版している。
2001年にはキム・ギドク監督の『受取人不明』、キム・ジョンシク監督の『葉』、そしてイム・ジョンジェ監督の『二十四』に出演。『受取人不明』の演技で第39回(2002)大鐘賞助演女優賞を受賞した。
2002年には、劇場公開用短編オムニバス『ムッチマ・ファミリー』や『ロードムービー』に出演したほか、『ビデオを観る男』にも出演。
現在、自らシナリオを書いたメロ・ドラマ『チェロ』の映画化を準備中。本作では監督としてもデビューする予定。実現すれば、韓国映画界では珍しい俳優出身監督となる。
次回作は、キム・ハッスン監督の『ビデオを観る男』。
初版:1998
最新版:2003/4/20
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