オルガミ 〜罠〜
題名 英題 原題 ハングル |
オルガミ 〜罠〜 The Hole 罠 올가미 |
製作年 |
1997 |
時間 |
100 98(日本版DVD) |
製作・配給 |
シネマ・サービス |
監督 |
キム・ソンホン |
出演 |
ユン・ソジョン チェ・ジウ パク・ヨンウ ムン・スジン イ・スンウ チョン・フンニョル ク・ヘリョン ユン・ソンフン |
日本版 Video DVD |
字幕版Video 吹替版Video DVD |
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韓国では非常に珍しいサイコ・スリラー。マザコン男に嫁いだ女性の悲劇を描く。1997年11月に封切られ、当時大ヒットしていた『接続』,『手紙』の陰に隠れてイマイチ目立たなかったが、なかなか評判の良い作品。韓国でも結構ヒットした。『爪』で有名なキム・ソンホン監督第4作。キム・ソンホンはカン・ウソク作品のシナリオを数多く手掛けているが、この作品はカン・ウソクのシネマ・サービスで製作した。
母親(ユン・ソジョン)とたった二人で生活していた息子(パク・ヨンウ)が結婚し、妻(チェ・ジウ)が家にやってくる。一見どこにでもある風景だが、母親は息子を異常に愛し、息子は息子で完全なマザコン。息子の興味が嫁に向わないよう母親は嫁をさんざんにいじめる。そして、最後には悲劇的な結末が... スリル、サスペンス、それにホラー的要素もある秀作。
『Korean Music』No.3(p.48)で、金光英実氏がこの映画の評論をしている。日本のマザコン(冬彦さんタイプ)と韓国のマザコン(この映画)がどう違うかを比較していておもしろい。
第34回(1998)百想芸術大賞新人演技賞(チェ・ジウ)、第21回(1998)黄金撮影賞金賞(イ・ドンサム)・準会員賞(シン・ボムソプ)・新人俳優賞(チェ・ジウ)受賞作品。
SKY PerfecTV! の So-net channel749 では『オルガミ〜恐怖の罠〜』という題名で放送。
初版:1998/5/31
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投稿者:SUMさん 投稿日:1998年5月25日(月)23時43分00秒
恋人同士にさえみえるほどの母と子。子からフィアンセの存在を聞かされた母はあっという間に「母」という存在の年齢に相応の現実に移って行く。その恐怖がこの映画の恐怖を表しているのではないだろうか。
全体的にハリウッド映画のスリラーブームを反映したような作りでエンターテイメントとしてしっかりした作りになっていてラストまで退屈することはない。
とはいえ、韓国映画である。嫁のとる姑への態度は韓国の現代の女性を反映しており、謙虚さと自立心のバランスで揺れる表情の変化が活きている。またラストシーンも韓国的に締めくくられていて興味深い。
【評価:★★★★】
投稿者:Kaz さん 投稿日:1998年11月3日(火)10時44分09秒
以前何かの雑誌でこの映画の記事を見た時興味が沸き、ラストが気になったためこの夏韓国人の彼氏の所へ行った時CD-ROMを買って一緒に見ました。韓国語力はまだまだなので台詞はあまり理解出来なかったのですが、映像だけでもその迫力は伝わってくるほどの作品で、見終わった後思わず彼氏に「あんたのオカンもああやって私のことをいじめるんだろうな・・・」とため息をついてしまいました。確かにマザコンを描いている点は「冬彦さん」と共通するものはあるのでしょうが、あの息子はちゃんと自分の意志を持っているって点は冬彦さんとはかなり違うと思います。まあそれが悲劇を呼ぶわけですが・・・
余談ですが、韓国でのビデオの値段をよく知らないので何とも言えないのですが、ROMも10,000ウォンとなかなかお手頃でした。
【評価:★★★★】
投稿者:T.Uさん 投稿日:1999年9月27日(月)11時00分46秒
『ミザリー』+『危険な情事』+「冬彦さん」。結構怖くて、面白い。
見る価値アリ。以上。
【評価:★★★★】
投稿者:大西康雄さん 投稿日:2002/3/30 12:07:03
『セイ・イエス』のキム・ソンホン監督の作品で、日常生活のなにげないちょっとした裂け目からどんどん恐怖のどん底に引き込まれてしまうという設定は『セイ・イエス』と共通している。
1992年に放送されたTBSの人気テレビ・ドラマ『ずっとあなたが好きだった』で、流行語にもなったマザコン青年「冬彦さん」と違う点は、異常な関係にありながらも、息子自身は基本的にいい人であり、なんとかより良い方向に持っていこうとしている点だろう。しかし、パク・ヨンウ、なんだか「いい人だけどいまいち力不足」という役柄がすっかり定着しているような・・・
ところで知人の韓国人女性によると、この映画の設定はかなりリアリティがあるそうだ。韓国での母親−息子関係の親密さは一般に非常に高く、母親の息子に対する溺愛が夫婦喧嘩の原因になることも珍しくないとか。そして、その分、嫁姑関係の困難さは日本の比ではないとのこと。
というのは韓国では受験競争が厳しいため「チマ・パラム(直訳すると『スカートの風』、日本でいう『教育ママ』のこと)」熱が異常に高く、毎月数十万円相当の教育費を掛けようとする母親も珍しくないそうだ。そして、その分成人後の息子に見返りを求めようとする傾向も強く、息子も家族の規範意識が日本のように崩れていない分、母親の期待に応えようという気持ちが非常に強いようだ。実際にこのような母子関係が原因で離婚に至った女性の知人も何人もおり、母親が実際に嫁殺しに及ばないまでも、腹の中では嫁を殺したいぐらいに思っていたとしても何の不思議もないと言っていた。
従って、日本的感覚ではかなり異常で面白いサイコ・ホラーで終わるかもしれないが、韓国的感覚では文字通り、日常的に誰がいつ陥るとも分からない「落とし穴(オルガミ)」の恐怖感覚を描いた作品ということになるようだ。
というわけで、韓国人男性、特に一人息子との結婚を考えている日本人女性諸氏は、まず本作を見て覚悟を決めてから敵地におもむかれよ。
それにしても、キム・ソンホン監督の作品群は面白い。本作も「冬彦さんもの」の一言で片付けては惜しい作品である。映画としてのパワーが本作に及ばない新作韓国映画が日本で公開されている昨今、単館系モーニング&レイトショーの線で配給を考える日本の配給会社、現れませんかね?
韓国映画フリークの皆さんは、まずは、リージョン3のディスクが読めるDVDプレイヤーを確保してから、輸入盤DVDを探してご覧あれ。
韓国製英語字幕付きDVDで鑑賞。
2001年8月、Spectrum DVDよりリリース。カタログ番号:SPD-628。収録フォーマット:片面2層、スクイーズ16:9、ビスタサイズ。音声:韓国語、ドルビー5.1チャンネル。字幕:英語。収録時間:本編100分。リージョンコード:3。メーカー希望価格:19,800ウォン。
蛇足だが、本作の映画音楽は効果的ではあるものの、日本の『怪談』(小林正樹監督)や『愛の亡霊』(大島渚監督)での武満徹の音楽効果作業をこよなく愛する個人的感覚からすると、いささか古典的で新鮮味に欠けるという点が不満だ。
【評価:★★★★】
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