1997年に突然出現した異色俳優。画家である父親の影響で、早くから芸術方面に関心を持っていた彼は、劇団「生の粉」や兵役中の軍隊の劇団で演技経歴を積んだ。除隊後の1991年にソウルの劇団「演友舞台」に入団し、演劇『童僧』で俳優デビュー。映画界に進出するきっかけとなったのは1997年の『グリーンフィッシュ』だが、イ・チャンドン監督はコメディー演劇『蜚言所(ピオンソ)』を見て彼の演技に注目しキャスティングを決めたという。
長い間、演劇の舞台で演技経歴を積み、1996年の『豚が井戸に落ちた日』でキム・イソンから依頼され、彼の友人役として端役映画デビュー。1997年の『グリーンフィッシュ』と『ナンバー・スリー』で一気にスターダムにのしあがった。『グリーンフィッシュ』では卑劣で野心にみちたチンピラを、『ナンバー・スリー』では不死派のボス役を演じた。特に『ナンバー・スリー』では「彼とハン・ソッキュ抜きにはこの映画を語れない」といわれるほどの演技力を発揮。第35回大鐘賞では新人男優賞を、第18回青龍賞では男優助演賞を、1998年の映画評論家協会賞では男優演技賞を獲得し、一躍時の人となった。他に1997年には、問題作『バッドムービー』や短編『同窓会』にも出演している。
普段は口数が少なく物静かな性格だが、カメラの前に立つと役に完全に没入する。その演技力は演劇の舞台で身に付けた。名前も風貌も独特で、そのたどたどしい口調が人気の秘密。『ナンバー・スリー』以降は、劇中の『ううう、裏切りだ!』という彼の台詞をTVで物まねするのがはやり、彼のCMも大人気。下手な二枚目スターより断然人気がある。
1998年の『クワイエット・ファミリー』でも彼の人気が炸裂。映画がヒットした要因の一つはソン・ガンホ人気といわれ、そのコミカルな演技はパク・チュンフンを超えるとの評もある。
1999年には、『ナンバー・スリー』で共演したハン・ソッキュ、チェ・ミンシクと『シュリ』で再共演。南北朝鮮のスパイ・アクションものであるこの作品では、『ナンバー・スリー』や『クワイエット・ファミリー』とは一味違うシリアス演技を披露。なお、この映画ではアクション演技に備えて激しいトレーニングをしたため7キロ痩せて顔付きが随分と変わってしまっている。
2000年にはコミカル・スポーツ映画『反則王』で初めて主役らしい主役を演じた。この映画では、夜になると反則レスラーに変身するサラリーマンを大熱演。「ソン・ガンホ印」とも言われる独特の口調と得意のコメディ演技が炸裂し、観客を笑いの渦に巻き込んだ。
日本でもヒットした『JSA』では、兄貴肌の人情味あふれる北朝鮮兵士オ・ギョンピルをナチュラルな北朝鮮弁と最高の演技で演じきり、演技力とスター性を兼ね備えた俳優として認められるに至る。そして、この作品で、第1回(2000)釜山映画評論家協会賞主演男優賞、第3回(2001)ドーヴィル・アジア映画祭主演男優賞、第38回(2001)大鐘賞主演男優賞を受賞する。
実は本格的な映画デビュー作『グリーンフィッシュ』から『JSA』まで興行的に失敗した作品がないという隠れたヒット・メーカーでもある。
『JSA』のパク・チャヌク監督と再びタッグを組んだ『復讐者に憐れみを』では、娘の死をきっかけに冷酷な殺人鬼になってしまう男を演じた。
"Yahoo! KOREA" の「ソン・ガンホのホームページ一覧表」(韓国語)はこちら。
初版:1998
最新版:2002/4/30
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