1970年代、軍事政権下の閉塞した社会状況を背景に若者達の人間像を描いた秀作。パク・チョンヒ(朴正煕)政権下で自由な映画作りができなかったこの時期に、果敢な創作活動をしたハ・ギルチョン監督の代表作であり、「馬鹿シリーズ」第一作目でもある。続編に『ピョンテとヨンジャ』が、また同シリーズ作品として『鯨とり ナドヤカンダ』がある。
Y大学哲学科に通う学生のピョンテ(ユン・ムンソプ)とヨンチョル(ハ・ジェヨン)。二人は合コンで知り合ったヨンジャ(イ・ヨンオク)とヨンスク(キム・ヨンスク)と付き合うようになる。一見、青春を謳歌しているように見える彼等。しかし時代は彼等に本当の自由は与えていなかった。常日頃から「東海で鯨を捕まえたい」と言っていたヨンチョルは、人生に絶望して絶壁から東海へ飛び込み自殺をしてしまう。そして、ピョンテは愛するヨンジャと分かれて、長髪を刈り上げ、3年の兵役につくため汽車に乗るのだった。
監督の実弟で『族譜』に出演しているハ・ミョンジュンや、キム・ヒラ、イ・ギドン、キム・ホンジョン、イ・イルン、ユン・イルボン、パク・アムらが特別出演している。
原作・脚本は、チェ・イノ(崔仁浩)。撮影はチョン・イルソン。主題歌はロック歌手ソン・チャンシク(宋昌植)が歌い、放送禁止となった『鯨とりの歌』。
チェ・イノの原作小説は『ソウルの華麗なる憂鬱』(国書刊行会)という題名で邦訳が出版されている。
初版:2000/12/12
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