第19回(1998)青龍賞
概要
韓国映画振興と大衆文化発展のために『スポーツ朝鮮』が毎年開催している青龍映画賞。第19回の1998年は朝鮮日報と文化放送が後援し、テサン・グループ(旧ミウォン・グループ)の協賛により開催されます。受賞式は、12月4日17時から国立劇場大劇場で開かれ、MBC TVを通じて全国生中継されます。部門は、最優秀作品賞,監督賞,男女主演賞,男女助演賞,撮影賞,脚本賞,技術賞,新人監督賞,男女新人賞,人気スター賞,韓国映画最高興行賞,チョン・ヨンイル映画評論賞,シナリオ大賞(新しいシナリオの公募)の16個。
この賞のちょっと面白い所は、読者の投票も参考にして候補作を決定し、その後の審査結果・審査の進行全過程を新聞で公表するという点。投票できるのは、最優秀作品賞,監督賞,男女主演賞,男女助演賞,新人監督賞,男女新人賞,男女人気スター賞で、対象作品は 1997年12月から1998年11月16日までに上映された韓国映画。締め切りは11月21日で、当選者発表は11月24日(1等から5等までの豪華賞品)。インターネットでの投票は青龍賞のホームページでできます(投票受付終了)。
|青龍映画賞出品作リスト|
各賞候補作品|
受賞作品/人物|
※ 専用ページがない映画は、「1997年封切り映画」と「1998年封切り映画」をご覧ください。
青龍映画賞候補作上映祭
期間 | 11月28日(土)〜12月3日(木) |
場所 | 東崇アートセンター東崇ホール 地下鉄4号線ヘファ駅下車徒歩5分。 |
入場料 | 3,000ウォン |
上映作品 |
『男の香り』,『八月のクリスマス』,『あきれた男達』
『カンウォンドの恋』,『生寡婦慰謝料請求訴訟』,『クワイエット・ファミリー』
『チム 〜あこがれの人〜』,『ソウル・ガーディアンズ 退魔録』,『ファースト・キス』
『ディナーの後に』,『女校怪談』,『情事』,『約束』,『手紙』 |
お問い合わせ 電話予約 | Easy Ticket(TEL 02-761-0300) http://www.easyticket.co.kr |
特記 | 候補作上映祭で見た映画のチケット半券3枚を東崇アートセンター キップ売場に持っていけば、青龍映画賞受賞式招待券1枚と交換。 |
青龍賞の読者投票は11月21日に終了。各部門別候補(作)は、映画ファンからのハガキ,インターネット投票,電話投票,パソコン通信加入者投票など合計78,911票の投票と各界名士の推薦により決定。今年は例年以上にインターネットやコンピュータ通信経由の投票が多かったようです。
これらの候補作は、11月28日(土)〜12月3日(木)まで開かれる青龍映画賞候補作上映祭で9人からなる審査委員団により審査されます。もちろん一般観客の観覧も可。
人気スター賞は、読者投票だけで決まります。男優賞はハン・ソッキュとパク・シニャン。ハン・ソッキュは2年連続の受賞。「韓国で最も人気のある俳優」という表現が板に付いてきました。一方のパク・シニャンは『手紙』で人気急上昇。この青龍賞開催期間中に封切りされていた『約束』も大ヒットで、まさしく旬の俳優です。
女優賞は、チェ・ジンシルとシム・ウナ。チェ・ジンシルは、1990年から1998年まで出演作がなかった1996年を除いて連続受賞。まさしく90年代を代表する人気女優といえます。シム・ウナは初受賞。TVドラマでは大人気の彼女も今までの出演映画『サランヘヨ あなたに逢いたくて』,『ボーン・トゥ・キル』が不振で、この人気賞はとっていませんでした。
最高興行賞は事実上年初から『手紙』に決まっていたといえるでしょう。夏場に『女校怪談』が激しく追い上げましたが、余裕を持って振り切りました。
私の予想は、こんな感じです。
【最優秀作品賞】『八月のクリスマス』
【監督賞】ホン・サンス
【男優主演賞】パク・シニャン
【女優主演賞】イ・ミスク
【男優助演賞】チョン・ジニョン
【女優助演賞】ユン・ジヘ
【新人監督賞】ホ・ジノ
【新人男優賞】アン・ジェウク
【新人女優賞】キム・ヨジン
勝手な講評
授賞式の司会は第17回(1996)青龍賞で主演賞を受賞したムン・ソングンとシム・ヘジン。ゼクスキース(略称:チェッキー)も登場し、主演映画の『セブンティーン』の挿入歌を熱唱。コメディアンのキム・グッチンとキム・ヨンマンも場を盛り上げ、華やかな雰囲気の中で執り行われました。
栄えある最優秀作品賞は日本公開も決まっている『八月のクリスマス』。9人の審査委員中7人の票を集め(1人は棄権)圧倒的な強さで見事栄冠を勝ち取りました。替わりに、と言っていいのかどうか分かりませんが、『八月のクリスマス』と並んで1998年のカンヌ国際映画祭に出品された『カンウォンドの恋』のホン・サンスが監督賞と脚本賞を獲得。ホン・サンスが監督賞を取ったことにより、大混戦の新人監督賞は異例のホ・ジノ、イム・サンス同時受賞となりました。仮にホ・ジノが監督賞を取っていたら、新人賞はイム・サンス一人だったでしょう。いずれにせよ今年の新人監督賞は通常5人の候補が7人となるなどの盛況。最近新人監督の躍進著しい韓国映画界ですが、こんな所にもその影響が出ています。
男優主演賞はパク・シニャン。ハン・ソッキュとの2強対決の中でパク・シニャンが受賞したのは『手紙』と『約束』の合わせ技一本かな?という気もします。『約束』では初のアクション演技にも挑戦してまして、なかなか様になってました。ただこの映画は半分アクション半分メロで、アクション演技というよりやはり『手紙』でも見せたメロ演技のほうが目立ってました。次回作の『ホワイト・バレンタイン』もメロですが、アン・ソンギ、ハン・ソッキュらと本当の意味で肩を並べるためにも、今後もうちょっと別の役柄に挑戦したほうがいいと思います。
女優主演賞のシム・ウナは演技力というより彼女が持っている天性の雰囲気が映画とマッチしていたというのが個人的な意見ですが、才能も実力の内と考えれば文句なしの受賞でしょう。これで、映画評論家協会賞&百想芸術大賞&青龍賞と3冠達成。1999年に延期された大鐘賞でも受賞すればグランドスラムとなります。ちなみに、個人的に最も印象に残った主演女優は『情事』で10年ぶりに映画復帰したイ・ミスクでした。女優としての貫禄もありましたし。
新人男優賞は『チム 〜あこがれの人〜』での熱演が光ったアン・ジェウク。彼の受賞は早くから予想していたので当たってほっとしました。新人女優賞のキム・ヨジンは、演劇出身らしい安定感のある演技でした。親しみのもてる雰囲気を持っているのも個人的に気に入っています。
女優助演賞はちょっと納得できないですね。個人的には『女校怪談』のユン・ジヘを押していました。投票は棄権が多く、審査委員も随分迷ったであろう事をうかがわせます。男優助演賞のチョン・ジニョンはやくざ役を得意としており『約束』でキーパーソンになってる役者です。ご覧になられる方は注目して下さい。ポニー・テールがかわいいです。『テロリスト 哀しき男に捧げる挽歌』や『グリーンフィッシュ』にも出ています。
撮影賞は故ユ・ヨンギル撮影監督。技術者としての優秀さもさる事ながら、人間としても尊敬されていた彼の受賞はあまりに順当。故人の奥様が代理受賞する瞬間はスタンディング・オベーションになり、最も感動的なシーンだったそうです。そして、ハン・ソッキュは故人をしのびながら『八月のクリスマス』の主題歌を披露。実は公開の場で彼がこの歌を歌うのはこれが2回目。
シナリオ優秀賞は題名がしゃれてますね。去年この賞を受賞した『美術館の隣の動物園』は実際に映画化され高い評価を受けています。今年の2作品も無事映画化されますように。
『クワイエット・ファミリー』,『女校怪談』,『ソウル・ガーディアンズ 退魔録』と夏場を席巻した恐怖物映画ですが、受賞したのは結局『ソウル・ガーディアンズ 退魔録』特殊効果チームの技術賞だけでした。映画賞などではやはり一段低く見られるんでしょうか?
影の勝利者はウノ・フィルム(代表:チャ・スンジェ)。最優秀作品賞、女優主演賞、新人監督賞二人、新人女優賞、撮影賞と5冠を達成。シンシネも男優主演賞、男優助演賞、最高興行賞と頑張ってます。
皆様、おめでとうございます。
文責:ソチョン 1998/12/4
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