トゥー・カップス3
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アクション・ポリスコメディー。人気シリーズ『トゥー・カップス』の第3作。『トゥー・カップス』では、アン・ソンギ=パク・チュンフン、『トゥー・カップス2』では、パク・チュンフン=キム・ボソン、そして『トゥー・カップス3』では、キム・ボソン=クォン・ミンジュンと俳優が一人ずつスライド。今回のクォン・ミンジュンは初の女性刑事となる。
『トゥー・カップス2』で、カン刑事(パク・チュンフン)を悩ませた新世代ターミネーター刑事のイ刑事(キム・ボソン)。彼もベテランとなり新入り刑事とコンビを組む事になる。新しいパートナーは女性のチェ刑事(クォン・ミンジュン)。警察学校を首席で卒業した才媛だ。しかし、男性社会の警察で何かと苦労をするチェ刑事。さて、初の男女混成「トゥー・カップス」はどのようなパフォーマンスを見せるのか?
ミスコリア出身の新人俳優クォン・ミンジュンのアクション演技が見所。『トゥー・カップス』,『トゥー・カップス2』を撮ったカン・ウソク監督の弟子キム・サンジンがメガホンを取る。製作・企画はカン・ウソク。原案はキム・ソンホン。
全国80劇場で同時に封切られ、韓国の歴代最多封切り館数記録を樹立するも、第1作、第2作ほどにはヒットせず(ソウルで11万)。柳の下に三匹目のどじょうはいなかった。なお、『オルガミ 〜罠〜』でデビューしたパク・ヨンウがク刑事役でクレジットされており、『トゥー・カップス4』製作のあかつきには主役になるといわれている。
初版:1998/9/21
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投稿者:SUMさん 投稿日:1998年12月20日(日)10時20分37秒
期待しなければ、見て損したとは思いませんよ。きっと。
カン・ウソクの路線とちょっと変わってありがちな娯楽映画を目指していますね。女性刑事がトレーニングして無敵になるのは荒唐無稽としても、女性の自立問題をちょっとだけ絡めながら、主演の女性を綺麗に描いてくれているので、私は推薦します。
【評価:★★★】
投稿者:大西康雄さん 投稿日:2002/7/28 19:09:01
『アタック・ザ・ガス・ステーション!』、『新羅の月夜』のキム・サンジン監督第三作。監督の第一作、第二作は未見だが、キム・サンジン監督作品の笑いの源泉である上下関係の逆転に次ぐ逆転、下剋上という特色の原点は『トゥー・カップス』シリーズにあったのかと、納得させられる作品。
この作品では女性のチェ刑事が主人公。21世紀にふさわしい新しい警察のモデルとしてはじめて女性刑事が登用されるが、現場は旧態依然、女なんかと仕事ができるかと猛反発。とはいえ上からの命令なので仕方なく受け入れるが誰もパートナーをやりたがらない。そこで前作で活躍したターミネーター、イ刑事が「チェ刑事を三日で追い出してやります」とパートナーを引き受ける。
そして、前作同様、凶悪犯を一人でも自力で逮捕できたら認めてやるとチェ刑事に無理難題を押し付けるが、腕力で男に負けるチェ刑事は、結局誰一人自力で逮捕できないことを思い知らされる。しょげて署に帰ると、周囲の刑事たちから「(「チェ刑事」ではなく)ミス・チェ、コーヒー入れてくれ」、「こっちはお茶」とすっかりお茶汲みOL扱い。そこで相棒のイ刑事に「おまえはコーヒーを入れるために刑事になったのか」と問われ、「違います!」と答えると、「じゃ、俺には冷水」 最後には取調べ中の容疑者にまで「ミス・チェ、コーヒー」と馬鹿にされ、これにはさすがに鼻血(注)をお見舞い・・・ と徹底的に馬鹿にされたチェ刑事が、一念発起して手柄を立て、先輩イ刑事に意趣返しをするが、最後は両者の間に信頼関係が生まれて大団円。
(注)「コーヒー」も「鼻血」も韓国語では「コピ」という発音となる。
というわけで男尊女卑社会の上下関係の逆転を笑いのタネとしている点でなかなか目の付け所がよい。とはいえ女性が男性との上下関係を逆転する過程が今ひとつすっきりしない(敵失[イ刑事の失敗]に助けられた面と、ほんのちょっとの筋トレをやった程度で急に手柄が立てられるようになる)というあたりが、興行的に今ひとつだった理由ではなかったのか? その点大ヒットした『猟奇的な彼女』は男尊女卑の逆転を徹底的に行った点で、『トゥー・カップス3』の延長線上にあるといえよう。
また、登場するヤクザが論ずる「銃をばら撒けばアメリカみたいに経済発展ができる」という無茶苦茶なロジックもなかなか皮肉が効いていて面白い。しかし考えてみると、見た範囲に限られるが、韓国のヤクザ映画で日本のように飛び道具でドンパチというシーンは意外に見当たらないように思う(凶器は主に刃物)。これは韓国では日本よりも銃規制が徹底している(?)ためなのか、それとも映画に出てくるヤクザが日本の「実録もの」にでてくるようなリアルな存在というよりも、シンボリックな存在として描かれているためなのか?
ともあれ、オリジナルの『トゥー・カップス』は未見だが、『トゥー・カップス2』、『トゥー・カップス3』と見、そして上に挙げた諸作品を通して考えてみると、つくづく韓国映画の普遍的な笑いの大きな源泉のひとつとして、徹底した上下関係に対する逆転ということがあるのだと思わされる。
この笑いの源流は伝統的なマダン劇あたりにあるのだろうか?
本作は英語字幕つきDVDで鑑賞。DVDデータは以下のとおり。
2002年5月、Spectrum DVDよりリリース。カタログ番号:SPD-835。収録フォーマット:二枚組(『トゥー・カップス2』と『トゥー・カップス3』のセット)、片面2層、スクイーズ16:9、ビスタ(1:1.85)サイズ。音声:韓国語、ドルビー2.0チャンネル(『トゥー・カップス2』)・5.1チャンネル(『トゥー・カップス3』)。字幕:英語。収録時間:本編117分(『トゥー・カップス2』)、98分(『トゥー・カップス3』)。リージョンコード3(入手したディスクはリージョン2プレイヤーで再生可能なので実際はALLと思われる)。メーカー希望価格:22,000ウォン。
Spectrum DVD創立三周年記念ということで映画二本分、二枚組みでほぼ一枚分の価格と非常にお買い得。日本のメーカーも見習ってほしいなぁ。
【評価:★★★】
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