生寡婦慰謝料請求訴訟
|
法廷コメディ。チュ・ヒョンド次長(ムン・ソングン)は家庭を顧みない猛烈社員。ところが、不況のあおりを食って整理解雇要員になってしまう。夫との性生活に不満を抱いていた妻のイ・ギョンジャ(ファン・シネ)は「夫が勤めている間は生寡婦(夫と生き別れた女性の意)だった」と会社を相手取って慰謝料請求訴訟を起こす。ミョン・ソンギ弁護士(アン・ソンギ)は会社側の弁護をするが、訴訟側の弁護士は常に勝利をおさめる情熱的女弁護士であり自分の妻であるイ・ギジャ(シム・ヘジン)。そして、この二人の弁護士も夫婦生活に問題がありそうだ。さて勝つのはどっち?
現代韓国経済の問題点を背景に、韓国社会の家庭のあり方を問う作品。といっても監督はカン・ウソク。夫婦の性問題も絡めた愉快なコメディに仕上がっている。その作品内容のためか、30〜40代の中壮年主婦が映画館に押し寄せるという韓国映画では珍しい現象が起った。カン・ウソク監督とシム・ヘジンはこの映画で初顔合わせ。なお、原作は1997年に劇団「イダ」が公演して話題になったオム・イニの演劇。
第3回(1998)釜山国際映画祭「韓国映画パノラマ」部門出品作品。第13回(1999)福岡アジア映画祭では『ベッドルーム・コートルーム』という題名で上映。
初版:1999/6/5
|
投稿者:SUM さん 投稿日:1998年9月7日(月)22時50分00秒
忙しかったりですれ違う夫婦の性生活の問題を笑い飛ばした作品です。堂々と扱って笑い飛ばしたので、本当にえげつないぐらいに下品です。けれど、『トゥー・カップス』を風刺とする立場ならこの映画も「社会派」に入るような、そんなテーマの作品です。
その会社のおかげで「なまやもめ」だったと夫の元の会社を相手に裁判を起こす妻、その弁護士の女性と訴えられた会社の弁護士もまた夫婦で、その夫婦も裁判の夫婦とまぁ似たような状況で、自分たちと重ね合わせながら、笑うに笑えない状態のまま裁判が進んでいきます。ここら辺の、男女関係の描き方が、ニクいというか、なんというか、繊細というような感じじゃないんですけれど、良くできていて、笑えない話なのに、苦しいぐらいに笑ってしまうという、この状況が、なんともいえない感覚で、いやでもすがすがしいというような、複雑な気分でいてとっても気持ちいい映画でした。4人の役もまぁぴったりで、いい演技でした。
忙しいのにのまれると、どうしても、でも、・・・今度から気をつけましょう、みなさん?
【評価:★★★★】
【ソチョンの鑑賞ノート】
第3回(1998)釜山国際映画祭にて英語字幕付きで鑑賞。
面白かったと思います。「思います」と書いたのは、今一つ台詞の面白さが理解できなかったから。英語字幕付だったんですけどね。あのアン・ソンギをしてNG連発させたという法廷でのマシンガン・トーク。その日、4本目の映画で疲れていたことも手伝って今一つノリきれませんでした。その意味で、悪くはないが良くもなかったというところでしょうか。でも、同じ日1本目に見た『殺す話』と比べると、ムン・ソングンもファン・シネも役者としてちゃんと生かされているのが印象的だった。やっぱり監督は大事。
監督のカン・ウソクは、ここ数年コメディのヒット・メーカーとして有名だが、ちょっと最新の笑いとはズレている。というか、映画の笑いの型が90年代初めのままで古くなり始めているように感じた。「イ・ギジャ」→「勝とう」など登場人物の名前に意味を付けるあたり、ちょと昔の韓国映画といった趣。ポスターのセンスもこれじゃあねぇ。このまま風刺をメインとしたコメディを作り続けるのか、昔のような社会派映画に戻るのか。監督としての端境期に立っているのかもしれない。映画そのものの評価とはズレますがそんな事を感じましたね。
1998年11月17日執筆
Copyright © 1998-
Cinema Korea, All rights reserved.
|