日本でも公開された『豚が井戸に落ちた日』のホン・サンス監督第2作。原題にある「江原道」は「かんうぉんど」と読み「道」は日本の県にあたる。30代の妻帯者である大学講師サングォン(ペク・チョンハク)と教え子の女子大生ジスク(オ・ユノン)。以前不倫関係だった二人は同じ時に同じ江原道を旅しているのだが、一度も出会うことなく帰宅。そしてソウルでの再会。二人の愛をストレートに映像化するのではなく、穏やかな日常を通じストーリーをひも解いていく形式を取っているのが特徴。韓国の試写会では、前作の多分に冷笑的な視点とは違って「あたたかい感じの映画」との評もあったが、果たして?
主役のペク・チョンハクは、ニューヨークのシラキュース大学出身で、映画『産婦人科』,『オクスタン』などのプロデューサー。短編映画の監督経験もあり、ソウル国際短編映画祭で「若い批評家賞」受賞歴もある人物。オ・ユノンも全くの新人。「観客が映画の主人公の中に自分の姿を発見して共感しやすい様に...」との考えからスター俳優ではなく一般人をキャスティングした。音楽は、『つぼみ』で韓国国楽と西洋音楽を融合させ、独特な音楽を完成させたウォン・イル氏。
第51回(1998)カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品され、Special Mention Award を受賞。第3回(1998)釜山国際映画祭「韓国映画パノラマ」部門、第22回(1998)モントリオール世界映画祭、第17回(1998)バンクーバー国際映画祭、第30回(1998)ビエンナーレ国際映画祭、第42回(1998)ロンドン国際映画祭、第28回(1999)ロッテルダム国際映画祭、第22回(1999)Goteborg国際映画祭、第23回(1999)香港国際映画祭、第35回(2000)Karlovy Vary国際映画祭出品、1999年サンタバーバラ国際映画祭Burning Vision Award、第3回(1998)釜山国際映画祭NETPAC賞(最優秀韓国映画賞)、第19回(1998)青龍賞監督賞(ホン・サンス)・脚本賞(ホン・サンス)、第36回(1999)大鐘賞新人技術賞(キム・ヨンチョル)受賞作品。
原題直訳の『江原道の力』という邦題で「NEO KOREA 韓国新世代映画祭'99」、「辛韓国映画祭2003」で上映された後、2012年に『カンウォンドの恋』というタイトルでDVDがリリースされた。
『カンウォンドのチカラ』という邦題で2021年、特集上映「作家主義 ホン・サンス」にて再公開された(配給 A PEOPLE CINEMA)。
初版:1998
最新版:2021/6/20
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