ディナーの後に
題名 英題 原題 ハングル |
ディナーの後に Girls' Night Out 乙女たちの夕食 처녀들의 저녁식사 |
製作年 |
1998 |
時間 |
98(韓国公開版)
105(釜山国際映画祭版,日本公開版,日本版Video)
101(日本版DVD) |
製作 提供 |
ウノ・フィルム 三星映像事業団 |
監督 |
イム・サンス |
出演 |
カン・スヨン チン・ヒギョン キム・ヨジン チョ・ジェヒョン ナム・ミョンニョル ソル・ギョング キム・ギョンイク キム・ウンス チョ・サンゴン イ・インチョル |
日本版 Video DVD |
字幕版Video 吹替版Video DVD |
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29歳の未婚女性3人が夕食で語る自由奔放な性談義を通して、現代韓国社会における男女関係、女性の生きざまを描く。一般観客の反応は「セックスに関してこれ以上率直な映画はない」という意見から「女性に対する偏見で一杯の映画」という否定的なものまで様々だが、評論家の間では「セックスを主題としながらも品位を失わない知的な映画」,「『競馬場へ行く道』と『私からあなたへ』をミックスした作品」などなど押し並べて好評。
女性の自慰場面など、かなりの性描写があるが、チン・ヒギョンがシナリオに惚れ込み自ら出演を志願。ホテルの喫茶店でウェイトレスとして勤務し、性を楽しむよりは幸福な結婚生活を夢見てたった一人の男性ヨンジャク(チェ・ジェヒョン)とセックスをする平凡な女性ヨンを演じる。カン・スヨンは3人の女の中でもっとも性に開放的で、友人との夕食の場で自分のセックス経験をズケズケと話すデザイン会社社長ホジョン役。演劇出身の新人俳優キム・ヨジンは勉強一筋でデートよりも料理が好きな大学院生スンを演じる。3者3様の演技対決が見物。
原題は直訳すると『処女たちの夕食』だが、実際の語感としては『乙女たちの夕食』といった意味。題名にもなっている食事場面の献立はアートディレクターのチョン・ウニョン氏と料理専門家ホン・ウンジン氏が担当。監督のイム・サンスは、映画評論家イム・ヨンの息子で、延世大学社会学科と映画アカデミー5期卒業。撮影監督はホン・ギョンピョ。製作はチャ・スンジェ。
映画の予告編がアニメーションで作られて話題となった。また、あまりに過激な台詞に女優陣が撮影を拒否するなどの騒動も。30万名弱(ソウル)の観客を動員し、1998年秋夕に封切られた韓国映画としては『情事』に続くヒットとなった。
日本版Video、DVDでは「現代韓国女性について誰も知らない二、三の事柄」という副題が付けられている。
韓国でのビデオ発売時には、ビデオ会社が独自の判断で劇場公開版とは異なるカット版をリリースしたが、イム・サンス監督はこれを告訴。裁判所は「著作権と著作者人格権の同一性保持権」を認め、監督は勝訴した。そして、ビデオ会社は2001年に劇場公開オリジナル版を再発売し、収益の50%を監督に支払うことでイム監督と合意した。韓国では、著作権の意識が低く、ビデオ・リリース時にビデオ会社が勝手に作品を再編集・カットすることが少なくなかったが、この出来事はそういった動きに一定の歯止めをかける効果が期待されている。
第24回(1999)トロント国際映画祭、第3回(1998)釜山国際映画祭「新しい波」部門、大阪国際シネマドリーム'99「いずみさの映画祭」、イタリアの第14回(2000)Far East映画祭、ハワイ国際映画祭、イェテボリ国際映画祭、ロッテルダム国際映画祭、テサロニキ国際映画祭、第25回(2001)香港国際映画祭出品、第19回(1998)青龍賞新人監督賞(イム・サンス)・新人女優賞(キム・ヨジン)、第7回(1999)春史映画芸術賞女子新しい顔演技賞(キム・ヨジン)受賞作品。女性文化芸術企画とフェミニスト・ジャーナル『IF』が選定した「第3回(1998)女性観客が選んだ最高の映画、最悪の映画」のベスト2とワースト2に同時ランクイン。
初版:1998/10
最新版:2001/7/26
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【ソチョンの鑑賞ノート】
第19回青龍賞候補作上映祭にて1998年11月29日鑑賞。
1998年の秋夕(旧盆)にそこそこヒットした作品。3人のうら若い女性の性意識を素材にしており、どヘタくそな紹介文を書くとコーリアン・エロスか?と勘違いされかねない題材だが、よく出来た作品で感心した。
チン・ヒギョン、カン・スヨンという大女優に演劇出身の新人キム・ヨジンを含めた3人娘の性にまつわる話し。未婚女性の最大の関心事「結婚」と「性」について3人の女性が赤裸々な告白をする。女性のオナニー・シーンや、主人公の女性3人が大人の玩具屋で買い物をするシーンがあるなどセックス描写はなかなか過激だが、まじめに作られた作品で、いやらしさは微塵もない。ただ、男性が女性の「性」のおもちゃのように描かれており、男が見ると不愉快に感じる点が多々あるだろう。しかし、こういう視点で女性の「性」を扱った映画を日本を含めたアジア映画の中で私は見た事がないし、ひょっとしたら世界中の映画の中でも希な存在かもしれない。「女性も見られるポルノ」といった受け取り方もありうるが、それだけの評で済ます事はできない非常に目新しい新鮮な映画。3人の女性の猥談が、どのように日本語訳されるのか興味津々。また、この映画が日本女性にどのように受け止められるのか大変興味がある。
1998年12月7日執筆
NEO KOREA 韓国新世代映画祭'99(東京,1999/5/30)で日本語字幕付きを初めて鑑賞。
うーん、こんな会話してたのねと妙に感心。ちなみに知り合いの翻訳家が「なかなかうまい字幕」と誉めてました。
2度目の鑑賞になる訳ですが「なかなか新鮮で面白い作品」という評は不動。チン・ヒギョンとキム・ヨジンと比べて、カン・スヨンの脱ぎっぷりの悪さが気になりましたが、ホント面白い作品です。
上映当日はチン・ヒギョンが舞台挨拶。『銀杏のベッド』のミダン王女を思わせるような衣装で登場。フラッシュの嵐にもたじろがず、一つ一つのカメラにしっかり笑顔を作ってみせるあたりプロですなぁ。
1999年6月12日執筆
投稿者:SUMさん 投稿日:2002/2/24 19:09:57
これを見たとき(日本で)韓国人女性が大声で何度も笑っていたようだった。下品なネタもあるけれど、決して映画は下品ではない。この「まじめな」映画を笑って見れるのが一番かも。
もちろん、笑ってられないのは男の方だが。
【評価:★★★★】
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