韓国映画界の年末のお祭りであり、かつ一年間の総決算である青龍賞の授賞式が2002年12月12日、ソウルの国立劇場にて開催されました。
以下は、候補作品/候補者と、受賞作品/受賞者の一覧表です。末尾に「★」マークがついているのが今回の受賞作品/受賞者です。
今年の青龍賞は、11月4日から28日まで公式サイトにおいて一般観客からのインターネット投票を募り、実に14万5,982人が参加。それとは別に、製作者・監督・評論家など専門家129人による投票も実施され、インターネット投票=30%、専門家の投票=70%のウェイト付けにより、候補作品・候補者が選定されました。
最多ノミネート作品はカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した『酔画仙』と、今年上半期最大の衝撃作とも言える『復讐者に憐れみを』。『酔画仙』は、最優秀作品賞、監督賞、主演男優賞、助演女優賞の四部門に、『復讐者に憐れみを』は最優秀作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞の四部門にノミネートされました。次点の三部門ノミネート作品は、主演男優賞、主演女優賞、助演女優賞にノミネートされた『純愛中毒』。そして、新人監督賞と新人男優賞に二名がノミネートされた『ロードムービー』です。
なお、『酔画仙』の最大のライバルと見られていたヴェネチア国際映画祭監督賞受賞作『オアシス』は、製作会社であるイースト・フィルムのミョン・ゲナム代表とイ・チャンドン監督が不参加の意思を表明したため、最優秀作品賞部門と監督賞部門からは除外されました。ただし、俳優陣は参加の意思表明をしたため、そのままノミネートされています。ちなみに、ミョン・ゲナムとイ・チャンドンが不参加表明したのは、映画賞のスポンサーである朝鮮日報の保守的なスタンスに抗議するためとの事です。
各部門にノミネートされた作品のうち、『オアシス』を除く全24作品は、12月2日から8日まで、ソウルのスターシックス貞洞劇場にて、「スターシックス貞洞と一緒にする青龍映画フェスティバル」と銘打った候補作上映会にて上映されました。ちなみに、このイベントでは、審査委員と一般観客が一緒に映画を見ることができます。鑑賞料金は、3,500ウォン。通常のロードショー作品は7,000ウォンですから、とってもお得。
さて、12月12日に開催された授賞式ですが、キム・ヘスとチョン・ジュノの司会のもと執り行われ、その模様はKBSテレビによって全国生中継されました。
最優秀作品賞を受賞したのは、カンヌ国際映画祭で韓国映画としては初めて監督賞を受賞した『酔画仙』。11名の審査委員のうち8名の支持を得ての受賞です。なお、『酔画仙』は他に監督賞・撮影賞も受賞し、今回最多となる三部門で受賞しました。
映画賞の華、主演男優賞・女優賞は各々ソル・ギョング、キム・ユンジンが受賞。ソル・ギョングは7票を集め、『酔画仙』のチェ・ミンシクの4票を押さえて、『ペパーミント・キャンディー』以来二回目の受賞です。ちなみに、彼は2002年の主演作『公共の敵』で、第39回(2002)大鐘賞男優主演賞、第38回(2002)百想芸術大賞の大賞、第23回(2002)青龍賞主演男優賞を、そして『オアシス』で、第3回(2002)釜山映画評論家協会賞主演男優賞、第10回(2002)春史羅雲奎映画芸術祭男子演技賞、第22回(2002)映画評論家協会賞主演男優賞、第1回(2002)MBC映画賞男優主演賞を受賞しており、2002年の韓国内映画賞の主演男優賞はソル・ギョング一人にほぼ独占された格好となりました。
一方のキム・ユンジンは6票を獲得し、イ・ミヨンの3票、ペ・ドゥナの2票をかわして、初の受賞となりました。日本で抜群の知名度を誇る彼女ですが、主演女優賞での受賞はこれが初めて。
新人監督賞は『ロードムービー』のキム・インシク。11名いる審査委員のうち10名という圧倒的支持を得ての受賞です。新人男優賞を受賞したファン・ジョンミン、新人女優賞を受賞したムン・ソリは映画界におけるキャリアは短いものの、現時点で既に「新人」とは呼べないオーラを放っている役者です。
『ジェイル・ブレーカー』で脚本賞を受賞したパク・チョンウは、『アタック・ザ・ガス・ステーション!』、『ラスト・プレゼント』、『新羅の月夜』、『ライターをつけろ』などで有名な超売れっ子シナリオ・ライター。来年はいよいよ監督デビューする予定です。
初版:2002/12/12
最新版:2003/5/6
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