血も涙もなく
題名 漢字題 英題 ハングル |
血も涙もなく 無血無涙 No Blood No Tears 피도 눈물도 없이 |
製作年 |
2002 |
時間 |
110 116(釜山映画祭) 117(日本版DVD) |
製作 投資・配給 |
良い映画 シネマ・サービス |
監督 |
リュ・スンワン |
出演 |
チョン・ドヨン イ・ヘヨン チョン・ジェヨン リュ・スンボム シン・グ チョン・ドゥホン ペク・イルソプ キム・ヨンイン ペク・チャンギ イ・ヨンフ ケ・ソンヨン【友情出演】 チョン・ギュス イ・ムンシク アン・ギルガン イム・ウォニ 【特別出演】 キム・ホンジュン イ・ムヨン オ・スンウク ポン・ジュノ イム・ピルソン クライング・ナッツ |
日本版 Video DVD |
DVD |
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女性二人が主人公のコミカル・アクション・パルプ・ノワール。パルプ・ノワールの「パルプ」は『パルプ・フィクション』からとられている。
元金庫荒らしで、現在ではタクシー運転手になった女性「革ジャンバー」ことキョンソン(イ・ヘヨン)と、元ボクシングのラウンド・ガールで歌手志望の闘犬場の女ボス「サングラス」ことスジン(チョン・ドヨン)の二人が出会い、お金の入ったかばんをめぐった騒動に巻き込まれる。
恋愛映画を得意とするチョン・ドヨンが、ヘア・スタイルをクレオパトラ風に変えて、初めてコミック・アクション演技に挑戦。この映画で、彼女は2億6000万ウォンと、女優としては最高の金額で出演契約。イ・ヘヨンは実に六年ぶりの映画出演となるが、チョン・ドヨンとは1998年のミュージカル『涙の女王』で共演している。
『ダイ・バッド 〜死ぬか、もしくは悪(ワル)になるか〜』でデビューしたリュ・スンボムが、『ワイキキ・ブラザース』に続いてウェイター、チェ・ミンス役で出演。ちなみにリュ・スンボムは2001年にSBSドラマ『華麗なる時代』でテレビ・ドラマ・デビューし、年末のSBS演技大賞ではニュー・スター賞(新人賞)を受賞するなど、テレビ界でも強烈な印象を残している。
主演の二人はチョン・ドゥホン武術監督から激しいアクション演技の指導を受けた。また激しいアクション・シーンの撮影で、チョン・ドヨンやその相手役チョン・ジェヨンが負傷、ポスターの中ではチョン・ドヨンが負った傷がそのまま公開された。
純製作費23億ウォン。ポスター撮影用のセットに異例の2億ウォンをかけ、100名ものエキストラを投入して写真作家カン・ヨンホが撮影したポスターも話題に。
監督は『ダイ・バッド 〜死ぬか、もしくは悪(ワル)になるか〜』を作ったアクション小僧リュ・スンワン。
製作はキム・ミヒ。企画はカン・ウソク。脚本はチョン・ジヌァン。撮影はチェ・ヨンファン。照明はキム・ソングァン。編集はキム・サンボムとキム・ジェボム。音楽はハン・ジェグォン。武術監督はチョン・ドゥホン。特殊効果はチョン・ドアン。
インディーズ・ロックバンドのクライング・ナッツ、『ヒューマニスト』のイ・ムヨン監督、『キリマンジャロ』のオ・スンウク監督、『ほえる犬は噛まない』のポン・ジュノ監督らが特別出演している。
第22回(2002)ハワイ国際映画祭Action Asia部門、第7回(2002)釜山国際映画祭韓国映画パノマラ部門、第5回(2003)Udine Far East Film Festival招待作品。
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投稿者:カツヲうどんさん 投稿日:2002/3/19 22:44:49
よく出来た音楽アルバムを聞くような洗練されたリズムに、激しいバイオレンスとアクションが織り込まれた「韓国映画」を超える驚愕の一本。
それは、まるで若い頃の黒澤明や深作欣二の作風を連想させるかのようだ。
アメリカのクエンティン・タランティーノの作品『パルプ・フィクション』や『ジャッキー・ブラウン』を思わせる複雑な構成と内容で物語は語られるが、この映画にとって、そんなことはどうでもよい。
それよりも、一番の見所は、本家タラちゃんを遥かに超えた映像の躍動感と美しい暴力表現、そして俳優陣の素晴らしさである。若造からオヤジ連中、男も女も、出演俳優たち全てを魅力的に輝かせているリュ・スンワンの演出手腕は、ただ者ではない才気を感じさせる。
スジン役のチョン・ドヨンは、コケテッシュな魅力全開で、あまりの変わりように、一瞬誰だか分からないくらい。だが、ここまで彼女の三枚目的資質を引き出せたのは、この映画が初めてではないか? 最近作『ハッピーエンド』からは想像もつかないキャラクターを実に活き活きと、熱を込めて演じている。
キョンソン役のイ・ヘヨンは、「おねえさんとおばさんの境界」という微妙な年齢的立場を上手く生かし、役を格好よく、スマートに演じているが、この作品の中では、一番常識的な役柄であるためか、割を食った感がある。
そして、この映画の本当の主演ともいうべき俳優は、ボクサー崩れのヤクザを演じるチョン・ジェヨンだ。彼の風貌のあまりの変わりように、私は一瞬「整形した???」と錯覚したくらい。前作『ガン&トークス』では、あくまでも他の引き立て役に徹したニヒルな役柄だったが、この作品ではその面影は粉みじんになくなり、いきあたりばったりに殺人鬼と化してゆく、やけっぱちだがどこか醒めたアウトローを、あまりにも魅力的に演じている。
彼の魅力の前では、主演であるはずの二人の女優は完全に霞んでしまった。
チョン・ジェヨンが、現在の韓国男優陣の中で、もっとも「いい男」の一人である事は、まず間違いないだろう。
あまりにも暴力的で激しい映画ゆえ、万人に受けるとはいえないものの、2002年における必見の問題作であることは間違いない。特に日本におけるヒット作『シュリ』や『JSA』で、韓国映画に特定のイメージを抱いてしまった方々には是非、観てもらいたい作品だ。
【評価:★★★★★】
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