ひとまず走れ!
題名 英題 原題 ハングル |
ひとまず走れ! Make it big! ひとまず走れ 일단 뛰어 |
製作年 |
2002 |
時間 |
120 113(日本公開版) |
製作 提供 共同投資 製作支援 |
企画時代 コリア・ピクチャーズ 未来アセット・キャピタル 未来アセット・ベンチャー投資 コエル創業投資 東洋アイテック KBSメディア AC21シネマ ウィン・ベスト・ベンチャー投資 ハンミ創業投資 |
監督 |
チョ・イソク |
出演 |
ソン・スンホン イ・ボムス クォン・サンウ キム・ヨンジュン イム・ジョンウン チョン・ギュス イ・ムンシク |
日本版 Video DVD |
字幕版Video 吹替版Video DVD Blu-ray |
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「ある日、突然大金を手にしたら?」 20代の人気若手タレントを起用して、若干26歳の青年監督が、若さあふれる軽快な音楽と映像で綴ったコミカル・アクション。ある日突然大金を手に入れてしまった高校生三人組、そして彼らを追う新参刑事と泥棒、殺し屋達が繰り広げる追撃戦を描く。
アメリカに留学していた関係で2年遅れで高校に通っている、血の気の多い金持ちの息子ソンファン(ソン・スンホン)、ホストのバイトで小遣い稼ぎをするウソプ(クォン・サンウ)、ホームページの作成に情熱を傾けるジヌォン(キム・ヨンジュン)。毎晩のように連れ添って遊ぶ彼ら高校生三人組の車の屋根に、ある日、血だらけの人間と何百万ドルもの大金が入ったカバンが落ちてきた。三人は金を持ってひとまず逃げることにするのだが・・・ 一方、新米刑事ジヒョン(イ・ボムス)は、警報システムが作動した消費者金融業者の家に出動するが、不思議なことに金融業者は「盗まれたものは何もない」と言い張る。なにやら胡散臭さを感じたジヒョンは捜査をすすめ、怪しい高校生三人組に目をつける。
主役の高校生三人を演じるのは、ブラウン管で人気の若手タレント。ソンファンを演じるソン・スンホンは、善人顔のマスクが売りだが、この映画では悪童ぶりを見せて話題に。キム・ヨンジュン(22)は『新羅の月夜』や『達磨よ、遊ぼう!』にも出演している若手男優。『火山高』に出演していたクォン・サンウ(1976年8月5日生まれ)が、ホストで年上の女性を手玉に取るウソプを演じる。長年バイ・プレーヤーとして名を馳せ、2002年に本作より先に公開された『ジャングル・ジュース』で初の主演をつかんだイ・ボムスが刑事役で出演。さすがの演技を披露している。また、泥棒コンビのチョン・ギュス、イ・ムンシクの爆笑演技も見所。そのほか、プロデューサーのユ・インテクと親しいハンソル・グループの名誉会長チョ・ドンヒョクが、ソン・スンホンの成金の父親役で出演している。
本作で長編監督デビューするのは、1976年生まれ、韓国芸術総合学校映像院映画科1期生で、同大学院2年に在学中のチョ・イソク。彼は、映像院卒業作品の短編『ファンタ・トロピカル』(1999)で注目された人物。そのほか、1999年には短編『日照雨』、『1997、夏』、『島』、『アリスと恋におちる』、『we can't share the toilet』の撮影を担当し、2001年には短編『ポラロイド』の演出をしている。また、短編映画の発表と平行して、長編映画とミュージック・ビデオの演出部でも経験を積んでいる。なお『ファンタ・トロピカル』は『ひとまず走れ!』と構造の似た作品で、二名の高校生がお金の入ったカバンをめぐって繰り広げる騒動を描いたノワール風の作品。台北映画祭、スウェーデンのウムサララ・フィルム・フェスティバルのコンペ部門に招待されている。
製作はユ・インテク。脚本は監督のチョ・イソク。撮影はキム・チョルジュ。照明はヤン・ウサン。音楽はキム・ヒョンジュン。編集はハム・ソンウォン。美術はパク・イリョン。
製作費は18億ウォン。予告編にはフィギュア・アニメーションが採用された。目新しさのある作品ではないが、Queenの"Don't Stop me Now"などに代表される音楽と映像のセンス、また犬に蹴られて満月に突っ込むシーンなど、CGを駆使した漫画チックな表現などが興味深い。
同じく2002年には同系統の作品『ジャングル・ジュース』が公開されている。また大金がある日突然・・・という内容の韓国映画としては、『金を持って高飛びしろ』、『血も涙もなく』などを挙げることができる。
第6回(2002)富川国際ファンタスティック映画祭メイド・イン・コリア部門招待作品。
初版:2002/9/18
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投稿者:カツヲうどんさん 投稿日:2002/6/10 21:56:07
二十六歳の青年が監督として一本の作品を任された。この事実は数年前の韓国だったら全く考えられない状況である。きっとチョ・イソク監督は将来を嘱望されているに違いない。そう、この監督は豊かな才能を期待されていたはずなのだ。だが・・・
この『ひとまず走れ!』はあまりにも無残な作品である。
「若手、新人、デビュー作」という要因を考慮しても、とてもお金を払って観るレベルに達していない。映画学校の学生がすぐ書きたがるようなプロットと、素人が走りがちな安易な映像テクニックに汚染されたお粗末な映画だ。
恐らくはガイ・リッチー作品(『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』、『スナッチ』)の模倣を出資者側から要求されたのだろうが、それらのデッド・コピーにすらなっていない。リュ・スンワンの『血も涙もなく』のようでもあるが、こんな作品と比較されたら、リュ監督にとってもただのマイナスだろう。
まず主演の三人組にさっぱり魅力がない。にしきのあきら(錦野旦)に良く似たソン・スンホンは濃い眉毛が印象に残るだけ。吉本興業の坂田利夫そっくりのキム・ヨンジュンはフレディ・マーキュリーの物真似が2秒笑えるのみ。クォン・サンウに関しては何のコメントもしようがないくらい影が薄い。
そして大金を手にしたこの三人組が何をするかというと、贅沢な食事をしたりアウディを乗り回したりするだけで、その発想と見せ方が常識範囲。つまらない事この上ない。こういう部分に監督の引き出しの少なさが出てしまうので、観ていて悲しい気分になった。
シン・ポンシク演じる巨漢の殺し屋は、おもわせぶりなだけで大した活躍をしない。それが演出意図だとしたら、見当外れもいいところである。ど素人の高校生が、いかにして凶悪な殺し屋と闘うかを観客は期待していたはずなのだ。イム・チョンウン演じる紅一点は、ほんの添え物程度。これではガラス越しのマネキン人形である。本人にいくら演技力がないからといっても、ひどすぎる。テコンドーを使うドーベルマンを、ちゃちなCGIで手間暇かけて作るくらいなら、もっと人と人とのぶつかり合いに知恵を絞るべきなのではないか。
唯一の救いは、刑事ジヒョンを演じる井筒和幸監督そっくりのイ・ボムスである。地味だが味のあるキャラクターの彼がいたからこそ、映画はなんとか保たれた、といっても過言ではない。
シーンによっては若手らしい部分もあるが、映画以前の作品で終わってしまった。悲劇のデビュー作である。星取りは実質マイナス星2つ。
【評価:★】
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