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ボイス


題名
英題
原題
ハングル
ボイス
The Phone
フォン
製作年 2002
時間 100(韓国公開版)
102(日本公開版)
製作
投資・配給
 
トイレット・ピクチャーズ
ブエナビスタ・
 インターナショナル・コリア
監督 アン・ビョンギ
出演 ハ・ジウォン
キム・ユミ
チェ・ウジェ
チェ・ジヨン
ウン・ソウ

【友情出演】
イ・ジョンス
チェ・ジョンユン
チョン・ソンファン
キム・ジェイン
日本版
Video
DVD
字幕版Video
吹替版Video
DVD

 現代人の必須アイテムである携帯電話を題材にしたミステリー&ホラー。刃物や血をふんだんに使ったハリウッド型スプラッター・ムービーではなく、中田秀夫監督の『リング』や『仄暗い水の底から』型の作品。「女性の恨み・執念」を恐怖・寒気の根源とする。また、2002年日韓国民交流年プレ事業「2001韓国映画プロジェクト2」で日本初公開されたイ・マニ監督の『魔の階段』(1964)やキム・ギヨン監督の『下女』(1960)など、1960年代の韓国恐怖映画からの引用やオマージュと思われるシーンや設定があるほか、物の怪に取り付かれたかのごとく振舞う子供は『エクソシスト』のリンダ・ブレアに匹敵する凄みを持つ。

 援助交際の記事を書いたジャーナリストのジウォン(ハ・ジウォン)は、しつこい脅迫電話に苦しめられ、親友のホジョン(キム・ユミ)とその夫チャンフン(チェ・ウジェ)に勧められるままに、夫妻の別宅にしばらく身を隠すことにする。そして、これを機にと、電話会社で「この番号しかない」と言われた"011-9998-6644"に携帯電話の番号を変更する。しかし、ホジョンの娘ヨンジュ(ウン・ソウ)が、ジウォンの代わりにこの電話に出てから、何かに憑かれたような異常な行動をとり始め、絵に描いたような理想的なホジョンの家庭はめちゃくちゃになってしまう。その一方で、ジウォンに脅迫電話をかけていた犯人が、ジウォンの携帯電話にかかってきた雑音交じりの少女の声を聞いた瞬間、恐怖のあまり心臓発作で死んでしまうという事件も発生。謎の事件の手掛かりを探し始めたジウォンは、以前自分の携帯電話の番号を使っていた人たちが皆謎の死を遂げており、ある女子高生は失踪していることを知る。

 劇中登場する電話番号の"6644"は西欧で悪魔の数字と忌み嫌われる"6"と、「死」を意味する"4"(韓国語でも「死」と「四」は同じく「サ」と発音する、四階がないビルも多い)を組み合わせたものだが、この四桁の番号はなんとアン監督の持っている携帯電話の番号と一緒だという。

 ハ・ジウォンは、アン監督の前作でこれまたホラー映画の『友引忌 −ともびき−』にも主演。二作続けてのホラー映画出演となり、くわえて両作品ともスマッシュ・ヒットとなったため本作公開中は「ホラー・クィーン」の名を欲しいままにした。また、次回作のギャラも一気に高騰したとか。なお、二作連続でホラー映画にハ・ジウォンを起用した理由を監督のアン・ビョンギは「彼女の独特の瞳に代わるものがなかった」と答えている。

 1980年10月12日ソウル生まれで、SBSテレビ・ドラマ『警察特攻隊』(2000)でデビュー、同作でSBS演技大賞新人賞を受賞したキム・ユミ(金有美)がハ・ジウォンの友人カン・ホジョンを演じる。彼女は『警察特攻隊』以外にも、『天使の憤怒』(SBS,2000)、『商道』(2001,MBC)、『太陽人イ・ジェマ』(2002,KBS)、『ロマンス』(2002,MBC)など主にテレビ・ドラマで活躍するタレントで、本作の後には『威風堂々の彼女』(MBC,2003)に出演している。『魚座』に出演していたチェ・ウジェ(1974年ソウル生まれ、187cm)がホジョンの夫で、証券会社CEOのイ・チャンフンを演じる。二人の娘で7歳の女の子は、SBSテレビ・ドラマ『守護天使』の演技により2001年SBS演技大賞子役部門で受賞した子役のウン・ソウが演じる。ちなみに、彼女の兄ウン・ウォンジェは『ロスト・メモリーズ』に出演している。2000年にCMで芸能界デビューしたチェ・ジヨン(1980年ソウル生まれ)は、2001年にチャン・ドンゴンと共演したCMで「イ・ヨンエにそっくり!」と話題になり、MBCテレビ・ドラマ『愛の賛歌』やSBSテレビ・ドラマ『お父さんと息子』に出演した女優で、映画初出演となる本作では問題の女子高生ジニ役を演じた。

 『新羅の月夜』のイ・ジョンスと、アン監督の前作『友引忌 −ともびき−』に出演していたチェ・ジョンユンが友情出演。

 2000年に公開されヒットした正統派ホラー『友引忌 −ともびき−』のアン・ビョンギ監督第二作。製作も監督のアン・ビョンギ。シナリオはイ・ユジンと監督のアン・ビョンギ。プロデューサーはキム・ヨンデ。撮影はムン・ヨンシク。照明はチェ・ソンウォン。音楽はイ・サンホ。セットはオ・サンマン。編集はパク・スンドク。製作は、アン監督が設立したトイレット・ピクチャーズ。総製作費は30億ウォン(うち純製作費は20億ウォン)。ハリウッドの韓国内直接配給会社ブエナビスタが初めて韓国映画の投資・配給を担当した作品。

 第6回(2002)富川国際ファンタスティック映画祭クロージング、東京国際ファンタスティック映画祭2002、2003年ブリュッセル国際ファンタジー映画祭、第5回(2003)Udine Far East Film Festival招待作品。

 第26回(2003)黄金撮影賞金賞(ムン・ヨンシク)・準会員賞(ホン・スンワン)・照明賞(チェ・ソンウォン)受賞作品。

 全国で200万人を超える動員数をマークし、2002年サマー・シーズンに公開された韓国映画としては、最大のヒット作となった。

 日本ではマスコミ試写の最中から不気味な出来事が次々と発生し、試写場でお祓いがされた。また、テレビのスポットCMが、子役のウン・ソウの鬼気迫る演技に「子供が怖がる」とクレームが殺到、急遽別バージョンに差し替えられるなど、公開前から話題を呼んだ。

 日本ではノベライズ小説『ボイス』(吉村達也著)が角川ホラー文庫より発売されている。

初版:2002/9/11
最新版:2003/4/28


■ 『ボイス』 プレミア試写会舞台挨拶リポート

 『ボイス』のプロモーションで来日したアン・ビョンギ監督と主演のハ・ジウォンの舞台挨拶&囲み取材のリポートはこちら



投稿者:カツヲうどんさん 投稿日:2002/8/25 21:42:02

 とにかく、うるさい映画である。だが、これがアン・ビョンギ監督の狙いであれば、それは凄いことかもしれない。

 映画の出だしは、諸星大二郎初期の漫画作品を連想させる、いい雰囲気(ただし、うるさい)で始まるが、ストーカー物サスペンスから、『女校怪談』の続編のような話になってゆき、最後は新東宝のお化け映画のような結末に辿り着いて行く。

 前作『友引忌 −ともびき−』が、アメリカのティーン・エイジ向けホラーのオマージュならば、今回は『シックス・センス』や『リング』など、リアリズム系へのオマージュといった趣で、前作から監督が一層(一応)研究を重ねたことがよく分かる作品となっている。

 全編を通し撮影は極めてシャープな仕上がりで、独特な冷たい映像を作ることに成功している。この「はっきりくっきり」の映像美は監督の個性を象徴しているようで面白い。また、やかましいサウンド・デザイン自体は、音響の特性をよく考慮したメリハリのある仕上がりになっている。ちなみに音楽は二十年前のジェームズ・ホーナー(『タイタニック』など多数)風だ。

 主演のハ・ジウォンは、残念ながら個性が希薄で闘うヒロインとしては物足りない。彼女を巡る友人夫婦役のキム・ユミも、その夫役のチェ・ウジェも同様だ。ただし子役のウン・ソウが強烈で、観た者の記憶に強く焼き付く。彼女のお世辞にも「可愛い」とか「美少女」とは言えない特徴ある顔立ちも際立っている。

 物語の決着はハッキリ言って強引だ。また、謎の全てを延々と説明する流れも、うんざりするが、これには全てを明瞭にしなければ気が済まない韓国人気質を見るようでもあった。

 M.ナイト・シャラマン監督(『シックス・センス』や『アンブレイカブル』)や中田秀夫監督+脚本家高橋洋(『女優霊』や『リング』)が、「幽霊の実在」という命題に徹底的にこだわって成功したのに対して、アン・ビョンギ監督は、どうも、そんな事柄には関心が薄いらしい。この監督、曖昧な表現を必要とされるホラーよりも、アクション映画の方が向いているような印象を受けるので、次回は是非そちらの方に挑戦してほしいものだ。

【評価:★★★】



投稿者:SUMさん 投稿日:2003/4/30 00:33:23

 『友引忌 −ともびき−』同様、「怖がらせる」映像の撮り方はしっかりしている。役者がそろってしっかりしているのもすばらしい。ハ・ジウォンのファンでなくても見逃すのはもったいない。

 パンフレットでも韓国では女性が差別される故に女性の方が執念深いというイメージがあると指摘されている。その説明で『リング』が韓国でもヒットしたことも合点がいく。若い女の子の復讐といえば、『秘密』も同じテーマであるが、こういうテーマが好まれるのだろうか(撮影のムン・ヨンシクは『秘密』も担当している。全体の演出スタイルは『ボイス』の方がモダンだが、人の顔の撮り方、怨念のカメラへの焼き付け方もイメージが重なる)。いやいや、日本でも幽霊といえば女性の方が多いような気もする。某テレビ番組の紹介で、『the EYE』や、ちと古いが(監督もファンであり、影響も感じられる)『リング』などをもとに「無差別殺人ホラーが多いハリウッドに対して理由のある復讐がアジアのホラーとして多い」と紹介していたが、かなり当たっている。

 まぁ、ホラーと限定せずにスリラーも入れてみると、「怖い復讐劇」は別に珍しくもない。『ボイス』もハリウッド映画と比較するなら『ホワット・ライズ・ビニース』との方がぴったりくる。この手の映画がハリウッドで珍しいわけではない。アジアン・ホラーの中にあってアン・ビョンギの作風はスリラー系ホラーへ向かっていくのだろうか。アン・ビョンギがナイト・シャマランのようにどんでん返しさえあればどんな落ちでも構わないといった無節操な方向に進まないことを祈る。

 ここからネタバレあり。

 パンフレットの監督のインタビューにもあるとおり、エドガー・アラン・ポーの『黒猫』のイメージをふくらませた作品であることは間違いない。『黒猫』自体、何度も映画化されている(わりにB級が多いのかどうか知らないが日本ではあまり公開されていない)が、最後のオチがポケベルという翻案が日本のマンガ『アウターゾーン』でも扱われているそうだ。三池崇史監督が『着信アリ』という携帯もののホラーを製作中だが、ホラー映画の作品間の相互影響の研究などし始めると、これはホラー映画研究家の仕事は多そうだ。

【評価:★★★★】


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