「韓国のアカデミー賞」と呼ばれる大鐘賞の授賞式が2002年5月26日、COEXコンベンション・オーディトリアムにて行われました。
◆ 第39回(2002)大鐘賞映画祭 ◆
開催日程 |
4月28日〜5月8日 予選審査(候補作品を決定)
5月18日〜24日 本選審査および人気賞投票
5月26日 授賞式 |
主催 |
社団法人韓国映画人協会 |
後援 |
文化観光部、映画振興委員会、韓国芸術文化団体総連合会
全国劇場連合会、ソウル特別市劇場協会、韓国映画製作者協会
韓国映画製作家協会 |
公式サイト |
http://www.daejongsang.com/ |
以下は、候補作品/候補者と、受賞作品/受賞者の一覧表です。末尾に「★」マークがついているのが今回の受賞作品/受賞者です。
大鐘賞の授賞式が2002年5月26日、MBCテレビのホン・ウンチョル、パク・ナリム両アナウンサーの司会の下、COEXコンベンション・オーディトリアムにて開催され、ケーブルテレビの映画専門チャンネル「ムービープラス」によって生放送されました。
毎年微妙に運営方法が変更される大鐘賞ですが、今年もっとも大きな変更点は、規定改正によって、外国人も受賞対象となったこと。さっそく、女優主演賞候補に『パイラン』のセシリア・チャン(香港)が、助演男優賞候補に『ロスト・メモリーズ』の仲村トオル(日本)が、音楽賞候補に『インディアン・サマー』の Michael Staudacher(ドイツ)が、美術賞候補に『MUSA−武士−』の霍廷霄(中国)が、衣装賞候補に同じく『MUSA−武士−』の黄寶榮(中国)がノミネートされ、仲村トオル、Michael Staudacher、黄寶榮の三人は晴れて、大鐘賞初の外国人受賞者となりました。『シュリ』以降、海外で韓国映画が公開される件数が激増し、それがきっかけとなって合作が増えてきたことを反映した今回の規定改正。改正と同時に外国人が三人も同時受賞するというのは、やり過ぎの感がなきにしもあらずですが、ここは「将来にわたって合作を推進させる」という韓国映画界の海外に対するメッセージとして肯定的に受け取っておくべきでしょう。
さて、栄えある最優秀作品賞は、いたずら少年と田舎住まいのおばあさんのふれあいを描き、今年上半期最高のヒット作となった『おばあちゃんの家』が受賞しました。また、準グランプリに相当する審査委員特別賞は、浅田次郎の短編小説『ラブ・レター』を脚色した『パイラン』が受賞。ちなみに、『おばあちゃんの家』は脚本賞と企画賞、『パイラン』は監督賞も同時受賞しています。
一方、日韓間に横たわる歴史問題を題材にしたSF大作『ロスト・メモリーズ』は、仲村トオルが助演男優賞を受賞したほか、新人監督賞・視覚効果賞・音響技術賞と四部門を独占。今回、最多受賞作品となりました。また、中国オールロケによる大型時代劇『MUSA−武士−』は編集賞と衣装賞を、朝鮮戦争の傷跡を題材にしたミステリー大作ドラマ『黒水仙』は撮影賞・照明賞・美術賞を受賞しました。
近年、予算投入型の大作映画と地味系の作品とに二極分化が進んでいる韓国映画界ですが、このように見てみると、映画賞においても主要部門は地味系映画によって、技術系の賞は大作系の映画によって占められていることがわかります。
映画賞の華、女優主演賞と男優主演賞は、『猟奇的な彼女』のチョン・ジヒョンと『公共の敵』のソル・ギョングが受賞。ソル・ギョングは百想芸術大賞の大賞に引き続いての連続受賞となりました。ちなみにソル・ギョング主演作は、本年は『公共の敵』のほかにも『鳥は閉曲線を描く』、『オアシス』が公開され、『ジェイル・ブレーカー』も公開予定。日本では『ペパーミント・キャンディー』、『燃ゆる月』によってしか、その活躍をうかがい知ることができませんが、今年のソル・ギョングはまさに八面六臂の大活躍。質量共に「韓国映画界の顔」に成長しました。
一方の華、チョン・ジヒョンは女優主演賞と共に、ファンの投票によって選ばれる人気賞もダブル受賞。ちなみに、『猟奇的な彼女』のパートナー、チャ・テヒョンも人気賞を受賞していますが、このフレッシュな若手二人の受賞という結果は、ここ数年で急速に台頭してきた二十代の若手俳優の勢いを感じさせる出来事でした。
最後に作品別ノミネート数を集計しておきます。
『ロスト・メモリーズ』(14個部門)
『MUSA−武士−』(10個部門)
『おばあちゃんの家』(9個部門)
『公共の敵』(8個部門)
『火山高』、『黒水仙』(7個部門)
『猟奇的な彼女』、『パイラン』(6個部門)
初版:2002/5/27
最新版:2002/8/20
Copyright © 1998-
Cinema Korea, All rights reserved.