シュリ
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北朝鮮の特殊工作部隊と韓国の情報機関の戦いを描いた大ヒット・スパイ・アクション大作。ミステリー、アクション、メロを巧妙にブレンドしており、南北分断という民族的悲劇を、韓国の情報機関員と北朝鮮の凄腕女性スナイパーとの悲恋物語という誰にでも理解できる普遍的なエピソードを通じて描いているのが秀逸。『銀杏のベッド』のカン・ジェギュ監督第2作。題名は朝鮮半島にだけ棲息する淡水魚の名前で、映画の中では作戦コード名として使われる。
秘密情報機関OPの諜報員ユ・ジュンウォン(ハン・ソッキュ)とイ・ジャンギル(ソン・ガンホ)は相次ぐ要人暗殺事件を調査中、事件に北朝鮮特殊8軍団が介入しており、彼らが国防科学技術研究所で開発された液体爆弾CTXを奪取しようとしていることを知る。彼らは現場に急行するが時既に遅く、CTXは盗まれた後だった。ユ・ジョンウォンは犯人がパク・ムヨン(チェ・ミンシク)率いる特殊8軍団であることを確認する。OPは非常事態に突入するが、CTXを奪った特殊8軍団のテロ目標が何であるのか分からない。そして、パク・ムヨンの行方を追うユ・ジョンウォンとイ・ジャンギルは、敵にOP内の情報が漏れていると感じる。裏切り者は誰か? そして特殊8軍団のテロ目標は何か?
数多くの特殊効果撮影や、都心での市街戦を3千名以上のエキストラを動員して撮影するなど今までにない規模のアクション映画。監督は前作『銀杏のベッド』の上映が終わる頃からシナリオの構想に着手。巨額な製作費に投資する企業を見つけるのに難航するが、ハン・ソッキュのキャスティングが決まると、三星映像事業団が30億ウォンという韓国映画史上最高の製作費投資を決定(と、韓国の新聞では伝えられたが、監督によると三星映像事業団が投資を決定したのはハン・ソッキュのキャスティングが決まる前だったとか)。『ナンバー・スリー』で共演したハン・ソッキュ、チェ・ミンシク、ソン・ガンホが再共演しているが、彼ら主演陣はアクション・シーンに備えての激しいトレーニングで生傷だらけの体になったという。
北朝鮮特殊工作部隊隊長役の中堅俳優チェ・ミンシクの演技と存在感が圧巻。彼はこの映画の演技で主演男優賞を受賞し、一躍人気者に。ハン・ソッキュの恋人役でストーリーの鍵を握る女性イ・ミョンヒョンを演じるのは、新人キム・ユンジン。彼女はブロードウェイでの活動歴もある本格的な演技派。帰国後いくつかのテレビ・ドラマに出演した後、この映画で本格的にデビュー。
脚本は監督のカン・ジェギュ。脚色はパク・チェヒョン、ペク・ウナク、チョン・ユンス。撮影監督はキム・ソンボク。音楽を担当したのはイ・ドンジュン。
韓国では1999年の旧正月休みに封切りされ爆発的な大ヒット。これまで『風の丘を越えて〜西便制』が持っていた韓国映画最高興行記録を更新し、ついには『タイタニック』が持っていた韓国における歴代最高興行記録も更新。一種の社会現象になり、『シュリ』を見なければ仲間外れになるという意識が老若男女の足を劇場街に向けさせた。
香港では『生死諜變』という題名で、1999年11月4日に封切りされ、初日の興行成績トップを獲得。また、台湾でも『魚』([魚各]という表記もあり)という題名で同年11月12日に公開された。
映画をノベライズした小説『シュリ』(鄭石華,タルン・セサン)が出版され、これは日本でも文春文庫から『シュリ ソウル潜入爆破指令』(著者:鄭石華・姜帝圭,訳者:金重明)という題名で出版されている。
第22回(1999)黄金撮影賞銀賞(キム・ソンボク)・新人演技賞(キム・ユンジン)・人気男優賞(チェ・ミンシク)・撮影補助賞(ユン・ホンシク)、第35回(1999)百想芸術大賞作品賞・監督賞・男優主演賞(チェ・ミンシク)、第36回(1999)大鐘賞男優主演賞(チェ・ミンシク)・新人女優賞(キム・ユンジン)・照明賞(ウォン・ミョンジュン)・編集賞(パク・コッチ)・音響技術賞(イ・ビョンハ,キム・ソグォン)・企画賞(カン・ジェギュ,ビョン・ムリム)、第19回(1999)映画評論家協会賞新人女優賞(キム・ユンジン)・脚本賞(カン・ジェギュ)・技術賞(編集:パク・コッチ)・特別賞(企画:カン・ジェギュ,ビョン・ムリム)、第20回(1999)青龍賞監督賞(カン・ジェギュ)・韓国映画最高興行賞受賞作品。
1999年のニューヨーク映画祭で上映。第4回(1999)釜山国際映画祭オープン・シネマ部門、第44回(1999)アジア太平洋映画祭コンペ部門、第12回(1999)東京国際映画祭特別招待、フランスの第2回(2000)ドーヴィル・アジア映画祭パノラマ部門、2000年スコットランド・エジンバラ映画祭、第4回(1999)モントリオール・ファンタジア国際映画祭、第13回(2000)ヘルシンキ国際映画祭LOVE & ANARCHY部門、第22回(2000)モスクワ国際映画祭National Hits部門、第21回(2001)Fantasporto国際映画祭監督週間部門、第15回(2001)英国リーズ国際映画祭招待、イタリアの第14回(2000)Far East映画祭オープニング上映、2000年のサン・セバスチャン映画祭クロージング上映作品。第44回(1999)アジア太平洋映画祭で、審査委員特別賞と編集賞(パク・コッチ)を受賞。
初版:1999/3
最新版:2001/10/13
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豆知識
映画の題名となっている「シュリ」は朝鮮半島にだけ棲息する淡水魚の名前。学名は"Coreoleuciscus splendidus"。正式な和名は「ヤガタムギツク」といい、別名「ヒメウグイ」。映画の中では、携帯電話の液晶ディスプレイに「シュリ第一段階作戦開始」の文字が浮かぶ他、パク・ムヨンが電話でCTXによる爆破予告をする台詞の中で「シュリ」という魚名が出てくるのみで、「シュリ」の映像は出てこない。ちなみに、「シュリ」という題名は日本人にとって読みやすい発音になるよう付けているので、韓国の人に向って「シュリ」と発音しても通じにくい。「シリー」と発音したほうが通じる可能性が高いです。
「シュリ」について詳しくはこちら(韓国語)をご覧ください。実物の「シュリ」の画像もあります。同ページの英語版はこちらです。
参考文献:『東亜大百科事典』(韓国語),『原色魚類大図鑑』(北隆館)
【ソチョンの鑑賞ノート】
1999年3月31日、ソウルのシネコア劇場にて鑑賞
基本的に血が飛び散る映画は嫌いなのですが、それを差っぴいてもこの映画は素直に「面白かった」と言えます。まず、冒頭の10分間に驚きました。映像と音だけでこの映画の基本設定を語っていくのですが、これが台詞らしい台詞も殆どないのにものすごく良く分かる。丁度『ソウル・ガーディアンズ 退魔録』の冒頭10分間と似た作りになっています。ただし『ソウル・ガーディアンズ 退魔録』は映像と音で「こりゃハリウッド映画か?」と思わせるものの、映画のバックグラウンドとなる設定を全て理解させるには無理があると感じるのに対し『シュリ』は冒頭の10分間で南北分断という状況がこの映画にどう関わってくるのかが全部分かってしまうのですね。恐ろしいことに。
アクション映画であると同時に主人公の男女の悲恋物でもある訳ですが、メロ的要素が入っていることによって映画の魅力が倍増しているように感じました。アクションだけで南北分断を描くと Too Hard なものになったかも知れませんが、メロ的要素が入ることによって映画が人間味を持つことに成功していると思います。1996年から1998年にかけて韓国では恋愛映画が大流行しましたが、その頃培われたメロ映画のテクニックとアクションがうまく融合した成果がこの映画になるんじゃないでしょうか。その意味で、韓国メロ映画の系譜を語る上でも結構重要な作品になるような気がします。
「韓国のお客さんは、南北分断という政治的意味からこの映画を見ているのではなく、娯楽大作として見ている。」 こういう文章をよく見かけますし、それは事実だと思いますが、その一方で統一に対する熱い思いというのも映画の端々に盛り込まれていますね。特にラストちょい前、ハン・ソッキュが「ヒドラ」を例にして南北分断の悲劇を語る場面はちょとぐっときました。日本公開時には「アクション娯楽大作」という面より「南北分断を題材にした」という面が強調されるかも知れません。あまり政治的な面が強調されすぎるのは好みませんが、そういう宣伝の仕方をされてもちゃんと受け入れられるんじゃないかと思います。それだけの面白さと完成度の高さを持つ作品です。
1999年5月3日執筆
投稿者:吉村毅さん 投稿日:1999年5月4日(火)22時11分22秒
ソウルで観てきました。
タイタニックを超えたのもうなずけました。
日本での興行が待ち遠しい!!
スリルあり、涙あり、で、最高。
ストーリー性は抜群!ラストシーンの盛り上がりは、予想をはるかに上回るものでした。また、「政治に対するメッセージ(風刺)が、うるさくなく、かつ的確に伝えられている」のも、素晴らしいですね。
これをきっかけに、今後、韓国の良質な作品が、多く日本に入ってくることになり、相互の文化の交流が活発になると良いな、と思いました。
【評価:★★★★★】
投稿者:SUMさん 投稿日:1999年8月12日(木)23時06分44秒
予算投入型大作。それがこの映画のよさの半分なのは間違いない。パワー、その勢いでストーリーの荒っぽさはずいぶん隠れてしまう。そして、主演二人のラブストーリーの甘さ。チェ・ミンシクとソン・ガンホは脚本よりは役者の力で光ったようで、登場人物としてよりは、そこに存在する絵として素晴らしさを見せてくれた。ぐいぐいとのめりこませるパワーは十分。韓国から海外に誇れる大作が出てきたモノだと思う。
【評価:★★★★】
【ソチョンの鑑賞ノート その2】
2000年正月プログラム(第1弾か第2弾)として日本公開予定のこの作品。試写会に行ってきましたので、報告します。
題名は「仮題」の但し書きがついているものの『シュリ』になりそうです。私が見たプリントはインターナショナルバージョンに字幕(根本理恵さんが担当)を付けたものでした。韓国国内版は120分で、インターナショナル版は124分です。明確な違いはインターナショナル版には冒頭に南北分断の解説をする英文が追加されていること。『永遠なる帝国』もそうでしたね。他にも編集で追加・変更された箇所があるかも知れませんが、はっきりここが違うと断言はできません。私も韓国ではソウルで一回見ただけですので。
字幕付きを見て驚いたのは「字幕なしで見てもストーリーの読み違えは大筋でしていなかった」と分かった事です。これはもちろん私のヒアリング能力が素晴らしいのではなく、この作品が映像と音楽だけでストーリー・ラインをしっかりと語っている作品であるという事を意味します。デビュー作『銀杏のベッド』もそうでしたが、カン・ジェギュの「映像だけで語る」演出力&脚本力はやはり尋常ではありません。『八月のクリスマス』のホ・ジノ監督と比肩しうるといっても言い過ぎではないでしょう。
さて内容ですが、この映画は「南北分断をモチーフにしたアクション映画」というより「南北分断をモチーフにした悲恋物」ですね。これは前から思っていたことなのですが、今回字幕付きを見てはっきりそう確信しました。アクション部分は(試写会場の音響設備が悪かったという点、そして製作費が全く違うという点を割り引いても)やはりハリウッド映画の方が上です。ハン・ソッキュはいいお兄さん、ソン・ガンホは笑える変な兄ちゃんなどなど俳優に対する前作までの先入観が強いのかも知れませんが、どうも銃撃戦のシーンなどしっくりきません。本格的なアクション映画が初めてという事を考えると十分合格点をあげられる演技なのですが、「このアクションは凄いぞ!」という所まではまだ行っていない。他にも2回目ともなると「なんでやねん?」と突っ込みたくなる設定が散見されました。
- CTXは一切の探知が不能な点が特徴であるのに、ビルの爆破シーンでは探知できているように見える。
- 実験室でのCTXの実演シーンでは、「これくらいの量なら1km以内は吹っ飛ぶ」とか何とか解説しているのに、それより量が多く見えるCTXで、ビル1棟破壊するのがやっと。
- パク・ムヨンとイ・バンヒがパソ通で通信しているが、すぐ近くにいるんだから直接話せば?
- ユ・ジュンウォンもイ・ジャンギルも最高機密に属するような内容の会話をオープン・カフェでしているなんて言語道断!
まぁ、007シリーズなどでもそうであるように、スパイ映画の設定ってよくよく考えてみれば「なんでやねん?」というのは珍しくないので、これは大きな欠点ではないです。僕が一番問題だと思ったのは、アクションが最高潮に達するサッカー競技場でのパク・ムヨンとユ・ジュンウォンの対決が今一つ心に響いてこない事です。パク・ムヨンはユ・ジュンウォンに対して北朝鮮人民の塗炭の苦しみを吐露する訳ですが、どうもここの台詞が僕の心の琴線に響いてこないんですね。理由は2つ考えられます。
- 僕が日本人で、南北分断を切実な問題として肌で感じていないから。
- パク・ムヨンというキャラクターの描き込みが足りないから。
恐らく両方正解なのだと思いますが、パク・ムヨンをもっと丁寧に描き込めば、ジュンウォンとの対決での台詞も生きたものになっただろうという点で、僕は「2」の要因が大きいような気がします。そして、そういう作りになっていたらこの映画は本当に「南北分断をモチーフにしたアクション映画」となったでしょう。
さて、アクション・シーンが(ハリウッド映画と比べると)今一つなのに対し、それと併行して描かれる韓国の情報機関員ジュンウォンと北朝鮮の凄腕女性スナイパー イ・バンヒの悲恋物語は、これは本当にうまくプロットされています。愛し合っている二人が各々のバックグラウンドによって引き裂かれていく様は『ロミオとジュリエット』に比肩する出来と言っても過言ではない。この映画でジーンと胸が熱くなるのは、サッカー競技場での対決の場面ではなく、その後の後日談の部分です。イ・バンヒのジュンウォンに対する留守電による独白、取調室でのジュンウォンの台詞の数々。そして、済州島で海を見ながら本物のイ・ミョンヒョンと語るジュンウォンのシーン。このラストのシークエンスは本当に見る者の心に訴えかけるものがあります。この映画の真に優れているところは、アクション・シーンでも特撮でもなく、南北分断という民族的悲劇を、外国人には本当の意味での理解が難しい分断の悲劇を、南北男女の悲恋物語という世界中の誰にでも理解できる普遍的なエピソードを通じて描いている点にあるといえるでしょう。日本での宣伝はこれからですが、「南北分断をモチーフにしたアクション映画」ではなく「南北分断をモチーフにした悲恋物」という点を前面に押し出して売り込んでいけば、ご覧になった観客の皆さんはこの映画に満足し、かつ南北分断の問題にも少なからず関心を抱くようになるのではないか? そんな気がします。
1999年8月14日執筆
投稿者:Keumsook LEEさん 投稿日:1999年11月11日(木)02時24分31秒
夏に韓国留学生にビデオを借りて見ました。日本ではまだ未公開だったので、これはもうけものだと思い、楽しみでした。
北朝鮮と韓国との間をよく描いていると思います。でも韓国側の視野がかなり入っていましたけど・・・
私は在日コリアンなので、韓国側とも北朝鮮側ともどちらともいえない品素な立場にいますが、自分なりに考えて、この映画を見て自然と涙があふれてきました。
私は在日側としてみての感想ですが、北朝鮮側、韓国側でみた感想ではどうなんでしょうか?知りたいです。
私はこの映画に、韓国側から、すごく北朝鮮に対してどうしようもない同情と、現在の政治をすごくうまくあらわしていると思いますが、逆に、北朝鮮はやはり「テロ組織」であって、韓国はあくまでも「正統派」なんだということを如実に関連つけているとおもう。外見にだまされかけられる、本当のところがこわいですね。
【評価:★★★★】
投稿者:ペンネームさん 投稿日:1999年11月14日(日)09時58分51秒
『シュリ』の銃器に対するコメント
はじめまして、韓国映画歴半年のペンネームです。
ガンマニアじゃないけど、興味があったので初投稿しちゃいました。^ ^
- 拳銃:ベレッタ、その他いろいろ。 考証よし。特にハン・ソッキュに代表される情報部員らの動きはリアルですばらしい。(いわゆるポリス・スタンスで、 かっこつけずに両手でしっかり保持する。)
- 短機関銃:『ダイ・ハード』(古い)以来おなじみのドイツ製MP5系列(レーザ照準器付)。多くの対テロ部隊によって採用された世界的なベストセラーであり、映画のOP特殊部隊のモデルである韓国軍特戦司707大隊でも実際に使用されている。
- 韓国軍兵士たちの小銃:制式自動小銃であるK2の貸し出しを韓国国防省が拒否したため(「たかがアクション映画の撮影のために実銃を貸すなんてとんでもない」) 仕方なくアメリカ軍のM16A2のステージ・バージョンを他の銃と一緒にハリウッドからレンタル。それでまた費用がかさんだと監督がぼやいていた。
- ちなみにこの銃が登場するCTX奪取シーンは軍隊経験者の多い韓国男性ファンの間では不評だったらしい。「極秘兵器の輸送なのに憲兵がいない」、「なんで韓国軍がボルボのトレーラを使うねん」などのプロっぽい指摘から、いくら北朝鮮特殊部隊の超人的な強さをアピールするためだったとはいえ、「兵士たちが弱過ぎる」、「銃火に向かって突進する阿呆が何処にいる。俺ならまず後ろへ退避する」などの常識的(?)な感想まで、とやかく言われたとか。
- ヒロインが最後に使う小銃はオーストリア製のシュタイアーAUG。これは狙撃にはまったく向かない短距離用の自動小銃だけど、ブルパップ式(弾倉が思いっ切り後ろの方に付いている方式)でカッコイイのでアクション映画の定番になった。流行らせたのは『二キータ』。バスルームでの狙撃シーンはよかったですねぇ。(笑)
垂涎の逸品とまではいかなくても、政治的な設定のせいかアクションにも妙なリアリティーがあり、ガンマニアにも結構おいしい作品といえます。
投稿者:コルレオーネさん 投稿日:2000年1月26日(水)16時54分30秒
生まれて初めて韓国映画を見ました。だから、韓国映画に対する、暗いだのと言う固定観念は全く持ってなかったのですが、噂で『シュリ』は面白いと聞いて、公開初日に見に行きました。話の内容的にハリウッドには少し劣っていたものの、引けをとらない出来だったと思います。カメラテクニック、映像処理、音響効果更には、キャスティングまで、今までのアジア映画とは趣が違って感じました。正直言って、驚いてます。そして、これからの韓国映画に期待してます。でも一つ言わせてもらえば、同じアジア人とは言え、あまりにも出演者の顔が似すぎて、映画の後半になっても、見分けがつかず、名前と、顔を一致させるのにかなり苦労しました。
でも、ハン・ソッキュは、三枚目ですが、カッコ良かったわ!
【評価:★★★★】
投稿者:椎谷映理子さん 投稿日:2000年2月6日(日)22時37分04秒
今日見てきたので、早速感想を書きます。
私は札幌市在住ですが、これまで韓国映画はとてもマイナーで、『八月のクリスマス』でさえも観客がまばらというありさまだったのですが、今回のシュリはさすがに各メディアでの前宣伝が効いたと見えて、観客が入り口に長蛇の列を成していたのです。
本題からはそれていると思いますが、長い間、韓国映画が日本で陽の目を見ることを夢見ていた私にとっては、もうこの時点で胸に込み上げてくる感動を覚えてしまいました。
そんなワクワクした気分で見ましたが、内容が既にあちこち紹介されていたので、かなりのバイオレンス・シーンも全然気分悪くならずに見ることができました。
内容は、スパイ映画とかに良くあるお決まりのパターンということも言えましょうが、やはり南北統一問題というリアリティが、この映画を単に娯楽映画の枠にとどめていないと感じました。
評価としては星4つです。
終わりのほうで、彼女が怪我をして自宅に戻った時に、主人公が簡単に彼女の正体を確認するところが何となく気が抜けてしまいました。私の考えでは、あんなに目立つ状態で自宅に戻りしかも鍵もかけずに、お店の看板に電気までつけるなんてとても不自然だと感じました。このような不自然さが少し気になりました。
でも、ハンソッキュはとっても素敵でした!
【評価:★★★★】
投稿者:Kさん 投稿日:2000年2月29日(火)10時54分05秒
3月から韓国へ留学します。先日見に行った『シュリ』に大感動してしまいました。『シュリ』に出てきた街に私も行ってみたい!!ということで、ソウルに詳しい方、
- ミョンヒョンの熱帯魚店があった辺り
- イム・ボンジュが狙撃された路地周辺
- ジュンウォンが夢でイ・バンヒに撃たれたオープンカフェ
- 他のどんな場面でも。
何処で撮影されたかご存じでしたら教えて下さい。
【評価:★★★★★】
投稿者:幸子さん 投稿日:2000年3月9日(木)22時56分15秒
なんと書き出していいのやら・・・号泣した映画でした。
私の勝手な思い込みですけど、私がこの映画で感じたことを書きます。
同じ女性でありながら生まれた時代、国、環境で生き方が全然違ってしまう。それは、私にはとてもショックをなことでした。
工作員として、人を殺すことしか教わらなかったイ・バンヒが仕事のため韓国に渡って、工作員であることを悟られないようにと普通の女性を演じる?!間にいろいろな人と知り合い、触れ合ったりして、きっと徐々に人間らしい感情を持つようになった(思い出したのかな?)と思うんです。そんな時に仕事の一環として情報部員のユ・ジュンウォンに近づいたのかもしれないけど、結局は愛してしまった。彼女は酒乱だったという設定でしたが、それは多分韓国に来てからのことだと思います。北朝鮮にいる時は、仕事のことだけ考えていればよかったのですから、悩むことなかったのでは? でも韓国に来て、いろいろな人と触れ合ううちに自分はどうしたらいいのか、わからなくなってしまったのではないでしょうか? 私が彼女なら、彼を愛した時点でどうしていたか想像もつきません。それを思うと彼女はとても強い人だったかも知れないけど、カレを殺せと命令されて、自殺をしようとしたシーンがありましたが、あのまま死ねればどれだけ楽だったんだろうと思ってしまいます。最後には愛し合っているカレが彼女を殺さなければならなかった。こんな悲しい恋があっていいのでしょうか?
私は彼女と同じく結婚を2ヶ月後に控えています。自分と彼女の状況に似た部分があったから、余計に可哀相に感じてしまったのかも知れませんね。彼女も幸せな結婚をするはずだったのにって・・・
最後の方は、あまりに号泣しすぎて映画館に来ている他のお客さんの迷惑にならないように涙を押さえるのに必死で、たまに画面を見ても涙でにじんで何にも見えなかったので、あさってもう一度見に行ってきます。
ダラダラと長い文章になってしまいましたが、私はシュリのおかけで結婚するカレをずーっと愛していける自信がつきました。「あなたと過ごした時間が私の全てだった」私も彼女に負けないくらいカレと過ごす時間を大切にしていきたいと心から思います。いい作品をありがとう。
P.S. この気持ちを作品に携わった人たちに伝えたいです。特にキム・ユンジンさんの演技がとてもよかったと思います。
【評価:★★★★★】
投稿者:HIROさん 投稿日:2000年3月21日(火)16時54分23秒
私は、5回も見てしまいました。
何がそんなにいいのかと言われても、旨く言えませんが、とにかくはまってしまいました。ハン・ソッキュの演技も最高でしたが、私は、チェ・ミンシクの濃さにはまってしまいました。今度、彼の1998年の映画『クワイエット・ファミリー』が公開されますが、『シュリ』で10キロ痩せる前なんで、真ん丸なんでしょうけど早くみたいです。
『HOT CHILI PAPER』という雑誌についていたCD-ROMでその映画のCMを見ましたが、やっぱり太ってました。(笑)
でも、好き。
【評価:★★★★★】
投稿者:大澤武志さん 投稿日:2000年9月13日(水)00時45分35秒
南北分断を素材に悲恋のスパイスのよく効いた映画で、観終わった後に何かが胸の中に渦巻いてるような気持ちになった。歴史を遡るとわずかの差で開国が早かった為、強引に朝鮮を併合した日本。言葉では言えない苦しみを与えたと思う。35年後やっと独立できたかと思う間もなく、今度は米・露の対立の舞台に上げられそこで50年にも及んでいる分断と言う業火の中に投げ込まれてしまう。同ー民族、兄弟同士でありながら憎しみ合う事のやりきれなさ、何とも胸が痛む。映画の枠を越えた現実感と過去に自分の国が犯した事とを考えると決して他人事ではないように感じる。そういえば以前カナダに住んでた時、友人と韓国料理を食べにいった。そこで店に入るのを断られたことがある。席は空いていたのに・・・ こういう事は稀だと思うが、中・高で学んできた歴史の置物を直に体感した気がした。『シュリ』を観て確かにメロドラマ的な所にはグッとくるものがある。しかし、それ以上に南北統一と言う、現実のドラマを理解するほど、より深い悲しみの歴史に涙せずにはいられない。この映画を通してより多くの人にその現実も考えてほしい、というのが監督の思いであるように感じた。
【評価:★★★★★】
投稿者:けいこさん 投稿日:2000年10月25日(水)13時40分19秒
シンガポールに住んでいる中学生です。
『シュリ』を友達に誘われて、韓国人・朝鮮人・台湾人・中国人・日本人で見に行きました。字幕は中国語と英語だったので、すべて完璧に分かった、というわけではないのですが、韓国人の人に簡単な英語で途中途中説明してもらい、話しの内容だいたい分かりました。
初めて観た韓国の映画だけど、「観て良かったな」と思いました。
【評価:★★★★】
投稿者:ちむさん 投稿日:2003/8/28 18:45:18
韓国在住の日本人です。
『シュリ』がはやった頃初めてみて、その後テレビに放映されたのを何回か見ました。さっきたまたまテレビでやってて、つい又見てしまいました。何回みても、ドキドキうるうるです。ホンとに悲しい話です。
ミョンヒョンの悲しい最後の留守電のセリフは、涙ぼろぼろです。きっと、またテレビで出てたら、みるでしょう。
【評価:★★★★★】
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