ペ・チャンホ
撮影:宮田浩史
名前 漢字 ハングル |
ペ・チャンホ 「昶浩 배창호 |
性別 |
男 |
監督作品 |
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出演映画 |
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1953年5月16日、大邱生まれ。キリスト教的ヒューマニズム、そして博愛的幸福を映像化する監督。篤実なクリスチャンで映画好きな母親の影響で幼い頃から多くの映画を見て育つ。1971年に延世大学経営学科に入学し演劇や8ミリ映画を手がける。卒業後、現代綜合貿易商社に勤務しナイロビに赴任するが、高校の先輩であり暫く監督業を休業していたイ・ジャンホがカムバックするというニュースを聞き、辞表を出して帰国。イ・ジャンホの下で映画製作にたずさわり、『風吹く良き日』(1980)や『暗闇の子供たち』(1981)の助監督を担当する。この時期、自ら執筆した脚本『正午のミスター・キム』が映画振興公社のシナリオ公募で最優秀作に選定される。当初は、この脚本で監督デビューを予定していたが、「興行的に成功させたほうがよい」というイ・ジャンホのアドバイスにより予定を変更。1982年にソウルのスラム街に生きる人々を描いた『コバン村の人々』で監督デビュー。この作品は興行的にもヒットし、大鐘賞新人監督賞を受賞する。
【第一期 興行監督時代】
1985年の『鯨とり2』までは、韓国映画=面白くないとのイメージを破るのが目標だったという。事実、この時期の彼の作品は軽快なテンポが特徴で、およそ今までの韓国映画とは違った趣を持っており、作品は作るたびにヒットした。中でも『鯨とり ナドヤカンダ』と『ディープ・ブルー・ナイト』は、1984年と1985年の観客動員数一位を記録(「興行成績」)。「1980年代最高の興行監督」と称される。
ペ・チャンホ作品の中で重要な位置を占めているのが脚本家のチェ・イノ(崔仁浩)。彼は1970年代にイ・ジャンホやハ・ギルチョンに脚本を提供し、『星たちの故郷』、『馬鹿たちの行進』、『ピョンテとヨンジャ』などの名作を生み出したが、1980年に入るとペ・チャンホに多くの脚本を提供するようになる。彼ら二人に俳優のアン・ソンギを加えたトリオは、『赤道の花』、『鯨とり ナドヤカンダ』、『ディープ・ブルー・ナイト』、『鯨とり2』、『黄真伊(ファン・ジニ)』、『神様こんにちは』、『天国の階段』などを生み出しており、1980年代の韓国映画を語る上で欠かせない人物といえる。
【第二期 作家主義への転身】
1986年の『黄真伊(ファン・ジニ)』以降は、映画や映像に関する根本的な疑問を提し作家的転身を図るが、それに反比例するように興行成績は悪化した。これ以降の作品の映像的特徴としてはロング・テイクの多用が挙げられる。また、『すばらしき我が青春の日々』は彼自身の大学時代の初恋を素材とした脚本『正午のミスター・キム』に手を加えた作品であり、『ラブ・ストーリー』も実の妻との恋愛を映画化した形跡があるなど、私小説的作品を製作するようになっているのも特徴。そのせいかどうか分からないが、『黄真伊(ファン・ジニ)』以降は「愛」というテーマへの傾倒がより大きくなったように感じる。
【第三期 結婚と独立】
1993年に、インテリア・デザイナーのキム・ユミと結婚。1994年に、独立プロダクションの「昶浩プロダクションを設立した後は、『若い男』、『ラブ・ストーリー』、『情』などすべての製作作品で製作・監督・脚本を兼ねている。これ以外の作品で脚本を手掛けた作品には、『コバン村の人々』、『すばらしき我が青春の日々』、『ギャグマン』、『夢』、『黒水仙』などがある。なお『若い男』以降、製作・監督・脚本を兼任し、製作者の顔色を伺う必要が無くなった訳だが、ペ・チャンホ自身「作家の道を歩もうと思ったのは『黄真伊(ファン・ジニ)』からだが、それが実現したのは、『ラブ・ストーリー』から」と述べている。ちなみに『ラブ・ストーリー』と『情』では、妻のキム・ユミが主演・脚本を担当しており、その意味でも、キム・ユミとの結婚、そして独立プロの設立は彼にとって大きな転機になったと言える。
この時期は、スターを起用せず、大企業の資本提供も受けず、いわゆる主流映画とは離れて、インディペンデント映画を製作していた。作品的には優れた作品を製作していたのだが、マイナーで地味なテーマを扱っていたため(そして大企業のバックアップがなかったため)上映してくれる映画館が見つからず、興行は失敗につぐ失敗で、「孤立無援将軍」などとも呼ばれていた。
【これから】
最新作は、久しぶりにテウォン・エンターテイメント、シネマ・サービスという韓国映画界のメイン・ストリームと組んで監督をしたスター総出演の大作『黒水仙』。第6回(2001)釜山国際映画祭のオープニングにも選ばれたこの作品で、ペ監督がどのような変身を見せてくれるのか、また1980年代に黄金コンビを組んだアン・ソンギが久しぶりにペ・チャンホ作品に出演するという点も注目された。
2001年には、『黒水仙』の撮影後、韓国芸術評論家協会が選定する映画部門最優秀芸術人に選ばれた。
監督以外に俳優としても活躍している。イ・ジャンホの『暗闇の子供たち』で端役を担当した他、自らの監督デビュー作『コバン村の人々』でも声で出演していたが、本格的な俳優デビューは、弟子のイ・ミョンセ初監督作品『ギャグマン』(1988)。また自らメガホンを取った『ラブ・ストーリー』でも実の妻キム・ユミと共に主役を演じている。
『アジア映画小事典』(佐藤忠男編著,三一書房,1995)に前川道博氏の「ペ・チャンホ論」がある。
初版:1998
最新版:2001/11/19
■ ペ・チャンホ監督インタビュー
『黒水仙』が上映された、みちのく国際ミステリー映画祭2002 in 盛岡でのペ・チャンホ監督の独占インタビューはこちら。
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