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JSA


題名
英題
原題
ハングル
JSA
Joint Security Area
共同警備区域 JSA
공동경비구역 JSA
製作年 2000
時間 110
製作
提供
共同提供

ミョン・フィルム
CJエンターテインメント
KTBネットワーク
Intz.com
監督 パク・チャヌク
出演 イ・ヨンエ
イ・ビョンホン
ソン・ガンホ
キム・テウ
シン・ハギュン
Herbert Ulrich
Christoph Hofrichter
イ・ハヌィ
コ・インベ
キム・ミョンス
イ・デヨン
キ・ジュボン
ウォン・グニ
コ・ウナ
ソ・ジョンギュ
チョン・ジュファン
キム・デゴン
キム・タニョン
パク・スンベ
日本版
Video
DVD
字幕版Video
吹替版Video
DVD

 題名の『JSA』は "Joint Security Area(共同警備区域)" の略。共同警備区域とは、南北分断の象徴である板門店の会談場を中心とした直径800mの区域。元々は南北双方による共同警備がなされ、警備兵や記者が自由に行き来できる地域だったが、1976年のポプラ事件(見晴らしを妨げているポプラの木を切っていた米軍人が北朝鮮軍人に殺害された事件)以降、トラブルを防ぐため軍事分界線がひかれ、南側と北側を両軍が分割警備するようになっている。

 板門店の共同警備区域内で起きた発砲事件を通して、南北兵士の交流と分断の悲劇を描くミステリー・ヒューマンドラマ。パク・サンヨン(朴商延)の小説『DMZ(DeMilitarized Zone:非武装地帯)』を脚色した作品で、1999年の『シュリ』『SPY リー・チョルジン 北朝鮮から来た男』に続く南北分断をテーマにした大作。「分断」という重いテーマを扱いながらも、娯楽性と芸術性、そしてメッセージ性を見事に融合させた秀作。韓国初のスーパー35撮影によるシネマスコープ作品でもある。

 ある晩、数発の銃声がとどろき、板門店の共同警備区域内にある「帰らざる橋」の北側領域で、南北の兵士が死傷する事件が発生。北朝鮮の上尉と若い兵士チョン・ウジン(シン・ハギュン)が銃弾を受けて死亡する。そして、橋の上では韓国軍兵長イ・スヒョク(イ・ビョンホン)が銃傷を受けた姿で発見される。北は南の奇襲テロと、南は北に拉致されたイ・スヒョクが脱出しようとして発生した事件と主張し、両者は平行線をたどる。そこで、南北の合意の下、スイス軍に属していた韓国系スイス人の女性将校ソフィー・E・チャン(イ・ヨンエ)が捜査を始める。ソフィーは事件現場にいた北朝鮮のオ・ギョンピル中士(ソン・ガンホ)と容疑者イ・スヒョクを取り調べる。しかし、捜査が進む中、事件当日イ・スヒョクと共に警備にあたっていたナム・ソンシク一等兵(キム・テウ)が自殺してしまう。あの晩「帰らざる橋」では一体何があったのか?

上尉: 大尉と中尉の間にある北朝鮮特有の階級
中士: 軍曹に該当する階級
 実際の共同警備区域内での撮影は不可能なため、ソウル総合撮影所内に総製作費45億ウォン(純製作費30億ウォン+マーケティング費15億ウォン)のうちの約10億ウォンを投入して、板門店のオープン・セットを製作した。なお、このオープン・セットはテーマパーク化され、見学が可能。

 兵役を終えたばかりのイ・ビョンホンが韓国側の兵隊イ・スヒョク役で、またソン・ガンホが北朝鮮警戒所を守備する兵士オ・ギョンピル役で出演。1997年に公開された『インシャラ』で映画デビューした人気美人タレント、イ・ヨンエが久しぶりに映画出演し、中立国の女性将校ソフィーを演じる。主役の南北兵士4名(ソン・ガンホ、イ・ビョンホン、キム・テウ、シン・ハギュン)による演技のアンサンブルが絶妙。なお、南の兵士ナム・ソンシクが自分の彼女の写真を見せるシーンで、写真に写っているのは人気女優のコ・ソヨン

 監督はこれが3作目となるパク・チャヌク。製作はイ・ウンとシム・ジェミョン(夫婦プロデューサー)。パク・サンヨンの原作を脚色したのは、キム・ヒョンソク、北からの亡命作家チョン・ソンサン、イ・ムヨン、そしてパク・チャヌク監督の4名。撮影はキム・ソンボク、照明はイム・ジェヨン、美術はキム・サンマン、セットはオ・サンマン、音楽はチョ・ヨンウクとパン・ジュンソク。

 パク・サンヨン(朴商延)の原作小説『DMZ』は、文春文庫より『JSA 共同警備区域』という題名で邦訳(金重明訳)が発売されている。この小説は、1996年に韓国の出版社「民音社」が主催する「今日の作家賞」の最終審査で「内容が非現実的」との理由で落選した作品だが、これを残念に思った審査委員イ・ムニョル(李文烈,『われらの歪んだ英雄』の原作者)の推薦で『世界の文学』に掲載され、翌年の1997年に民音社から出版されたという経緯がある。

 韓国では、企画段階に始まり各種行事の場面などを収めた90分のメイキング・ビデオと書籍『共同警備区域JSA、こうして作られた(仮題)』が2001年5月に発売予定(韓国のスポーツ新聞の記事による。その後、実際に発売されたかは未確認)。

 日本では、サントラと加藤登紀子が歌う日本語テーマ曲『宛のない手紙』が発売されている。

 この映画のシナリオ作業に参加した北からの亡命作家チョン・ソンサンが、『JSA』の仕事で得たお金をつぎ込んで、京畿道の清平に「お母さん、故郷列車」という『JSA』のテーマパークを建設。ここでは、北朝鮮の飲食物なども提供しているという。

 秋夕映画として2000年9月9日にソウル43スクリーンで公開され、公開直後の土日二日間でソウルで165,874名を動員したのに続き、公開二週目の土日には週末動員記録となる227,000名を動員。他にも韓国映画歴代最多前売券販売(5万枚)、ソウル100万人動員最短記録(15日)、同200万人動員最短記録(47日)、9週連続ボックス・オフィス1位など輝かしい記録を樹立し、大ヒット。そして2001年1月4日には、ソウルで2,448,700人の観客を動員し、『シュリ』が持っていた歴代最多観客動員記録(ソウル観客2,448,399人)を更新した。最終的には154日間のロードショー期間中、ソウルで2,513,540人、全国で583万人の観客を動員した。また、テレビ放映権を12億ウォンという史上最高値でSBSと契約したことや、ビデオ販売量が『シュリ』の持つ従来の韓国映画ビデオ販売記録を凌駕したことも話題となった。

 当初はソウルの動員数でも全国の動員数でも『シュリ』を上回ったと報道された『JSA』だが、その後、映画製作家協会が「全国動員数の集計方法が『シュリ』と『JSA』では異なっており、『JSA』方式を『シュリ』に適応すると全国動員数は『JSA』が583万人、『シュリ』が620万人で、『JSA』は『シュリ』を越えていない」と発表。現在では、『JSA』は(統計的に信頼のおける)ソウルのロードショー館での成績は『シュリ』を越えたが、(信頼度の落ちる)全国統計では越えていないとされている。

 自由化・民主化により、韓国ではこの映画のように映画の中で南北兵士の交流を描いたり、人間味あふれる北朝鮮兵士を登場させることができるようになった(以前は国家保安法などにより表現が厳しく制限されていた)。また、2000年6月の歴史的南北頂上会談による南北融和ムードの促進は、『JSA』の大ヒットの要因の一つに挙げられるだろう。しかしその一方で、公開前のレイティング審査では「北朝鮮兵士を美化しており青少年に悪影響を与える」という理由で、「18歳以上観覧可」の等級が付与されたり(製作社のミョン・フィルムが再申請を請求し、世論の後押しもあり最終的には「15歳以上観覧可」のレイティングで公開された)、公開後の9月26日には、板門店の共同警備区域で実際に勤めていた軍人で現在は予備役扱いの人々の集い「JSA戦友会」が、ミョン・フィルムに乱入。「背景や銃器などは現実そっくりなのに、内容が非現実的すぎ、軍の名誉を失墜させ、国民を惑わせた」と抗議して、以後、映画館では「この映画は実際の勤務状況とは異なる」という字幕が入るようになるなど、反動的な動きも目立った。しかし、それにもかかわらず韓国民がこの映画を受け入れ記録的な大ヒットとなった点に、この映画の価値、そして韓国社会の変化と成熟を見て取ることができる。

 第51回(2001)ベルリン国際映画祭コンペ部門、第23回(2001)モスクワ国際映画祭National Hits部門、第36回(2001)Karlovy Vary国際映画祭回顧展「ニュー・コリアン・シネマ」、第15回(2001)英国リーズ国際映画祭招待、第24回(2001)アジアン・アメリカン・フィルムフェスティバル・クロージング作品、第3回(2001)ドーヴィル・アジア映画祭グランプリ・主演男優賞(ソン・ガンホ)・人気賞、イタリア第15回(2001)Far East映画祭優秀賞、第24回(2001)シアトル国際映画祭「ニュー・ディレクターズ・ショーケース」部門審査委員特別賞、第44回(2002)ブルーリボン賞作品賞(外国映画)受賞作品。

 第3回全州国際映画祭2002「韓国映画回顧展」部門上映作品。

 第1回(2000)釜山映画評論家協会賞主演男優賞(ソン・ガンホ,イ・ビョンホン)・撮影賞(キム・ソンボク)、第8回(2000)春史映画芸術賞最優秀作品賞・監督賞(パク・チャヌク)・男優助演賞(シン・ハギュン)・照明賞(イム・ジェヨン)・音楽賞(チョ・ヨンウク)・技術賞(キム・サンマン,オ・サンマン:美術部門)、第21回(2000)青龍賞最優秀作品賞・監督賞(パク・チャヌク)・男優助演賞(シン・ハギュン)・撮影賞(キム・ソンボク)・韓国映画最高興行賞、第37回(2001)百想芸術大賞監督賞(パク・チャヌク)、第24回(2001)黄金撮影賞新人男優賞(キム・テウ)・最高人気賞(イ・ビョンホン)、第38回(2001)大鐘賞作品賞・主演男優賞(ソン・ガンホ)・美術賞(キム・サンマン)・音響賞(キム・ソグォン)受賞作品。また、第5回女性観客映画賞−2000年女性の観客が選ぶ最高の映画で「今年のベスト韓国映画」に選定された。

 板門店.comのサイト(日本語)はこちら

初版:2000/11/27
最新版:2001/10/13



【ソチョンの鑑賞ノート】

2000年10月24日執筆
2000年11月25日加筆訂正

 『シュリ』の歴代最多観客動員記録を抜くかどうかが注目されている『JSA』。2000年10月に、釜山国際映画祭に参加したついでに釜山のロードショー館で観てきました。映画祭のメイン会場になっている南浦洞にあるスクリーン20枚のうち、14枚が映画祭に使われている中、つまり一般営業中のスクリーンが6枚しかない中で、3枚のスクリーンが『JSA』をかけており、朝の10時台から夜は終映が11時を過ぎる時間まで、ひっきりなしに上映していました。私は土曜の夜9時台に始まる最終上映回を見たのですが、それでも入りは80%前後。いやはや大変なヒットです。

 さて、その内容ですが、噂に違わぬ作品です。

 題名の "JSA" は "Joint Security Area" つまり、南北軍事境界線上にまたがる共同警備区域のこと。映画は、板門店の共同警備区域内にある別名「帰らざる橋」の北側の歩哨小屋で、北朝鮮の兵士が殺害されるシーンから始まります。「帰らざる橋」の中央には両軍が越えてはならない一線が引いてあり、その北端には北朝鮮の歩哨小屋が、南端には韓国の監視塔があるのですが、事件は北側の領域で発生します。事件に関して、北朝鮮は韓国の奇襲テロと主張し、韓国は北朝鮮兵に拉致された兵士が脱出しようとして発生した事件と主張し、両者の主張は平行線。そこで、南北の合意の下、韓国系スイス人の女性将校が関係者の聞き取り調査を始め、やがて事実が明らかになっていく。

 ミステリアスなオープニングの後、女性将校による緊迫した調査が事実を暴いていく推理ものかと思っていると、中盤、映画は意外な方向に動き、韓国兵と北朝鮮兵の友情を描くコミカルなシーンが連続。場内は爆笑に続く爆笑となるのですが、中盤で笑えば笑うほど悲劇的な結末に観客は声を失うことになります。オープニングの事件の描写も秀逸で、『シュリ』や『ソウル・ガーディアンズ 退魔録』の冒頭部もそうなのですが、とにかく見るものの目を釘づけにします。そして、台詞が全然分からなくても映像だけ見れば、事件に対する南北の主張が食い違っていることがすべて分かる! この台詞に頼らない映像による演出力、ただ者ではありません。そして、ミステリアスな冒頭から愉快な中盤へつながり、最後は耐え切れないほどまでに切ないラストに繋がっていく・・・ このシリアスさとコミカルさの緩急の付け具合が抜群に良い!

 ネタバレになると申し訳ないので、現時点ではあまり多くを書けないのが残念ですが、『シュリ』が南北分断の悲劇が生んだ男女の悲恋物語であるならば『JSA』は、南北分断を越えて育まれた男の友情が、ついには越えられない社会体制の違いによって破壊される悲劇を描いています。『JSA』は『シュリ』のように派手な映画ではありません。銃撃戦が数多くある訳ではないですし、ラストに向って感動曲線が急カーブを描いて上昇する訳でもない。しかし、後に残る物、それは越えられない物に対する沈痛な思いであることが多いのですが、映画館を後にしたあとに、そういった思いがジワジワ込み上げてくる映画です。

 実際に、板門店に見学しに行ったことのある者としては、『JSA』の劇中に出てくるような南北兵士の交流はまずありえない話だと思えますが、北の兵士に親近感を抱く南の兵の気持ちは、現在の韓国民が北朝鮮人民に対して抱いている思いを代弁しているかのようであり、また悲劇的な結末は、韓国民が個人的には統一を切望していながらも、国の経済事情や膨大な統一コストを考えると「統一は時機尚早である」とクールに考えているという事実の反映、つまり私的感情と国家としての立場は異なるという現実を観客に突きつけているように感じました。

 『JSA』は、統一を目前にした韓国民の揺れる思いをエンターテイメントにまで昇華させた作品と言えるでしょう。


キム・グァンソクという歌手を知っていますか?

Text by ソチョン
2000年12月11日執筆
2001年1月25日加筆訂正

 今、『JSA』のサントラを聞きながら書いています。

 このサントラの2トラック目にキム・グァンソク(金光石)が歌う『二等兵の手紙』という曲が収録されています。徴兵制で軍隊に行かねばならない若者の心境を切々と歌ったフォーク・ソングで、『JSA』では主題歌的な扱いを受けている曲なのですが、これが実にいいんです。

 現在、韓国の歌謡界はダンス・ミュージックやラップ系の音楽が主流で、ビートがうまく刻めない私は、カラオケに行っても最近の韓国歌謡曲が全然歌えないのですが、この『二等兵の手紙』だったらいけそうです。

 『JSA』は釜山国際映画祭に行った折に街のロードショー館で見たのですが、曲を一発で気に入り、即座にサントラを購入しました。街のCDショップでも、この『二等兵の手紙』をBGMに使っている店が多かったですね。

 1997年秋、『接続』が大ヒット中の韓国に行った時には、街のCDショップというCDショップが、この映画のエンディングに使われている Sarah Vaughan の "A Lover's Concerto" をBGMに使っていましたが、韓国映画の主題歌が街にあふれているなぁと感じたのは、この "A Lover's Concerto" 以来のことです。


 韓国でも、政治が安定し経済的にも裕福になるにつれ、フォーク・ソングは流行らなくなりますが、1990年代になってもフォークを歌いつづけ、数多くのファンの支持を得たのがキム・グァンソク。しかし、彼は1996年、31歳の若さで急逝してしまいます。

 実は、日本の韓国映画ファンの多くは既に彼のお世話になっています。あの名作『八月のクリスマス』の監督ホ・ジノが「作品を作るきっかけとなった」と明言しているのが、キム・グァンソクの葬式の時に見た彼の遺影だからです。「キム・グァンソクの遺影写真は、にっこりと笑っているものだった。それを見た時に、死というものと写真に写っている笑顔について考えるきっかけを得た」とは、ホ・ジノの言葉。私自身は、キム・グァンソクの遺影を見たことはありませんが、『八月のクリスマス』のラストでハン・ソッキュ演じるジョンウォンが自らの遺影を撮るシーン、最初は無表情だったのが、シャッターが下りる瞬間「微笑み」を浮かべる・・・ あの「微笑み」はキム・グァンソクの「微笑み」であろうことは想像に難くありません。

 そして、『八月のクリスマス』で、ジョンウォンが雨の中、写真館で外を見ながら口ずさんでいる歌、あれもキム・グァンソクの『コリエソ(街路で)』なのです。

 386世代のホ・ジノやハン・ソッキュ、そして『JSA』の監督パク・チャヌクが、同世代のキム・グァンソクのファンであった可能性はかなり「ある」と思いますが、死してなお影響を与えつづけるとは、日本で言えば尾崎豊のような存在ですね(余談ですが、この映画に出演しているシン・ハギュンは、尾崎豊の『I love you』を韓国でカバーしたPOSITIONのミュージック・ビデオ『I love you』に出演しています)。


 話を『JSA』に戻しましょう。最近の韓国映画は封切り前にサントラを発売し、公開前から話題作りをする、そんなマーケティング戦略を取る事が少なくないのですが、この『JSA』のサントラは色々な意味で非常によくできた逸品です。

 音楽監督は『接続』『クワイエット・ファミリー』『カル』チョ・ヨンウク。音楽自体、オリジナル楽曲も、選曲も優れていて何度聞いても飽きないのですが、このサントラに収録されているトラック、そしてジャケットの写真には「ある仕掛け」がしてあるのです。サントラを聞き、そしてジャケットの写真を見てから、映画をご覧になってみてください。「あっ!」と思う瞬間が二ヶ所あるはずです。

 『JSA』は日本公開予定作。この作品については、サントラから入ることをお勧めします。サントラはいくら聞いてもネタバレになりませんし、この作品に限っては、サントラで予習しておいたほうが感動が増幅される可能性があります。

 ちなみに『JSA』のサントラCDには、CDエクストラで映画の予告編と『二等兵の手紙』のミュージック・ビデオが収録されていますので、こちらもお見逃しなく。CDエクストラは、サントラをパソコンのCD-ROMドライブに挿入すれば自動的に起動します。

 『JSA』の日本での公開・宣伝はこれからですが、プロモーションで力を入れてもらいたいのは、ずばり音楽です。『JSA』は、釜山で一度見て、サントラを購入して擦り切れるほどに聞いた後、ソウルで二回目を見たのですが、歌詞が頭に入った状態で見るとなおさら感じるのですが、この映画で使われている歌は抜群に良いです。キム・グァンソクの『二等兵の手紙』,『宛のない手紙(届かない手紙)』は言うに及ばず、ハン・デスの歌もいい。これらの曲は絶対日本人の心に染み入ると思うので、音楽に力を入れたプロモーションを是非やっていただきたいです。車を運転していてFMラジオを付けっぱなしにしている人は多いと思いますが、そこからキム・グァンソクの歌が聞こえてきたら、リスナーの心を捕らえるのは間違いないです。

● キム・グァンソクのホームページ
 http://myhome.netsgo.com/pmpogb1/(『二等兵の手紙』がBGMで流れます)
 http://myhome.shinbiro.com/~juni117/

● 『JSA』のサントラが購入できるネット通販
 ハングルカゲ → http://www.hanglkage.com/



投稿者:車英美さん 投稿日:2001/1/8 21:05:02

 韓国のマスコミは『JSA』を高く評価した。映画を観た知人たちの評判も良かった。特に軍人や軍服務を終えた人達(韓国男性は約2年間兵役を勤める)は絶賛した。韓国の男性は誰しも軍隊生活の話になると熱くなる。私のような女性は「またかよ・・・」とついて行けない軍隊話には飽き飽きする。

 そんな訳で最初はあまり見る気がしなかった。しかし老若男女問わずの絶賛ぶりに、「ま、いい映画みたいだから見てやるか。」と軽い気持ちで、去年韓国に行った際に映画館に足を運んだ。が、映画を見終わった後、「目からうろこ」のような衝撃を受けた。

 北朝鮮・韓国両国民が思う同志的感情や、その内容に深く共感させてくれるリアリズムに満ちた演出。日本の知人たちは『シュリ』を「韓国人にしか作れない映画」と語ってくれたが、『JSA』こそ「韓国でしか作れない映画」だと思った。

 板門店共同警備区域の北朝鮮の区域で銃撃事件が発生する。事件には2人の韓国人兵隊と2人の北朝鮮兵士が関わっていた。この内1人の北朝鮮兵士が死亡、1人の韓国人兵士が負傷して発見され、容疑者は事件直後に軍事境界線で発見されたもう一人の韓国人兵士。そこから暴かれる謎の数々・・・

 この作品は私的に言えば、ヒューマン・ミステリコメディーである。本当に美しく笑わせてくれる。それから暴かれる真実によって、どんでん返しの結末。

 統一に向かって一歩踏み出した韓国だが、内在する様々な問題を考えさせてくれる映画でもあった。とにかく、感銘深い美しい映画である。

 「韓国最高の映画」という絶賛に恥じない素晴らしい作品だった。

【評価:★★★★★】



【鑑賞ノオト】 Text by 月原万貴子(月子) 2001/5/21

 昨年末にソウルに行った時に英語字幕付『JSA』を見ました。

 といっても私は韓国語が全く分らないし、英語も苦手なので、映像を見ることにのみ集中しました。そして見終わった私は涙でぐしょぐしょ。「これは男の友情版『ロミオとジュリエット』だわ。本当は仲良くできるのに、政治と言う名のしがらみが、彼らを引き裂いたのよおー」と友人に訴えたものです。

 そんな『JSA』がとうとう日本でも公開されます。先日、日本語字幕付(!)の試写会に行って来ました。今まで分らなかった事件調査の詳細や、彼ら4人が交わしていた会話などが、やっと理解出来ました(笑)。

 共同警備区域という閉ざされた空間、いわば「密室」で起こった殺人事件。解決の鍵は証言だけなのに、まるで食い違っている生き残った2人の証言。謎を解き明かしていくことで見えてきた秘められた真実・・・ そしてたどり着いたのは、あまりにも悲しい結末でした。

 人は耐えられないほど辛い現実にぶち当たった時、無意識に記憶をすり替えてしまうことがあるそうです。そうしなくては生きていけないから・・・ ソフィーの正確すぎる調査が、更なる悲劇を生んでしまった。その事が頭から離れませんでした。

<おまけ>
 4人の兵士の友情シーンは、札幌でも大人気。オ・ギョンピル(ソン・ガンホ)は男っぽくて頼りがいがありそう、チョン・ウジン(シン・ハギュン)は末っ子っぽさが可愛い、イ・スヒョク(イ・ビョンホン)は太田光に似ている(笑)、などなど様々な声が飛び交っていました。しかし、ナム・ソンシク(キム・テウ)が自分の彼女だとコ・ソヨンの写真を見せるシーンは、ソウルでは大爆笑だったのに、こちらではちらほらとしか笑い声が聞こえず、ちょっぴり寂しかったです。



投稿者:ALBAさん 投稿日:2001/6/7 08:32:19

 1980年代初頭のペ・チャンホ、イ・ジャンホの全盛時代からのファンです。

 韓国映画の魅力は、とにかく登場人物が徹底的に不幸になることだと思っています。違う言い方をすれば、最後は必ず不幸になることが約束されていて、(どうなるんだろうってハラハラせずに)安心して見ていられるところが最大の魅力じゃないでしょうか。

 不幸の重層構造の構成がすばらしい『糸車よ糸車よ』とか、ストレートに不幸を積み重ねてぐいぐい不幸が迫って来る『愛する人よ』とか、いかにして一定の作品の中に悲しいエピソードを盛り込むかというテクニックの面で冴えていると思います。ちょっと結末が不満だけど、テクニック的には『その年の冬は暖かかった』なんか最高ですね。

 ところが、ここ数年、ちょっと傾向の違う映画(必ずしも不幸にならない)が出てきてますよね。例えば『シュリ』なんかも、昔の造り方だったら、最後のシーンで訪れた療養所、例の名前を使われた少女も臨終の床にあり、結局、彼は最愛の人の死を二度も看取るという結末になっていたと思います。最近の韓国映画は、この辺りがちょっと不満だったんですが、最近の三本、『ペパーミント・キャンディー』『ユリョン』『JSA』と徹底的に不幸になる話が続き、安心してます。

 イム・グォンテク監督は、現在、世界最高の映画製作テクニックを持っていると個人的に思っているんですが、最近、巨匠の遊び的な映画ばかりで、ちょっと不満です。あのテクニックを駆使して大悲劇を作ってほしいものです。

【評価:★★★★】



投稿者:SUMさん 投稿日:2002/2/24 19:09:57

 イ・ヨンエが結局ストーリーに絡み切れていない。彼女の役回りは原作では男で、その男の葛藤もいろいろに描かれていてバランスを取っている(が、その描写は説明くさくていささか退屈ではある)。このことは、男と男の物語が、そして南北の物語が、その中まではイ・ヨンエが入り込めないという、それだけ深くて大きいものだという証明なのかもしれない。

 2001年を代表する洋画の一本。

【評価:★★★★★】


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