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われらの歪んだ英雄


題名
英題
ハングル
われらの歪んだ英雄
Our Twisted Hero
우리들의 일그러진 영웅
製作年 1992
時間 119
製作 大東興業
監督 パク・チョンウォン
出演 ホン・ギョンイン
コ・ジョンイル
チェ・ミンシク
テ・ミニョン
シン・グ
イ・ジンソン
ウ・サンジョン
キム・ヘオク
パク・クァンジン
チョン・ウンボン
チョン・ソンフン
日本版
Video
DVD
字幕版Video
DVD

 パク・チョンウォン監督の名を世界に知らしめた名作。李承晩(イ・スンマン)政権末期、1960年3月15日の不正選挙とそれを原因とする政治革命(4月革命)を背景に、少年達の小さな社会を描くことによって人間社会の歪みを鋭く突いた作品。

 ソウルから田舎の小学校に転校したピョンテ(コ・ジョンイル)は、クラスを牛耳る級長ソクテ(ホン・ギョンイン)の存在に驚き、そこでの服従に反発する。少年が初めて遭遇する社会(=小学校)での屈辱。そして孤独な闘い。韓国の権力と社会構造を映し出す思春期の叙事詩。

 李文烈(イ・ムニョル)の原作は、1987年に李箱文学賞を受け、その後11カ国で翻訳・出版された。日本語訳は、情報センター出版局から出版されている。原作を脚本化したのは、チャン・ヒョンスと監督のパク・チョンウォン。脚色はノ・ヒョジョン。

 社会派監督らしいいい作品だが、少々説教臭いのが難点。映画のラストで監督が観客に説教しているような印象を受ける。私は、観客に想像する余地を残した作品のほうが好み。説教臭さがなければ文句無しの星5つ。

 第31回大鐘賞審査委員特別賞、第13回(1992)青龍賞最優秀作品賞・監督賞(パク・チョンウォン)、第29回(1993)百想芸術大賞大賞・作品賞・監督賞(パク・チョンウォン)・特別賞(ホン・ギョンイン)、第17回(1992年)モントリオール映画祭特別賞(製作者賞)、1992年ハワイ国際映画祭グランプリ、第6回(1993)シンガポール国際映画祭批評家賞、ニューヨーク<ニューディレクターズニューフィルムズ>フェスティバル作品賞、1994年フライブルグ国際映画祭国際批評家賞(国際シネクラブ賞)、ラン国際映画祭審査員賞、1993年アジア太平洋映画祭男優助演賞(チェ・ミンシク)受賞作品。その他にも数多くの国際映画祭に招待され、大きな評価を受ける。第36回(2001)Karlovy Vary国際映画祭回顧展「ニュー・コリアン・シネマ」出品作。

初版:1998/4/19
最新版:2001/7/3



投稿者:SUMさん 投稿日:1998年4月17日(金)10時44分00秒

 今を普通に生きている、それはそれだけで美しいことだろう。それが映画の中で満たされるとそれは説得力になる。

 原作が「社会の正義とは」という問題を示す物語であるが、ただそれだけにとどまらず、現代に苦しむ小説家が過去を回想する形のやや哀愁を漂わせた作品でもあることで、両面の感動を与えることで傑作になったと対照的に、監督は生き生きとしたその子供たちの絵によって、子供の現実のストーリーとしても心に訴えてくるような手法で差別化をはかり、成功した。

 監督がその主張によって原作のシノプスを一部変更して、社会批判のより強い作品になってしまったためにやや全体の雰囲気のバランスを崩しているきらいがあるが、それでもこの作品は傑作のうちに収まっている。

【評価:★★★★★】


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