パク・チョンウォン監督の名を世界に知らしめた名作。李承晩(イ・スンマン)政権末期、1960年3月15日の不正選挙とそれを原因とする政治革命(4月革命)を背景に、少年達の小さな社会を描くことによって人間社会の歪みを鋭く突いた作品。
ソウルから田舎の小学校に転校したピョンテ(コ・ジョンイル)は、クラスを牛耳る級長ソクテ(ホン・ギョンイン)の存在に驚き、そこでの服従に反発する。少年が初めて遭遇する社会(=小学校)での屈辱。そして孤独な闘い。韓国の権力と社会構造を映し出す思春期の叙事詩。
李文烈(イ・ムニョル)の原作は、1987年に李箱文学賞を受け、その後11カ国で翻訳・出版された。日本語訳は、情報センター出版局から出版されている。原作を脚本化したのは、チャン・ヒョンスと監督のパク・チョンウォン。脚色はノ・ヒョジョン。
社会派監督らしいいい作品だが、少々説教臭いのが難点。映画のラストで監督が観客に説教しているような印象を受ける。私は、観客に想像する余地を残した作品のほうが好み。説教臭さがなければ文句無しの星5つ。
第31回大鐘賞審査委員特別賞、第13回(1992)青龍賞最優秀作品賞・監督賞(パク・チョンウォン)、第29回(1993)百想芸術大賞大賞・作品賞・監督賞(パク・チョンウォン)・特別賞(ホン・ギョンイン)、第17回(1992年)モントリオール映画祭特別賞(製作者賞)、1992年ハワイ国際映画祭グランプリ、第6回(1993)シンガポール国際映画祭批評家賞、ニューヨーク<ニューディレクターズニューフィルムズ>フェスティバル作品賞、1994年フライブルグ国際映画祭国際批評家賞(国際シネクラブ賞)、ラン国際映画祭審査員賞、1993年アジア太平洋映画祭男優助演賞(チェ・ミンシク)受賞作品。その他にも数多くの国際映画祭に招待され、大きな評価を受ける。第36回(2001)Karlovy Vary国際映画祭回顧展「ニュー・コリアン・シネマ」出品作。
初版:1998/4/19
最新版:2001/7/3
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