第34回(1996)大鐘賞
概要
韓国のアカデミー賞といわれる大鐘賞。1996年は、4月27日に国立劇場大劇場で授賞式が開催されました。主催は映画人協会と三星文化財団です。
受賞作品/人物
キム・ホソン監督の『エニケーン』が、最優秀作品賞ほか、監督賞と助演女優賞を受賞しました。この作品は、審査時点では未完成であったと言われていますが、そのような作品が、『つぼみ』,『美しき青年 全泰壱』など一般公開され高い評価を受けていた作品を押しのけて最優秀作品賞と監督賞を受賞したため、受賞当時は「ロビー活動による不正審査があったのでは?」との疑惑が浮上。大変な非難を浴びました。そのせいか、『エニケーン』が公開されたのは、翌年1997年の12月13日、しかもたった一週間の公開でした。
光州事件で精神的なダメージを受けた少女を描いた『つぼみ』は、審査委員特別賞と音楽賞・新人女優賞を受賞しました。審査委員特別賞は、作品性に優れるものの最優秀作品賞を逃した作品に与えられる傾向が強く、ある意味で、最優秀作品賞と同格の価値のある賞です。西洋音楽と韓国国楽を融合させ独特の音楽を生み出したウォン・イルが音楽賞を受賞したのはあまりにも順当。また、この映画でデビューし、鬼気迫る演技を見せたイ・ジョンヒョンの新人女優賞受賞も当然と言えるでしょう。
イ・ジョンヒョンと共に新人女優賞を受賞したのは、日本留学経験もあるイ・ジウン。彼女は『錦紅よ錦紅よ』の演技で、第16回(1995)青龍賞新人女優賞、第15回(1995)映画評論家協会賞新人演技賞、第6回(1995)春史映画芸術賞女子新しい顔演技賞も受賞しています。
主演女優賞は『結婚物語』(1992)に続いてシム・ヘジンが二度目の受賞。主演男優賞は、前年の第16回(1995)青龍賞でも男優主演賞を受賞したチェ・ミンスが受賞しました。二人は『結婚物語』に主演した仲で、二人とも1980年代後半にデビューし、1990年代前半から中盤にかけて大活躍した俳優です。
この年の作品で他に押さえておきたいのは、新人監督賞を受賞した『灼熱の屋上』、そして大鐘賞では企画賞の受賞にとどまった『美しき青年 全泰壱』といったところでしょうか。
皆さん、受賞おめでとうございます。
文責:ソチョン 2000/3/25
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