イ・ジェスの乱

　パク・クァンス監督が1983年に原作を読んだ時に映画化を構想し、フランス留学から帰国した1986年、イ・ジャンホ監督の『外人球団』の助監督として済州島での撮影に参加した時には既にハンティングを始めていたという。そして、8年の資料調査と現場考証を経てシナリオを完成させた。32億ウォンの製作費はカン・ウソクのシネマ・サービスが17億、フランスの映画社が8億を負担し、初の韓仏合弁映画となった。また、フランス国立映画センター(CNC)の「今年の支援作」にイランのキアロスタミ監督の作品と共に選定され、100万フランの製作費支援も受けた。

　腐敗した朝廷の過度の重税に民があえいでいた1901年、済州島に強大なフランス勢力の後押しを受けカトリック教徒がやってくる。そして、一部の悪質な教徒達は悪辣な税務官吏と結託し、横暴を働き始める。これに対し、大静郡郡主チェ・グソク（蔡亀錫，ミョン・ゲナム）は、民を助けるために秘密組織「商務社（サンムサ）」を結成。商務社は民衆たちを組織化し「民党」を結成する。そして「民党」は、郡主の手下で平民のイ・ジェス（イ・ジョンジェ）がリーダーとなって、カトリック神父や官吏が立てこもる済州城に押し寄せる。済州城を陥落させた民党は政府から官僚の腐敗とカトリックの横暴を是正する約束を取り付けるが、イ・ジェスは恋人の海女イル・スックァ（シム・ウナ）を残して20歳の若さで処刑されてしまう。

　原作を脚色したのは監督のパク・クァンス、オ・スンウク、ト・ソンヒ、シム・ジェヒョンの４人。音楽はウォン・イルが担当。撮影はキム・ヒョング。美術はMBC美術センター。

　第37回(2000)大鐘賞音楽賞（ウォン・イル）・衣装賞（ポン・ヒョンスク）、第52回(1999)ロカルノ国際映画祭青年批評家賞受賞、第4回(1999)釜山国際映画祭「韓国映画パノラマ」部門出品＆ NETPAC賞 Special Mention 受賞、第23回(1999)モントリオール世界映画祭ワールドシネマ部門、第44回(1999)アジア太平洋映画祭コンペ部門出品作品。

初版：1999/6
最新版：2001/10/9