リベラ・メ
画像提供:P2
題名 英題 ハングル |
リベラ・メ Libera Me 리베라 메 |
製作年 |
2000 |
時間 |
119 |
企画・製作 提供
後援 配給 |
ドリーム・サーチ MCIコリア Xcalibur iRegent.com シネマ・サービス |
監督 |
ヤン・ユノ |
出演 |
チェ・ミンス チャ・スンウォン イ・ホジェ キム・ギュリ ユ・ジテ パク・サンミョン キム・スロ チョン・ジュン パク・チェフン チョン・ウォンジュン チョ・ソンムク キム・エラン ホ・ジュノ(特別出演) チョン・エリ(特別出演) |
日本版 Video DVD |
字幕版Video 吹替版Video DVD |
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知能的な連続放火犯と彼を追う消防隊員を主人公にしたアクション・ヒューマン・ディザスター・ムービー。総製作費50億ウォン(=純製作費40億ウォン+マーケティング費10億ウォン)の大作映画で、題名の『リベラ・メ』は「我を救いたまえ」という意味のラテン語。
放火犯の疑いをかけられ、少年時代から監獄の中で過ごしたヒス(チャ・スンウォン)。彼が10数年に及ぶ刑期を終えて出所したその瞬間、刑務所のボイラー室が大音響と共に爆発する。その後、街では原因不明の火災が頻発。消防隊員は消火作業にてんてこ舞いとなるが、そんな中、消防隊長(イ・ホジェ)の弟インス(ホ・ジュノ)が死亡してしまい、彼のパートナー、サンウ(チェ・ミンス)は自責の念に駆られる。数日後にはマンションでまたしても火災が発生。サンウは無謀なまでの救助活動をし、新しいパートナーであるヒョンテ(ユ・ジテ)はそんな彼を不安な顔で見つめる。一方、インスの恋人だったミンソン(キム・ギュリ)は火災の原因はすべて放火だと確信するが、警察の非協力的な態度により調査は思うようにはかどらないでいた。
韓国版『バックドラフト』とでもいうべき内容の作品で、その生き物が動き回るようなド派手な火災シーンは必見。犯罪スリラー物としてもなかなかの出来で、怒涛の豪華キャスティングも魅力。連続放火魔のチャ・スンウォンのぞくぞくする様な演技とチェ・ミンス流のカリスマ演技、そして大人気の若手男優ユ・ジテや、『ナンバー・スリー』で「灰皿」と呼ばれるヤクザを演じたパク・サンミョン(ハンム役)、『アタック・ザ・ガス・ステーション!』にも出演しているチョン・ジュン(ジュンソン役)らの演技が見所の一つ。
都市全域を燃やす超大型プロジェクトで、釜山フィルム・コミッションの全面バックアップのもと、一大スペクタクル火災シーンを撮影した。火災シーンの撮影は「セット+CG+スタント」ではなく、「実際の街+本物の火+ノースタント」を基本とし、釜山フィルム・コミッションの斡旋で、撤去予定のアパートや病院、それに本物の消防隊や警察を手配。俳優陣もノースタントで大熱演したが、主演俳優10人を対象に1人20億ウォンずつ、合計200億ウォンもの障害保険の特別協賛を受けたことでも話題となった。
なお、レスキュー隊員を扱った作品『サイレン』が同時期に製作されていたが、こちらはアメリカから特殊効果の専門家をスーパーバイザーとして招聘したのに対し、『リベラ・メ』は自国の技術者を起用したという違いがある。
原案は監督のヤン・ユノ。1998年10月にヤン・ユノがテレビで冷凍倉庫の大火災に対処する消防署員の活躍を見て「巨大な火に対抗する英雄達の話」というコピーを思いついたのがこの映画の企画のスタート・ライン。脚本はヒョン・チュンヨルと梨花女子大を出た若手女流作家ヨ・ジナ。撮影監督はソ・ジョンミン。音楽監督はイ・ドンジュン。セットはオ・サンマン。
メイン・テーマ音楽として採用されているのは、ガブリエル・フォーレ(Gabriel Faure)のレクイエム『リベラ・メ』。
これまた予算投入型の大作映画『燃ゆる月』と同じ2000年11月11日に、ソウル35劇場38スクリーンで公開され、映画雑誌『シネ21』では「どちらが先に観客100万人を動員するか?」といった比較記事が掲載されるなど、注目を浴びた。当初は『燃ゆる月』の爆発的な動員に遅れをとったが、公開後に作品のよさが広まり、徐々に拡大公開。動員数も『燃ゆる月』を追い上げ、最終的にはソウルで50万、全国で100万を越える大ヒットとなった。ちなみに、韓国ではこの『リベラ・メ』の2週間前にも、消防署の救助隊員を主人公にしたディザスター・ムービー『サイレン』が公開されたが、こちらの興行成績は散々だった。
ブロード・バンドが普及しインターネット・ムービーが流行している韓国らしく、劇場公開前にネット上で、本編とは別のストーリーからなる映画「『リベラ・メ』クリック・バスター」が全編公開され話題となった。なお「『リベラ・メ』クリック・バスター」は、劇場公開版の6ヶ月前を背景にした物語で、本編の理解に役立つ内容とか。
日本ではノベライズ『リベラ・メ』(ヒョン・チュンヨル、ヨ・ジナ著,小林弘利編訳,2001年)が角川文庫より出版されている。また、公開直前にキム・ギュリを一日消防署長に招き、東京消防庁と配給元の松竹が協力して「避難訓練付き試写会」を開催し話題となった。
第12回ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2001「ワールド プレミア コリアンシアター」、第3回京都映画祭2001「特別上映作品」、東京国際ファンタスティック映画祭2001上映、第21回(2000)青龍賞技術賞(特殊効果:チョン・ドアン)、第37回(2001)百想芸術大賞大賞・作品賞・最優秀男子演技賞(チェ・ミンス)、第24回(2001)黄金撮影賞金賞(ソ・ジョンミン)・照明賞(シン・ジュナ)・準会員賞(ペク・ドンヒョン)、第38回(2001)大鐘賞撮影賞(ソ・ジョンミン)・照明賞(シン・ジュナ)・編集賞(パク・スンドク)・特殊効果賞(チョン・ドアン)、第9回(2001)春史羅雲奎映画芸術祭撮影賞(ソ・ジョンミン)・技術賞(チョン・ドアン)受賞作品。
初版:2001/3/23
最新版:2001/12/21
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「レビュー&リポート」に、『リベラ・メ』がプレミア上映されたゆうばり国際ファンタスティック映画祭2001の模様がリポートされた「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2001 リポート」が登録されています。
【Review】 Text by 月原万貴子(月子) 2001/3/7
釜山市内では、原因不明の火事が相次いでいた。犠牲者も多く、消防隊員からも殉職者が出る。パートナーが自分をかばって死んだことが頭を離れない消防隊員のサンウ(チェ・ミンス)は、極限状態の火災現場で、無謀なまでに救助活動に没頭する。そんなサンウを新しいパートナーである後輩のヒョンテ(ユ・ジテ)は不安な面もちで見つめていた。やがて、調査員のミンソン(キム・ギュリ)とともに現場写真を調べていたサンウは、野次馬の中に不審な男(チャ・スンウォン)がいることに気が付く・・・
とにかく火災シーンの迫力にびっくり。まるで生き物が呼吸するかのように縦横無尽に走る炎の怖ろしさが、温度を持って感じられるのだ。しかもこういった火災シーンを街の中心部で撮影したというのだからすごい。人が大勢集まる場所での火災といったものの恐怖が、リアルに伝わってくる。釜山フィルム・コミッションの全面協力があってこそ実現した作品なのだということが、よく分かった。
とはいえ、火だけがすごくても、人間がきちんと描かれていなければ、つまらない作品になってしまうというもの。その点、本作は役者の熱演が、炎と同じくらいに熱いのがうれしい。チェ・ミンスは『ユリョン』でも見せたような、人に有無を言わせないような気迫に溢れており、まさにはまり役。ユ・ジテはあの魅力的な笑顔が少ないのが寂しいが、正義感と恐怖心の間で揺れ動く普通の男の子らしさを繊細に演じてみせている。しかしもっとも心を揺さぶられたのがチャ・スンウォンの演技だ。整った外見と、優しげな低い声。一見しごくまともな青年ながら、その内面に癒せない傷と、異常性を抱え込んでいる男を、確かに演じきった。モデルから俳優に転身してまだ3年目だというが、これからが楽しみな逸材だと思う。
投稿者:カツヲうどんさん 投稿日:2001/4/8 19:07:12
確かにこの作品、日本では、とてもじゃないが、製作不可能な類の作品で、映像も凝っています。
だけど、全然面白くないし、せっかくの街中の大爆発も、ちっとも迫力がありませんでした。なんででしょうか??
韓国映画によくある「絶対的なセンスの欠如」という、謎の部分がこの作品でも、目立っていたような気がします。
【評価:★★★】
投稿者:SUMさん 投稿日:2002/1/4 19:57:03
ストーリーのご都合主義がすぎるのは目をつぶるとして、キャラクターが脚本面でも映像面でもよく描かれていて、モノホン炎にテンポいい映像で迫力は十分。
【評価:★★★★】
投稿者:iwakoさん 投稿日:2002/4/10 09:28:29
こういうのは劇場でみないとダメなんでしょうね。ビデオでテレビのちっこい画面じゃ。
火事のシーンはすごかったけれど・・・(我が家の21インチ普通テレビでもそれなりに)炎がなかなか美しいし、ほんものの形というのは不思議なものです。地獄の劫火とも思え、『リベラ・メ』というタイトルのイメージとぴったりです。
しかし、この火災の原因が、サイコパス、Adult children というのが私にはあまり納得がいかないのだけれど。ちょっと安易すぎるというか。でもいいのかな、理不尽な火災原因の方が現代風で。
【評価:★★★】
投稿者:さかなさん 投稿日:2003/3/8 23:41:18
地獄の業火、命がけの救出劇。
一歩間違えば俳優を丸焼きにしかねない、やりすぎとも言いたくなるような本物の炎。多少ご都合主義なストーリー展開だが、炎を自由に操るチャ・スンウォンの鬼気迫り妖艶な演技は見もの。イメージ・シーンも物悲しく美しい。まさに彼のための作品。
それだけに細々とした粗雑さが目に付いてしまう。
チェ・ミンスの顔をよく見せたいからなのか、炎の中に飛び込んでゆくというのに、彼だけヘルメットに防火ベールが付いていなかったり、誰もエア・マスクをしなかったり。私服で現場に立ち入ったり、消防士だけ保険がなかったり。現場に立ち会う女性消防官の服装や髪型がヤケにラフだったり(向こうの制度が分からないので有り得ないとは言いにくいが)。
見てくれの格好良さはともかく、無闇に現場で煙草を吸う隊員。素手で処置する救急隊員。そして、まだいくらもチャンスがありそうなのに、パク・サンミョンがさっさと脱出を諦めてしまったところではいかにも「さあ、泣いてください」と言わんばかりで呆れた。突っ込みたいところはまだまだある。
凄く見ごたえがあり、思わず総毛立つような音楽もよく、配役も贅沢でベスト。それだけに見せたい所だけこだわって描いてしまうと、あとは適当という韓国映画にはつきもののマイナス面がメチャクチャ惜しい。
【評価:★★★★】
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