ジャカルタ −現金争奪戦−
題名 英題 原題 ハングル |
ジャカルタ −現金争奪戦− Jakarta ジャカルタ 자카르타 |
製作年 |
2000 |
時間 |
92 |
製作
配給 |
シネマ・ゼニス FILMZ CJエンターテインメント |
監督 |
チョン・チョシン |
出演 |
キム・サンジュン ユン・ダフン イム・チャンジョン チン・ヒギョン イ・ジェウン キム・セジュン パク・チュンギュ チェ・サンハク クォン・ミンジュン |
日本版 Video DVD |
DVD |
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完全犯罪を夢見て、同じ日、同じ時刻に銀行を襲った3チームが引き起こすハプニングを描くコミカル犯罪アクション。ストーリーは中ほどで一旦終わってしまうが、そこから始まる『スティング』的どんでん返しが魅力。純製作費10億ウォンあまり。題名にある「ジャカルタ」は、インドネシアの首都名であると同時に、「完全犯罪」を意味する国際犯罪界の隠語。
金融投資会社のオグァン投資金融には、300万ドルもの大金が保管されている。そして、それを狙って偶然同じ日に襲撃をする3つのチーム。「ミッション・インポッシブル」チームは、ブルー(イム・チャンジョン)をリーダーとし、ホワイト(キム・セジュン)、レッド(チン・ヒギョン)の3人により構成されており、「男たちの挽歌(英雄本色)」チームは、ヘリョン(キム・サンジュン)とドゥサン(パク・チュンギュ)の兄弟、「テル・ミー・サムシング」チームは、ウナ(イ・ジェウン)とサヒョン(ユン・ダフン)の2人からなる。見事300万ドルを手中に収めるのは、どのチームか?
映画の題名よろしく、「ミッション・インポッシブル」チームは先端科学を駆使する新世代犯罪チームだが、メンバー同士はお互いの名前さえ知らない急造チーム。地下道を掘り進んで金庫に到達し、金を奪うのが彼らの計画だ。また、兄弟チームの「男たちの挽歌」チームは古典的ノワール・ギャングで、武器密売商から最新の拳銃を入手して作戦開始を待っている。「テル・ミー・サムシング(『カル』の原題)」チームは男女2人のペアだが、サヒョンはオグァン投資金融の社長の息子で、副社長。ところが、20億ウォンもの借金を作ってしまい、会社の事務員で恋人のウナを巻き込んで会社の金を盗もうと画策する。
『イエローヘア』,『世紀末』でヌードも辞さない個性的な演技を見せたイ・ジェウンが、この作品では清純な役回りを演じている。また、2000年のMBCシチュエーション・コメディー『俺達3人組』に主演し人気を博したユン・ダフンが、イ・ジェウンの恋人サヒョンを演じている。そして、同じく『俺達3人組』で人気のチェ・サンハクや、『トゥー・カップス3』,『Interview』のクォン・ミンジュンがカメオ出演している。
低予算でスター俳優をキャスティングしたため、全員が一堂に会して撮影する機会が少なく、全員集合しているシーンも実は各自ばらばらに撮影している個所がいくつかある。
2000年末に公開されたが、韓国映画には珍しい犯罪アクション・コメディというジャンルが新鮮だったのか、はたまた「あっ!」と驚く大どんでん返しが受けたのか、若者の支持を得て予想外のヒットとなった。
1962年生まれで、漢陽大学演劇映画科、ニューヨーク大学映画メディア学修士課程、南カリフォルニア大学映画制作学科を卒業し、広告代理店「コレッド」のプロデューサーを経て、『帰天図』,『ミスター・コンドーム』,『ハレルヤ』,『ソウル・ガーディアンズ 退魔録』,『エキストラ』のプロデューサーや富川国際ファンタスティック映画祭のプログラマーとして活躍したチョン・チョシン監督デビュー作で、脚本も彼が担当している。ちなみに監督の言によれば、「『パルプ・フィクション』と『ユージュアル・サスペクツ』を合わせて、『ソナチネ』のような映画を作りたかった」とのこと。
第5回(2001)富川国際ファンタスティック映画祭メイド・イン・コリア部門招待作品。
初版:2001/1/3
最新版:2001/7/28
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【ソチョンの鑑賞ノート】
2001年1月13日にソウルのソウル劇場で鑑賞。
「意外と」と書いては失礼かもしれませんが、面白かったです。
全く異なる3チームが偶然同日同刻に銀行を襲って、てんやわんやの大騒ぎ。それぞれのチームは自分達の計画が台無しになって、悪戦苦闘するのだが、実は・・・
という訳で、映画の中ほどで一旦話は終わってしまうのですが、そこからぐるっと時間が戻って、また映画の冒頭から同じシーンが繰り返されます。しかし、1回目とは何やら趣が異なる。そう、今回は本当のストーリーが描かれるのです。
「えっ! ええええっ!! そうだったのぉ〜!」とビックリ仰天するかどうかは人それぞれですが、程度の差こそあれ、『スティング』を見終わった後のように、驚く事は間違いないです。こういうタイプの映画は韓国映画では珍しいですね。その意味で希少価値というか、製作本数が少なく、ジャンル的に似たり寄ったりの映画が多い韓国映画界に、こういう映画が出現したのは、なかなか意義あることだと思います。
訪韓中、1回しか見られなかったのですが、もう一度見て、ストーリー的に破綻していないか確かめてみたいですね。そう思わせるところは『シックス・センス』的?
中堅どころのスター俳優が大勢出演しているのですが、中でも気になったのはやはり『イエローヘア』,『世紀末』のイ・ジェウン。前2作では惜しげもなくヌードを披露し妖艶な雰囲気を漂わせていた彼女ですが、今回の役回りはブリブリ系の可愛い娘ちゃんで、随分と趣が違います。どっちの彼女が地なのか気になりますね。どっちも好きなんですけどね。でも、考えてみれば彼女、まだ20歳なんだよなぁ。じゅるじゅる。あ、いかん、よだれが・・・(^^;
2001年1月26日執筆
投稿者:カツヲうどんさん 投稿日:2001/4/5 16:47:21
シナリオは凝っているのだけど、残念ながら失敗作。
面白くありません。俳優達の魅力の無さも致命的だし、話し自体が映画にするには中身が薄すぎ。ただし、ヒロインが恋人に捨てられ、自失呆然するロング・ショットのシーンだけは感動的で、印象に残りました。
【評価:★★】
投稿者:大西康雄さん 投稿日:2002/3/13 14:08:47
意欲作であることは確かであるが、意欲が空回りしている作品。
アイディアが命の映画なのでネタばれするような具体的な記述は避けるが、偶然三チームが銀行に襲撃するように見えて、実は・・・ という設定自体はなかなかよい。問題は仕掛けをバラしていく謎解きの提示の仕方がいささか安直な点である。問題は大きく分けて二つある。
最大の問題は「視点」の問題。前半で一見こう見えることが、後半で真相は実は・・・ という構成になっている。この「一見こう見える」という部分は大抵の謎解きドラマでは、被害者の視点だったり、捜査に着手した警察の当初の見方だったり、あるいは犯人の視点だったり、いずれにしろ登場人物の誰かの視点であることが普通だろう。ところが本作ではよく考えると登場人物の誰の視点でもなく、結局製作者の視点なのだ。そして後半の真相の謎解きも当然製作者の視点なので、前半の「一見」は何だったのだ?という話になる。結局謎解きが、本来の謎解きになっておらず実は単に製作者の視点で二つの見方を並べたということでしかない。従って視点の落差の面白さが半減している。
二点目は謎解きの見せ方の問題。これは、それぞれ観客の好みの問題かもしれないが、これも日本のドラマだったら捜査過程を丁寧に描くなり謎の解き明かし過程に一つのポイントを持ってくるところだろう。本作の場合はただ再度時間軸を戻してそのまま真相を見せているだけである。これが前の視点の問題と相まって安直感がぬぐえない。
全体に最近の韓国映画では登場人物の回想シーンは別にしても、ドラマ本筋の時間軸をいじりまわす作品が妙に多くなっているように思われる。もちろんドラマツルギー上、必然性があってのことであれば良いが、流行だから追随しているのではないかと思われる作品も見受けられる。この傾向は『ペパーミント・キャンディー』の成功あたりが影響しているのだろうか? 本作も安直に流行の方法論に乗ってしまったのでは、という気がする。韓国国内市場では通用するかもしれないが。
本作は低予算映画ということなので俳優を云々するのは酷だろう。個人的にはイ・ジェウンのけなげな可愛さをよしとしたい。
とはいえ、韓国映画フリークを自認される方は、製作者の意欲のほどを見ておくのも一興だろう。
本作は韓国製英語字幕付きDVDで鑑賞。DVDデータは以下の通り。
2001年5月、メディアバンク・ワールドワイド(漢字表記:影視輸出入公司)よりリリース。カタログ番号:なし。収録フォーマット:片面2層、スクイーズ16:9、ビスタサイズ。音声:韓国語、ドルビー5.1チャンネル。字幕:英語/韓国語。収録時間:本編96分。リージョンコード:ALL。メーカー希望価格:22,000ウォン。
【評価:★★】
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