ドキュメンタリー作品を製作する若者の話に実際のインタビュー場面を混ぜたドキュメンタリー&フィクションの実験作。ドキュメンタリーのインタビューを通して「真実」を捉えようとする映画監督志望生の話を描く。
フランスで映画の勉強をしてきたチェ・ウンソク(イ・ジョンジェ)が、大勢の人達に「愛」についてインタビューをしている。その答えをまとめて愛に関するドキュメンタリー・フィルムを完成させるのが目的だ。ある日、プロデューサーのビョングォン(チョ・ジェヒョン)が経営するカフェでインタビューが行われ、映画俳優ミンジュン(クォン・ミンジュン)と彼女の友人で美容室で働くイ・ヨンヒ(シム・ウナ)がインタビューの対象になる。ビョングォンはミンジュンに関心を持つが、ウンソクはヨンヒの話が気になる。最初は彼女に対して客観的な関心を持っていたウンソクだが、それはいつしか個人的な感情に発展する。しかし、彼のカメラが捉えていたヨンヒは・・・
実際にパソコン通信と手紙で大勢の人からラブ・ストーリーを公募し、その中から選んだ何名かにインタビューを敢行。他にも小説家イ・ウェス、俳優チュ・サンミ、紫雨林のキム・ユナら有名人も自らの恋愛体験談を披露するインタビューに応じた。
フランス国立映画学校(FEMIS)出身のピョン・ヒョク監督の長編映画デビュー作。彼は短編映画『ホモ・ビデオクス』などで以前から注目を受けていた人物。脚本は監督のピョン・ヒョクとクォン・ヨングク、オ・ヒョルリ、チョン・ジヌァンの四人による共同執筆。製作者はイ・チュニョン。プロデューサーはイ・スンジェとイ・ミヨン。撮影はキム・ヒョング。照明はイ・ガンサン。シム・ウナが現代舞踊家役で出演しており、艶やかなダンスを披露しているが、彼女の踊りの振り付けをしたのは、高名な現代舞踏家アン・ウンミ。
『トゥー・カップス3』の女刑事役でデビューしたクォン・ミンジュンがシム・ウナの友人の女優「クォン・ミンジュン」を演じている。『ハリウッド・キッドの生涯』で主人公の高校生時代を演じたキム・ジョンヒョンが助監督ミンス役で出演。彼は『俺の所へ来い』(1996)、『彼は私にチータを知っているかときいた』(1997)などにも出演している。015Bのメンバーとして有名な歌手のチャン・ホイルが、プロデューサーのジェヒョク役で出演しているほか、この映画の映像を編集して自分のバラード曲『告白』のミュージックビデオを製作して話題となった。パリで撮影したポスターが公開前から大人気となった。
映画製作に関する誓い「ドグマ95」で有名なデンマークのドグマ財団が、この映画に「ドグマ映画」の認証書を授与し、アジア初のドグマ映画となった。ドグマ映画としては通算7本目となる。
第1回(2000)全州国際映画祭「韓国映画長編」部門、第5回(2000)釜山国際映画祭「新しい波」部門、第25回(2001)香港国際映画祭出品作品。
釜山国際映画祭で上映されたのは127分のインターナショナル・バージョン。日本では108分の韓国国内公開版が公開された。インターナショナル・バージョンと韓国国内公開版とではエンディングが大きく異なっている。ちなみに、韓国で発売されている本作のDVD(リージョンALLで日本語字幕付)は約125分なので、釜山国際映画祭で上映されたロングバージョンと思われる。
第1回(2000)釜山映画評論家協会賞新人監督賞(ピョン・ヒョク)、第38回(2001)大鐘賞企画賞(イ・ミヨン)受賞作品。
初版:2000/4/15
最新版:2001/12/8
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