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すばらしき我が青春の日々


題名
英題
原題
ハングル
すばらしき我が青春の日々
Our Sweet Days of Youth
うれしい我らが若き日
기쁜 우리 젊은 날
製作年 1987
時間 130
製作 泰興映画
監督 ペ・チャンホ
出演 アン・ソンギ
ファン・シネ
チョン・ムソン
キム・ギボム
パク・ヨンパル
パク・エスク
チョ・ソンムク
ホ・ギホ
チェ・ヨンパル
ナ・ガプソン
イム・エシム
アン・ジンス
チェ・ブラム
日本版
Video
DVD
なし

 さえない大学生のヨンミン(アン・ソンギ)は、芝居の公演で出会ったヘリン(ファン・シネ)に片思い。彼女の芝居公演の度に匿名で花や果物などを送る。しかし、ヘリンは頼りないヨンミンではなく、裕福な産婦人科医(チョン・ムソン)と結婚してニューヨークへ。
 その後、ヨンミンは地下鉄で偶然ヘリンと再会する。彼女は離婚して傷心の帰国をしていたのだ。必死でヘリンの心の傷を癒そうとするヨンミンに、次第に心を開いていくヘリン。ついに二人は結婚し、幸せな毎日を送る。そして二人の愛の結晶である妊娠。しかし、ヘリンは妊娠中毒症状にかかってしまう。

 典型的なメロドラマだが、ペ・チャンホらしい心のこもった作品に仕上がっている。コンピュータが選んだ韓国最高の美人女優ファン・シネの記念すべき映画デビュー作。

 脚本はペ・チャンホとイ・ミョンセ。助監督もイ・ミョンセが担当。撮影監督はユ・ヨンギル。ヨンミンとヘリンの結婚式のシーンに監督のペ・チャンホがカメオ出演している。

 第26回大鐘賞録音賞、第32回アジア太平洋映画祭男優主演賞(アン・ソンギ)受賞作品。1987年に台湾に輸出された。

初版:1998/5/28


【ソチョンのノンストップ・ネタバレ解説】

 アン・ソンギ演じるヨンミンはまったく冴えない3枚目の大学生。彼は、演劇にでているヘリン(ファン・シネ)に一目ぼれし、公演のたびに匿名で花を送り続ける。なんとか、初デートにこぎつけたヨンミンは、おどおどしながら彼女に自作の戯曲を渡し、愛を告白しようとするが、なんともぎこちなくうまくいかない。別のある日、偶然彼女とフィアンセがレストランでデートしている現場を目撃してしたヨンミンは、思わずレストランに入ってしまう。よれよれの冴えない服装の彼に、正装した店内の客の注目がいっせいに集まる。ここで、一発いい格好ができればいいのに、あぁなんて可哀相なヨンミン。季節は冬。中に入った彼の眼鏡はあっという間に曇ってしまい、前方がまったく見えない。店内で悲喜劇的ドジを踏みまくる彼に、彼女は呆れ返る。結局、彼女はフィアンセと結婚しアメリカに留学してしまう。

 失意の日々を過ごすヨンミン。数年後のある日、彼は地下鉄で、離婚したヘリンに出会う。相変わらず、へたっぴぃな愛情表現しかできないヨンミンだが、離婚で心の傷を受けたヘリンはそんな彼の真心に触れ、徐々に心を開き、ついに二人は結婚する。つかの間の幸せを満喫する二人。アン・ソンギとファン・シネの笑顔が眩しい... そして、二人の愛の結晶である出産。しかし、なんという運命のいたずらか、ヘリンは妊娠中毒症にかかり愛するヨンミンの子を産んで死んでしまう。
 それから、また数年。かつてヘリンとデートした公園に来たヨンミンは、可愛く育った愛娘の姿にヘリンの面影をだぶらせるのだった。

 あ・の・ファン・シネの記念すべき映画初出演作品。最近のファン・シネは、さすがに少々とうがたってきた感があるが、デビュー作だけあってお若い。そして、お美しい。最初にスクリーンに登場したときは、

「こんな目鼻立ちのすらっとした女優さんがおったんかー。す・好きっ!」

と(心の中で)叫んでしまった。「あんた誰でも好きになるねー」という突っ込みは却下。それくらいに美しい。一方のアン・ソンギだが、もう観てるこっちが「こら、ヨンミン。しっかりせんかいっ! もうちょっと、そこで気のきいた台詞の一つも言わないとっ! こりゃこりゃ、財布の中身も確認せずデートする奴があるかっ!」と叫びたくなるほどの典型的な恋愛べた男ヨンミンを好演している。個人的には、なよなよした役柄のアン・ソンギより、圧倒的な迫力とオーラを放って周りを圧倒する役柄のアン・ソンギのほうが好みだが、映画の後半、ヘリンとの結婚生活でナイスな笑顔を振り撒いているので許そう。

 脚本は監督のペ・チャンホと助監督のイ・ミョンセ。なんでも、前川道博「「昶浩論」(佐藤忠男編著『アジア映画小事典』,三一書房)によると「ペ・チャンホが監督デビュー作にと考えていた自らの脚本『正午のミスター・キム』に手を加えた作品である。彼自身の大学時代の初恋を素材にしている。」そうだ。ってことは、ヨンミンは監督それ自身ということか? 後に、自分の嫁さんと一緒に主演・監督した作品『ラブ・ストーリー』(1996)とセットで観ると面白いかもしれない。こちらでは、ぺ・チャンホは恋に鈍感な中年男を自ら好演している。
 ペ・チャンホの助監督イ・ミョンセは、この作品と『夢』(監督、脚本、主演が全部この映画と同じ)の脚本を担当。アン・ソンギが初デートでファン・シネに渡した戯曲の題名は『私の愛、私の花嫁』。これは、イ・ミョンセの監督第2作の題名と同じだ。遊んでますな。

 ストーリーは、典型的なソープ・オペラ(昼メロ)で、何も書くことはないのだが、凝りにこった演出をしている。初デートのシーンで、ガラスコップ越しヘリンの姿を映すシーンがある。緊張の余りまともにヘリンを見ることができないヨンミンの心のうちを表したのか。他にも、ヨンミンの眼鏡越しにヘリンの映すなど、全編を通してガラスの使い方がやけに凝ってる(詳しい分析は、前述の前川論文にあり)。うまい・といえばうまいが、ちょっと鼻につくかな。個人的な好みでは、演出に凝るなら脚本にもっと力を入れてもらいたい。

 とはいうものの、ラストは感涙もの。正確に記憶してないが、映画の中ほどでヨンミンとヘリンが公園でデートするシーンがある。そこで一生懸命彼女の気を引こうと献身のサービスをするヨンミン。しかし、彼がしたのは「ゆで卵の皮をむいてジュースとともに差し出す」という「おしゃれ、かっこいい」という言葉とは程遠い行為。そして、ラストのシーン。同じ公園に可愛く育った娘とやって来たヨンミンは、そこでまた同じように、ゆで卵の皮をむきジュースを差し出す。娘の愛らしい笑顔と死んだ妻ヘリンの顔がオーバーラップする。思わず目頭が熱くなる。しかし後味の悪い涙ではない。ほんわか暖かい涙を流させるところが、「普遍的な愛」をテーマとするペ・チャンホのペ・チャンホ たる所以だ。だから好きなんだよな。


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