豚が井戸に落ちた日
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一人の売れない作家を主人公に、現代の都市社会に生きる4人の男女の孤独と愛を描いた問題作。洗練された画面作り。バックに流れる音楽は見る者に妙な不安感を与え続ける。韓国国内はもちろん、世界の映画祭で紹介され絶賛された。監督のホン・サンスはこの作品でデビュー。一気に韓国を代表する監督の一人に上り詰めた。
この作品の構成を「非常に緻密で計算されたもの」と評する人もいるが、私には非常に感覚的な作品に思えた。いわゆるプロッティングが通用しない。撮影中も即興でどんどん脚本を変更していったそうだ。そんなこんなで、見た人は絶賛するか、けなすかのどちらか。私は題名の意味も含めてよく分からなかったというのが正直なところで保留状態。乾いた不思議な印象を持つのだが、それは感動ではない。感動できない理由は監督が人間を見る目が冷めているからなのかもしれない。見るものに感動を強要しない点は、いいともいえるし、悪いともいえるし...
第9回(1996)東京国際映画祭「ヤング・シネマ・コンペティション」部門出品ほか、ベルリン国際映画祭フォーラム部門、第35回(2000)Karlovy Vary国際映画祭、第13回(2000)ヘルシンキ国際映画祭Asia Meets Europe部門、第29回(2003)シアトル国際映画祭"Emerging Masters"部門をはじめ20余りの国際映画祭に招待、第20回(1997)黄金撮影賞新人監督賞(ホン・サンス)・男子新人演技賞(キム・イソン),女子新人演技賞(チョ・ウンスク)、第17回(1996)青龍賞新人監督賞(ホン・サンス)・女優助演賞(チョ・ウンスク)、第16回(1996)映画評論家協会賞新人監督賞(ホン・サンス)・音楽賞、第15回(1996)バンクーバー国際映画祭龍虎賞、第1回(1996)釜山国際映画祭NETPAC賞、第26回(1997)ロッテルダム国際映画祭タイガー賞、第42回(1997)アジア太平洋映画祭新人監督賞(ホン・サンス)受賞。
「辛韓国映画祭2003」上映作品。
初版:1998/4/25
最新版:2000/11/20
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投稿者:SUMさん 投稿日:1998年4月23日(木)9時44分00秒
後に何か考えさせられるか、否。感動したか、否。
なんだが、面白い。理屈よりもその場の直感を優先して撮ったというこの映画、こんなに面白いのは何故だろうか。
登場人物に親近感を覚えたくなった。覚えた、とまで言うと嘘かもしれない。男の性で自分にああいった願望がある部分もあるからだと思えなくもない。
現実っぽい話から最終的には現実っぽさが破綻していくようなところへ、映画を見る人間が話に引き込まれていってあれよあれよとなだれ込んでゆく。
同じ群像劇人間ものでも、イム・グウォンテクの『祝祭』と比べるて例えるならば、前者は「人間っていいなぁ」なのに対してこちらは「人間ってやだねぇ(笑)」という感じでである。だけに、拒否反応を示す人もいるようだ。
【評価:★★★★】
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