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ジャスティス〜これが法だ〜


題名
英題
 
原題
ハングル
ジャスティス〜これが法だ〜
Justice
Out of Justice
これが法だ
이것이 법이다
製作年 2001
時間 110
115(日本版DVD)
製作
 
共同製作
提供
 
配給
AFDF-Korea
シネ・オン・メディア
ベア・エンターテイメント
AFDF-Korea
ベア・エンターテイメント
AFDF-Korea
監督 ミン・ビョンジン
出演 キム・ミンジョン
シン・ウンギョン
イム・ウォニ
チュ・ヒョン
チャン・ハンソン
キム・ガプス
ユン・スンウォン
ユン・ジュサン

【特別出演】
イ・ギョンヨン
クォン・ヘヒョ
ユン・ダフン
コン・ヒョンジン
チョン・ヒョンギ
チョ・ソンムク
イム・デイル

日本版
Video
DVD
DVD

 謎の連続殺人事件を追う四人の刑事を主人公にしたアクション・ミステリアス・コメディー&メロ。法があっても、権力さえあれば処罰されない社会、そういった社会の不条理を題材にしており、『ダーティハリー』を意識した内容となっている。

 ある日、惨殺死体が発見される。死体の上には「正義の名のもとに悪を裁く」という意味のタロットカードが置かれていた。被害者は婦女暴行殺人事件の容疑者だったが、証拠不充分で無罪となった資産家の息子。そして、ショッキングなことに、事件の殺害シーンの映像が犯人が開設したと思われるホームページ「ドクターQ」で流される。殺人犯は「社会のゴミを処刑しているのだ」と自らの正当性を主張し、今後も殺人は続くだろうと警告を発する。これに対し、警察はキム班長(チュ・ヒョン)の下、ポン刑事(イム・ウォニ)、ピョ刑事(キム・ミンジョン)、カン刑事(シン・ウンギョン)、ハ刑事(チャン・ハンソン)を中心とした特別捜査班を組織する。しかし、口より先に手が出る熱血漢のポン刑事と百戦錬磨の大ベテランのハ刑事、対する科学的捜査を重視するエリート刑事ピョとコンピュータ捜査が専門の女刑事カンは、事あるごとに衝突する。捜査は遅々として進まず、連続殺人犯の尻尾をつかむことはなかなかできない。居場所を突き止めてもいざ出動してみると、既にもぬけの殻なのだ。やがて特別捜査班の事務所で盗聴器が発見され、内部共犯者説が持ち上がる。そして、特捜部の刑事が殺害され、捜査線上に元刑事のパク・シジョン(キム・ガプス)が浮かび上がってくる。パクを追う捜査陣。しかし、今度は一心会という警察内の秘密組織の存在が明るみになり・・・

 キム・ミンジョンが『土曜日午後2時』以来三年ぶりに映画出演。シン・ウンギョンは前作『花嫁はギャングスター』で演じたヤクザの女親分から180度転進して、中性的でセクシーな女刑事を演じた。

 イム・ウォニはソウル芸術専門大学演劇科卒。劇団「ユー」出身で、演劇『タクシー・ドライバー』、『無駄骨』、映画『あきれた男達』(スクリーン・デビュー作)、『SPY リー・チョルジン 北朝鮮から来た男』『ダイ・バッド 〜死ぬか、もしくは悪(ワル)になるか〜』などに出演した後、リュ・スンワン監督のインターネット映画『たちまわLee』(2000)で披露したオーバー・アクション演技が話題となり、一躍人気者となった個性派男優。映画主演はこれが初となる。

 主演の三人以外にも『ハッピーエンド』のチュ・ヒョン、『カル』のチャン・ハンソン、『太白山脈』のキム・ガプスといったベテランどころが扮する助演陣の演技が好評。この他、コン・ヒョンジン、イ・ギョンヨン、ユン・ダフン、クォン・ヘヒョ等がイム・ウォニとキム・ミンジョンと仲がよいため特別出演した。

 製作はチョン・テソプとチェ・ヒイル。監督は『土曜日午後2時』のミン・ビョンジン。キム・ムンソンのシナリオを監督のミン・ビョンジンとキム・ヘゴンが脚色。撮影はソ・ジョンミン。音楽はイ・ドンジュン。編集はパク・コッチ。

 ロケ地、セット、パトカーや消防車の無償レンタルなど、全州市の全面協力のもとに製作された作品。全州市は釜山市に続いて2001年にフィルム・コミッションを設立している。

 法のもとにはびこる悪を処刑する犯人、それを追う刑事達の捜査の過程で謎が明らかにされるという題材は面白かったが、捜査の展開が説明不足でストーリーの理解が困難な上、力を入れたカー・アクションも完成度がイマイチで、興行的にも成功できなかった。

初版:2002/1/4



投稿者:カツヲうどんさん 投稿日:2002/1/3 21:53:26

 まるで1980年代の映画のようなタイトルだが、中身もまたタイムスリップして退化した作品。

 「法で裁けぬ悪党を、次々と抹殺してゆく謎の処刑人ドクターQ。彼の残したタロットカードとスナップビデオを手がかりに、その後を追う刑事達の四者四様の活躍を描くアクション」かと思いきや、ドクターQはすぐにどうでもよくなり、物語はネタを詰め込み過ぎて消化不良を起こした不発なコメディと化して行く。

 韓国の観客も、これがどういう映画かよくわかっているらしく、映画を観るには最高の状況下(クリスマスの日、場所は江南のメガボックス)にもかかわらず、劇場内はガラガラなのが印象的だった。

 主演のイム・ウォニ(元横綱、千代の富士似)は、脇役で名演を見せそうな個性派であるが、まだ主演を張るには程遠く、彼と正反対な役を演じているはずのキム・ミンジョンも「ただいるだけ」的な役回り&演技のため全く対照になっていない。

 シン・ウンギョンは『花嫁はギャングスター』の時よりも、地のキャラに近いと思わせる役柄だが、どこか前作の役を引きずらされているようにも見受けられた。ただ、ほんの1カットではあるが魅力的な笑顔を見せてくれ、今後もっと表情に富んだ役がまわってくれば、女優として更に一歩進めるだろうと感じた。

 ベテラン刑事を演じるチャン・ハンソンは安定した演技で安心して観ていられるが、この役柄は『カル』のベテラン刑事と、ほとんど同じ役柄である。

 全体のアクションは総じて派手で、合成も及第点をあげられる仕上がりだが、見せ方に工夫がないので迫力がなくイマイチだ。物語の後半、四人の刑事たちが酔って、雨の中、水の掛け合いをする印象的なシーンがある。ここだけ唐突に感動的だったのだが、何かのCMのパロディのようでもあり、本来だったら笑うべきシーンだったのだろうか?

 結論的にいうと、総じて安っぽく特筆すべき作品ではない。だから星取表は辛く付けざるを得ないが、映画自体の評価とは別に注目して欲しい部分がこの作品には一つある。それは、全州市での全面的なロケーション協力の成果だ。この映画で観られる派手なアクションの幾つかはソウル市内では多分難しいであろう事(実際、派手な撮影はそれ程自由ではないという)、そして釜山市は(フィルム・コミッションはあるものの)山と海に挟まれたウナギのような平地からなる癖の強い風景を持っていることを考えると、全州市のアクのなさ、平坦な地理的構造は、「擬似ソウル」、「普遍的な架空の韓国の都市」のロケーション場として実にぴったりであることが映画を観ていてよくわかる。

 韓国での派手なアクション映画の撮影を考えている方には、そのデモとして、この映画を観ることを薦めたい。

【評価:★】


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