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アウトライブ −飛天舞−


題名
英題
 
原題
ハングル
アウトライブ −飛天舞−
Bi-Chun-Moo(韓国)
OUTLIVE(日本)
飛天舞
비천무
製作年 2000
時間 117
製作
投資・配給
共同投資
 
テウォン・エンターテイメント
シネマ・サービス
無限技術
サヌン・キャピタル
監督 キム・ヨンジュン
出演 シン・ヒョンジュン
キム・ヒソン
チョン・ジニョン
チャン・ドンジク
キム・ハクチョル
キ・ジュボン
ソ・テファ
チェ・ユジョン
オ・スンミョン
ハン・サンチョル
イ・ハンガル
キム・スロ
リュ・ヒョンギョン
パン・ヒョプ
キム・ジュヨン
キム・フン
コン・デボン
チュ・グィジョン
キム・チャンジュン
チョ・ヨノ
ク・ヘリョン
ヨ・ムンギ
キム・ソンヒョン
チョン・ビョンチョル
カン・ギョンイル
チョン・ヨンギ
日本版
Video
DVD
字幕版Video
吹替版Video
DVD

 踊るような武術と、悲愴美を持った華麗な剣法。日本とも香港とも一味違う韓国式アクションが見所の新感覚武侠ラブ・ストーリー。14世紀は中国の元朝末期、モンゴル族・漢族・高麗遊民の勢力争いが熾烈な混乱期を背景に、高麗遊民の息子と、モンゴル人将軍と漢民族の妾の間に生まれた娘の引き裂かれた恋を描く。韓国の三大女流漫画家の一人といわれるキム・ヘリンの少女漫画『飛天舞』(全六巻)を映画化。

 皆殺しにあった高麗遊民「ユ」一族の中で、唯一生き残ったジナ(シン・ヒョンジュン)。彼は子供の頃から、モンゴル人の実力者の娘ソルリ(雪莉,キム・ヒソン)と愛を育んできたが、彼女は母親の死をきっかけに本家のある紹興に連れて行かれ、二人は離れ離れになってしまう。そして、ある日、ジナは叔父クァク・チョン(キ・ジュボン)から、自らの出自を告げられ、家門に伝わる秘伝書『飛天神記』により空飛ぶ拳法の秘術を完成させよと告げられる。ジナはソルリに会いに紹興に行くが、彼はそこでソルリが父タルガ(キム・ハクチョル/金学哲)の命により、ジナと友情を育んだナムグン・ジュングァン(チョン・ジニョン)と強制的に結婚させられそうになっていることを知る。ソルリの腹違いの兄ライ(チャン・ドンジク/張東直)と一戦を交えたジナはソルリと逃亡を試みるが、失敗し再び離れ離れになってしまう。そして、親の敵であるタルガとジュングァンの父を討つために刺客「紫蝦狼(チャハラン)」となったジナと、ジュングァンの妻となり息子を産んだソルリは、数年後、戦場で悲しい再会をする。

 製作費40億ウォンを投入し高度なSFXを駆使。チャイナ・フィルム・コープロダクションと上海フィルムスタジオが共同製作。原作の舞台を生かし撮影の90%は中国の上海でロケ。『花の影』、『グリーン・デスティニー』などの撮影にも使われた超大型オープンセットを使用し、『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』や『少林サッカー』などで知られる香港の武術監督、程小東(チン・シウトン)率いるマーシャル・アーツ・アクション・チームが華麗なワイヤー・アクションを演出。ほかにもCGはアメリカのILMが担当するなど、韓国、中国、香港、アメリカの技術力が一体となった作品。なお、シン・ヒョンジュンはこの映画を撮るにあたり、アクションの勉強のため私費で香港に渡り、『マトリックス』でキアヌ・リーヴスにカンフーを教えた袁和平(ユエン・ウーピン)に師事した。

 武侠映画とアクション映画のマニアである新鋭キム・ヨンジュン監督のデビュー作。脚本は監督のキム・ヨンジュンとチョン・ヨンギ。撮影監督は『陽が西から昇ったら』『ホワイトクリスマス 恋しくて、逢いたくて』などのピョン・ヒソン。

 後に日韓合作『夜を賭けて』に出演するユ・ヒョンギョンが、「リュ・ヒョンギョン」として、キム・スロ演じるアシンの妹アリス役で出演している。

 2000年夏に公開され、ソウルで70万人以上を動員する大ヒットに。特に他の作品と比べて、短期間で数字を伸ばした点と地方での興行成績が良かったのが特徴。また、中国にプリ・セールされ、撮影施設の提供という形でこの映画を共同製作した上海フィルムスタジオを通じて、韓国映画としては初めて中国全域で公開された。2001年2月には香港での公開にあわせて、シン・ヒョンジュンとキム・ヒソンが香港を訪問。二人とも香港俳優(クリスティー・チャン,レオン・ライ)との熱愛説を持つだけに現地の芸能記者からはゴシップに関する質問が飛んだという。

 第25回(2001)モントリオール世界映画祭World Cinema: Reflections of Our Time部門、第11回アジアフォーカス・福岡映画祭2001、第5回みちのく国際ミステリー映画祭2001 in 盛岡招待作品。

 第24回(2001)黄金撮影賞銅賞(ピョン・ヒソン)、第38回(2001)大鐘賞衣装賞(キム・ミニ)受賞作品。

 この映画は漫画を原作としており、漫画と映画とでは内容に大きな差があるが(映画は原作の叙事性と歴史性をカットし、登場人物の恋と友情、そしてアクションに焦点をあてている)、漫画派が開設したアンチ映画版サイトはこちら。原作漫画の筆者キム・ヘリンのサイトはこちら

 原作漫画『飛天舞』(キム・ヘリン著)は、韓国のマンガを単行本で毎月出版するタイガーコミックス・シリーズ(総和社)より日本でも発行されている。

初版:2000/8/14
最新版:2001/9/30



投稿者:SUM さん 投稿日:2000年9月17日(日)21時05分10秒

 歴史SF大河ドラマ。良くできていて、よくまとまっている。けど、まとまっている割にぴんとこなかった。大河ドラマ的作品は、今までに各国の巨匠が挑戦してきただけに、映像センスにしろなににしろ、それと比べてどうしても見劣りする。

 それでも、キャストはみんなはまり役。演技しないで立っているだけで映像にとけ込んでるのではなかろうか。迫力・スケールのある映画には間違いない。

【評価:★★★】


【ソチョンの鑑賞ノート】

 第5回(2000)釜山国際映画祭のインダストリアル・スクリーニングで英語字幕付を鑑賞。

 大ヒットの割に評論家筋からは酷評された『アウトライブ −飛天舞−』ですが、大変楽しめました。確かに、主人公達の華麗なアクションの多くは代役だし、キム・ヒソンの舞も代役だというのはもろ分かりで、代役なしの香港映画を見慣れた方にはしょぼい映画に見えるかもしれません。けれど、香港映画界からアクション指導を仰ぎ、中国ロケを敢行した中華圏も視野に入れた大作。その心意気や「良し」です。娯楽作品として見ても十分水準をクリアしてますしね。

 今回の経験が生かされ、将来「韓国オリジナル」と堂々と胸を張って言えるような、そんな武侠映画が製作されるようになれば、この映画はずいぶんと価値ある一作になります。逆に、今後も同じように借り物で映画作りを続けるのならば、この映画は「悪しき第一歩」として記録されることになるでしょう。この映画の評価は、今後の韓国武侠映画によって、左右される。そんな気がします。

 キム・ヒソンを銀幕上で見るのは、久方ぶりだったのですが、いやはや本当にきれいな女優さんですね。個人的に彼女の声質が駄目なので、好きな俳優さんではないのですが、宮中で踊りを舞うシーン、腕で隠されたキム・ヒソンの顔が徐々に現れスクリーン一杯に広がった時には、あまりの美しさに息を呑みました。監督さん、この女優の使い方を心得ているなと感じた一瞬でもありましたね。

 蛇足ですが、上映前に近日公開映画として大作の『リベラ・メ』の予告編が流れたのですが、これがまた非常に期待感を募らせる出来でした。一昔前だったら、「韓国の大作映画? どうせしょぼいんじゃないの〜」と即座に思ったものですが、『シュリ』以降、「韓国の大作映画? 面白そうじゃん!」と私の中で評価が変わってきているんですよね。恐るべし、韓国大作映画。

2000年12月2日執筆



投稿者:イム・ボンジュさん 投稿日:2000/12/26 00:43:56

 私は『グリーン・デスティニー』ですら受け付けなかったほどの、武侠とワイヤーアクションがダメな男なんですが、なぜか、この作品は楽しめました!

 それは、多分『銀杏のベッド』『ソウル・ガーディアンズ 退魔録』と見せたシン・ヒョンジュンの「耐え忍ぶ男の愛の純情」の魅力に尽きると思っています。あの時代劇はまりまくりの濃い顔が嗚咽を堪えていると、どう見ても無理な構図のドラマも、あーら不思議、ぐくっと胸に迫ってきちゃうじゃないですか!

 なんにでも「ハマリ役」って言うのはあるんですね・・・ 感心するばかりです。

【評価:★★★】



投稿者:カツヲうどんさん 投稿日:2001/4/8 18:52:44

 私、これは少し期待していたのですが、何ともなさけない作品に仕上がっていて、がっかり以上。監督の映画的センスを疑う作品です。

 また、チャンバラも早く韓国の個性を感じさせるものを見たいと願っているのですが、くるくる回っているだけで、やっぱりここにも本質的なセンスの欠如が見られると思います。第一、中国を舞台にしている脚色の姿勢がいや!!

 韓国人は、韓国を舞台にして、独自の剣劇を見せてほしいと切に願います。

【評価:★】



【鑑賞ノオト】 Text by 月原万貴子(月子) 2001/9/13

 たっぷりと手間と隙と予算をかけ、美男美女を配し、豪華絢爛に作り上げた中華武侠絵巻もの。米映画『グリーン・デスティニー』を見たときにも感じたことだけど、「なんで、いまさら? こういうの10年位前に香港でいっぱい作られたじゃない」と思ってしまいました。

 1300年代の中国を舞台に、一族唯一の生き残り、親の仇、復讐、男同士の友情と裏切り、許されない愛と悲しき再会・・・などなど内容はてんこ盛り。が、その割りに今ひとつ胸に響いてこないのが残念。波乱万丈も過ぎれば散漫っていうか、あれこれ欲張りすぎなんですよねえ。ひとつひとつのエピソードの掘り下げが足りなく、さーっと流されていく感じなのです。

 原作は人気長編漫画(*)だそうで、原作ファンから「これじゃダイジェスト版だ」との不満の声が上がったというのも分る気がします。

(*) 原作漫画『飛天舞』(キム・ヘリン著)は、韓国のマンガを単行本で毎月出版するタイガーコミックス・シリーズ(総和社)より日本でも第一巻が発行されている。

 主人公ジナを演じるシン・ヒョンジュンは『銀杏のベッド』同様、男の哀愁が漂う背中と苦渋に満ちたまなざしが魅力的だし、堂々とした体躯と彫りの深い顔立ちが、時代劇にぴったりとはまっている。だけど、演技的には「またこれかよ」って感じがしないでもない。

 ヒロイン、ソルリ役のキム・ヒソンは典型的な美人顔に古装がとても似合っていて、美しいことこの上ないけど、表情に乏しく宿命に翻弄される悲しみがちっとも伝わってこない。それに、娘時代と10年後の子持ちになってからとが、衣装が違うだけっていうのは、あまりにもねえ。

 ただ、ストーリー的にはピンときませんでしたが、大勢のエキストラを動員してのモブ・シーンや、ワイヤーを駆使したアクション・シーンは、スピードとキレがあり、迫力もたっぷりだし、CGの取り入れ方も滑らか。私は韓国版の字幕なしVideo CDを25インチのTVで見ただけなので、大スクリーンで見直すと随分と印象が変わるのかも。

【評価:★★★】



投稿者:大西康雄さん 投稿日:2002/2/11 21:20:59

 韓国製英語字幕付きDVDで鑑賞。

 演出はよく言えば「スピード感と切れのある」演出、悪く言えば「あっさり表面的になぞっただけ」という感じで、テレビの大河ドラマのダイジェスト版を見ているような印象。あれよあれよという間にキム・ヒソンが子持ちになっていたりして目まぐるしい。その割にはラストに妙に時間を掛けたりしていて・・・

 ストーリーライン自体は結構面白そうではあるが、二時間の枠に収めるには余りにも盛りだくさん過ぎるような・・・ 映画よりもむしろ連続テレビ・ドラマのほうが好ましい題材かも。

DVDは、2001年8月、Spectrum DVDよりリリース。カタログ番号 SPD-617。本編を収めたディスクと特典映像を納めたディスクの二枚組。収録フォーマット 片面2層、スクイーズ16:9ビスタサイズ収録(特典映像盤は片面1層)。音声:韓国語dts/ドルビー2チャンネル。字幕:英・韓。リージョンコード:3。メーカー希望価格:22,000ウォン。

【評価:★★】


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