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マリといた夏


画像提供:アルゴ・ピクチャーズ


題名
英題
原題
ハングル
マリといた夏
my beautiful girl, Mari
マリ物語
마리이야기
製作年 2001
時間 80
製作
提供
 
 
配給
SIZエンターテイメント
アイ・ピクチャーズ
無限技術投資
映画振興委員会
青於藍(チョンオラム)
監督 イ・ソンガン
声優 ユ・ドックァン
ソン・インギュ
イ・ナリ
イ・ビョンホン
ペ・ジョンオク
アン・ソンギ
コン・ヒョンジン
チャン・ハンソン
ナ・ムニ
日本版
Video
DVD
字幕版Video
DVD

 少年ナムと少女マリの出会いをパステルトーン調の映像で描いたファンタジー・アニメ。日々の生活に追われる大人が、ふと幼い日の記憶を蘇らせる。『となりのトトロ』を髣髴とさせる内容の高品質コリアニメーション。

 雪降る日、会社員のナムは、故郷の友人ジュノから連絡を受ける。久しぶりに再会した二人は幼少期の思い出に浸るのだった。12歳の頃、ナム(ユ・ドックァン)は漁師だった父を事故でなくし、おばあさんと母親と一緒に港町に住んでいた。内気な彼の友人といえば、同い年のジュノ(ソン・インギュ)と猫のヨだけ。しかし、唯一の友人ジュノもソウルに転校することになる。そんなある日、ナムは、灯台の中で神秘的なビー玉を見つけ、突然、幻想の世界へと入り込む。そこで彼を待っていたのは少女マリとの出会いだった。

 ナムの声を担当するユ・ドックァンは『反則王』『学校伝説』『山銭水銭』などに出演している子役。ジュノの声を演じた子役ソン・インギュも『陽が西から昇ったら』に出演している。ジュノが片思いしている女の子スギの声はイ・ナリが担当。

 スターが大挙声優として出演。イ・ビョンホンは、大人になったナムの声を担当。ペ・ジョンオク(「宗玉)はナムの母親ヒョジン、アン・ソンギはその母親を好きな漁師のおじさんギョンミン、ナ・ムニ(羅文熙)はナムのおばあさん、『パイラン』で個性的な演技を見せたコン・ヒョンジンはナムの友達ジュノの大人の声を、そして、チャン・ハンソンはジュノの父親の声を担当。

 興行成績はさほどでもなかったが、それまで子供向けのロボット・アニメや冒険物、成人向けのエロティック・アニメを主に製作してきた韓国アニメ界にあって、ディズニー・アニメやジブリ作品のように、大人の鑑賞にも耐えられる作品がついに韓国にも登場した、と話題となった。また、評論家筋からも「韓国アニメ歴代最高の完成度」と高く評価された。

 韓国アニメ界の代表者として知られるイ・ソンガン(40,李成疆)が監督をつとめる。彼は、延世大学心理学科を卒業してから画家になり、1990年代中盤にアニメの世界へ飛び込んだ変り種。これまで何本かの短編を製作しており、1998年の短編アニメ『藪の中の灰』は、「アニメ界のカンヌ」と評されるアヌシー(Annecy)国際アニメーションフェスティバル・コンペ部門に招待されている。また、本作の韓国公開後、2002年秋より韓国映画アカデミーのアニメーション専攻専任教授に就任した。脚本はカン・スジョン、ソ・ミエ、そして監督のイ・ソンガンの三人。撮影はクォン・グヌク。

 音楽監督は『三人友達』『二十四』の音楽を担当し、ギタリストとしても有名なイ・ビョンウ。主題歌『マリ物語』を歌うのはソン・シギョン。またToyのユ・ヒヨルが挿入曲『私達が住むところ』を歌う。

 製作投資はチャ・スンジェとチェ・ジェウォン。

 1998年に構想され、三年あまりをかけて製作された。デジタル作業を基本とし、2Dアニメと3Dアニメを合成。ディズニー・アニメともジャパニメーションとも一味異なる、童話のような幻想的な映像を生み出した。

 この作品が上映された映画館シネキューブでは、劇中登場する巨大な子犬「モン(夢)」のキャラクター人形を抽選で観客にプレゼントするイベントが開かれた。この人形はイベント終了後に一般発売予定。

 第26回(2002)アヌシー(Annecy)国際アニメーションフェスティバル長編コンペ部門グランプリ受賞作品。同映画祭の長編コンペ部門に、コリアン・アニメが招待されたのも、ここでグランプリをとったのも史上初の快挙。第3回全州国際映画祭2002「韓国映画の流れ」部門、第7回(2002)釜山国際映画祭韓国映画パノマラ部門、フランス第9回(2003)ベス・アジア映画祭「若い観客」部門、第5回(2003)ドーヴィル・アジア映画祭青年観客プログラム部門、第1回(2003)飛騨国際メルヘンアニメ映像祭、第17回東京国際映画祭協賛企画コリアン・シネマ・ウィーク2004、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2005韓国特集「日韓友情年アニメ スペシャル」、“コリア映画祭”The Korean Film Festival in EXPO 2005招待作品。ソウル国際アニメーションフェスティバル2002長編部門グランプリ・長編観客賞、2002大韓民国アニメーション大賞、第1回(2002)MBC映画賞音楽賞(イ・ビョンウ)、2002国会大衆文化メディア大賞(アニメーション部門)受賞作品。

 東京国際アニメフェア2003でも上映されている。

 劇場公開に先立って、キャラクターや製作過程の秘密などを収録した映像が韓国版公式サイトで公開され話題となった。

初版:2002/1/26
最新版:2002/6/11


■ イ・ソンガン監督インタビュー

 コリアン・シネマ・ウィーク2004で来日したイ・ソンガン監督のインタビューはこちら



投稿者:カツヲうどんさん 投稿日:2002/2/7 18:20:31

 1960〜1970年代の東映動画黄金期の作品を思わせるような香気を持つ、素晴らしいアニメーション。私の2002年韓国映画Best5に入ることは間違いない。

 まず、ユ・ヒヨルの歌を背景に綴られる疑似ワンカットのオープニングが素晴らしい。そして、全編を通して描かれた、高畑勲ばりのリアリズムとノスタルジアは、テーマ性が類似した映画『友へ/チング』が遥か足元にも及ばない程、ハイレベルなものだ。

 ワンカットを大切にした構図重視の演出スタイルは、その質と共に、現在の韓国アニメーションではまだ珍しいもので、日本人の方がその良さが解るのではないだろうか。

 全編に渡り、極力感傷を廃した禁欲的なドラマもまた、従来の韓国式スタイルの中では異色だ。だが、そのストイックなドラマの語り口が、劇中、観る者に静かな感動を涌き起こしていく。主人公の想いが引き起こす、嵐の中での奇跡は、重く、深い感動を生み、涙なしではみられないほどだ。

 日本のスタジオジブリ作品、特に『となりのトトロ』、『火垂るの墓』、『風の谷のナウシカ』を連想する部分はたくさんあるが、あくまでも参考レベルであり、真似とはいえない。イ・ソンガン監督は日本のアニメーションの良い部分をきちんと自己消化したうえで、自分自身の世界観を表現することに成功している。そこには「パクリ」という表現はあてはまらないのだ。

 劇中登場する巨大な犬「モン(夢)」は、確かに「トトロもどき」かも知れない。だが、これは投資者側と本編クリエイターたちのビジネス上の妥協点として前向きに解釈したいと思う。

 この作品に日本人が文句を並べることはいくらでも可能であるし、現状では、日本で上映されることは、すぐには難しいだろう。だが、十分以上に上映する価値を持つ作品であり、特に日本の大人の世代に観ていただきたいアニメーションだ。韓国自身もまた、この作品を誇りとすべきである。

 ソウルの劇場で印象的だったのは、子供達が行儀よく、そして楽しそうに、この映画に反応していたことだ。この作品の本当の価値が分かるのは、感受性が固定されていない子供達か、30歳以上の日本の大人達なのかもしれない。

【評価:★★★★★】


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