第2回(1997)釜山国際映画祭「新しい波」部門で上映された日本映画『ひみつの花園』をリメイクした作品。題名の『山銭水銭』は「悪戦苦闘」を意味する「山戦水戦」という言葉をもじっている(韓国語での読みはどちらも「さんじょん すじょん」)。隠された大金を探し出そうとする女性の冒険談を描いた韓国初の女性キャラクター・コメデイ。
お金大好き少女チョン・アヒョン(キム・ギュリ)は銀行に就職する。当初は大金に囲まれた生活に満足していたのだが、時が経つに連れそれが自分のお金ではないことに不満を感じるようになる。そんなある日、彼女の銀行に強盗が乱入。アヒョンは人質となってしまうが、逃走中に池に落ち気絶しているところを無事救出される。そして数日後、「犯人が強奪した現金5億ウォンは自動車爆発で犯人と共に灰になってしまった」とのテレビ報道を見たアヒョンは目を輝かせる。現金の入った鞄が山中の池に落ちていることを思い出したのだ。そして、大金の入った鞄を捜すためのアヒョンの冒険が始まる。
『女校怪談』で有名なアイドル女優キム・ギュリが主役。彼女は岩登り・空中飛行・水中探険などの危険な演技をするため猛特訓した。コミカルな役柄と共に、劇中、酒場で踊ったり歌を歌ったりする場面もあり、今までのイメージとは異なる彼女の演技変身が見所の一つ。
ヒット作『ハレルヤ』と『チム 〜あこがれの人〜』を手がけたキム・ヨンチャンがシナリオを担当。当初はアイデアだけ『ひみつの花園』から取り、ストーリーは「海大好き少女の冒険」というオリジナルに近いもので、題名も『黄色い潜水艦』だった。それが、製作社がテウォン・エンターテイメントに決まった時点で、ストーリーも『ひみつの花園』とほぼ同じ物に変更され、題名も『山銭水銭』に。加えて、60%程度撮影が終了した時点で試写会を行ったところ、製作社側から「つまらないし、原作『ひみつの花園』のコミカルな雰囲気が損なわれている」とクレームが付き、監督がキム・セギョムからク・イムソへ、男性主人公もキム・ジンからカン・ソンジンに交替。話しも『ひみつの花園』の韓国語版ともいうべきオリジナリティーに欠けるものとなってしまった。
初版:1999/2/27
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