2000年の夏、『ハーピー』に続いて公開されたコリアン・エンターテイメント・ハイティーン・ホラー。韓国では「恐怖映画」と分類されても、いわゆるホラーとはちょっと違う作品がいくつかあるが(例えば、『クワイエット・ファミリー』や『ソウル・ガーディアンズ 退魔録』など)、この『友引忌 −ともびき−』は純粋なホラー映画。また、『女校怪談』などの韓国ホラーに加えて、ハリウッドや日本のホラー映画を連想させる要素が多いのも特徴。キム・ギュリ、チェ・ジョンユン、ハ・ジウォン、ユ・ジテ等、新世代若手スターが大挙出演しており、音楽に力を入れた企画ホラー映画とも評された。
知的な女子大生ヘジン(キム・ギュリ)、男勝りの性格のソネ(チェ・ジョンユン)、司法試験に合格した秀才ジョンウク(ユ・ジュンサン)、大学野球選手のヒョンジュン(ユ・ジテ)、映画監督志望のセフン(チョン・ジュン)、美人のミリョン(チョ・ヘヨン)の6人は大学のサークル「ア・フュー・グッドマン(A few good man)」に所属する仲良しメンバー。ところが、このサークルにウンジュ(ハ・ジウォン)が入って来ることによって人間関係がギクシャクし始める。そして、片思いしているヒョンジュンがウンジュに一目ぼれしてしまったことを知ったソネは、ウンジュの秘密を暴露し、ウンジュは自殺してしまう。2年後、メンバーは大学を卒業し、それぞれの道を歩んでいたが、ある日ヘジンの所に2年前急にアメリカへ行ってしまったソネが恐怖に脅えた顔で訪ねてくる。そして、仲良し6人組への残酷な復讐劇が始まる。
原題の『カウィ(悪夢)』は、夢の中にまで幽霊が入り込んできて主人公たちを苦しめることから付けられた。日本語のニュアンスでは「金縛り」に近い。ソネ役を演じたチェ・ジョンユンは、『父』でデビューした女優だが、この作品の恐怖演技が好評。ユ・ジュンサンは1995年のデビュー以来、主に助演で活躍してきた俳優で、映画では『カル』などに出演している。これがスクリーン・デビュー作となる1997年ミスコリア出身のチョ・ヘヨンはタレントのミリョンを演じている。
『ホワイト・バッジ』、『ハリウッド・キッドの生涯』、『カ』でチョン・ジヨン監督の助監督を担当したアン・ビョンギの監督デビュー作。イルシン創業投資から独立したキム・スンボムが率いるTUBEエンターテイメントが初めて製作した作品。製作はキム・スンボムで、プロデューサーは『ソウル・ガーディアンズ 退魔録』も手掛けたキム・イクサン。脚本は、監督のアン・ビョンギとウォン・ジョンフン。ミュージック・ビデオのようにスピーディで感覚的な映像を生み出した撮影監督は、『ブラックジャック』、『SPY リー・チョルジン 北朝鮮から来た男』の撮影を担当したイ・ソッキョン(1959年生まれ)。韓国映画としては異例となる3億ウォンの製作費と5ヶ月間の製作時間を費やした映画音楽を担当したのはイ・テボム。なお、この作品では映画音楽のためにプロジェクトバンド「カウィ(韓国での原題)」が結成され、総勢39名のミュージシャンが参加した。
韓国では同じ日に日本映画『リング2』が公開され、「韓日ホラー映画対決!」と話題になった。
第4回(2000)富川国際ファンタスティック映画祭クロージング作品。第21回(2001)Fantasporto国際映画祭公式コンペ部門、第34回(2001)シッチェス国際映画祭「オリエント・エクスプレス」部門、第15回(2001)英国リーズ国際映画祭招待作品。東京国際ファンタスティック映画祭2003上映作品。
日本ではノベライズ『ナイトメア』(『友引忌 −ともびき−』小説版)が角川ホラー文庫(吉村達也著、角川ホラー文庫 12-16)より発売されている。
初版:2000/7/30
最新版:2001/10/15
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