カ
題名 英題 ハングル |
カ Naked being 까 |
製作年 |
1998 |
時間 |
102 |
製作 |
鄭智泳フィルム シネマ・サービス |
監督 |
チョン・ジヨン |
出演 |
チョ・ウンスク パク・ヨンウ キム・ソヨン キム・シア キム・ボギョン トッコ・ヨンジェ キム・ビョンセ ミョン・ゲナム チョン・ソンウ トッコ・ソン キム・ジュンソク キム・ヨンエ チョン・ユソン カン・マノン キム・マン パク・エスク キム・ギョンボム キム・ヨンウォン リュ・ジヨン アン・ビョンギ オ・ジホ |
日本版 Video DVD |
なし |
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1992年に放送局のタレント研修生を対象にした風変わりな演技実習指導で「ヌード波紋」を起こした元ソウル芸専教授カン・マノン氏の実話をモチーフにした作品。事件は、教授が実習の中で自分の壁を崩すためにヌードを要求したというもの。その後騒動となり、教授ほか関係者が懲戒免職となった。監督は芸術表現の自由という観点から元教授を弁護する立場。
某放送局で実施したタレント公募に選抜された30名余りの俳優。その中に恋人同士のヨンウ(パク・ヨンウ)とウンスク(チョ・ウンスク)がいた。ウンスクは、ヨンウと喧嘩し、放送局にコネがありそうな男と一夜を共にする。そして話しはオムニバス風に展開して最終話で二人は和解。ラストシーン、最終選抜を控えたタレント候補生に対し、演技実習担当のカン教授(カン・マノン)はあらゆる虚飾を脱ぎ去るためにヌード演技を命じる。
ラストの韓国映画史上初となる監督以下全スタッフと俳優総勢60名のオールヌード撮影(一部、陰毛&性器露出あり)が話題。当初、このシーンが韓国公演芸術振興協議会の等級審議で引っかかるかと予想されたが、問題なく通過。「作品の性質上オールヌードが認められた」初めての韓国映画となった。今後、韓国映画の自由な創作を可能にする契機という意味で喜ばしい。
題名は「脱ぎ捨てる,生まれる,明らかにする,暴露する,殴る,償う」など様々な意味を持つ。単にヌードで商業性を追求した作品ではなく、固定観念や社会的不条理を全て「捨て去る」という社会的メッセージが込められている。映画は5つのエピソードから構成されており(監督によればこれは陰陽五行を意味する)、各エピソードごとに新しい主人公が登場して次のエピソードの主人公にバトンを渡す「キャラクター・リレー方式」を採用している。タレント候補生役を引き受ける(=オールヌードを厭わない)若い男女を公開募集し、カン・マノン元教授が自分の役で熱演。トッコ・ソン、トッコ・ヨンジェ、チョン・ソンウの親子3代が共演することでも話題となった。
第44回(1999)アジア太平洋映画祭コンペ部門出品作品。
初版:1998
最新版:1999/11/20
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【ソチョンの鑑賞ノート】
1998年11月29日、ソウル・シネマにて鑑賞。
「韓国映画史上初となる監督以下全スタッフと俳優総勢60名のオールヌード撮影」。そして1999年ベルリン国際映画祭招待予定(注:実際には出品されなかった)。と勇ましい文言が並んでいたので芸術志向な作品かと思って見にいったのですが、結構楽しめました。
面白いのは映画の構成。全部で5つのエピソードに別れています。ストーリーの骨格は解説記事で紹介した「事件」で、タレント研修生役のチョ・ウンスクとパク・ヨンウという二人の恋人の別れと再会、そしてラストの俳優・スタッフ総出のオールヌードを描いているのですが、二人が主役なのは第1話と第5話のみ。第1話で二人の別れを描き、第2話の導入部で第1話の登場人物がちらっとだけ出て、話しをリレーします。以下、第2話→第3話、第3話→第4話、第4話→第5話と前の話しの登場人物が次の話しのイントロを担い、ぐるっと回って第5話で主役二人が再会。仲直りをして、ラストのヌードへのなだれ込みます。中間の2・3・4話は本編とは全く関係ない話しで、その辺のストーリー性の欠如がこの映画の欠点なのでしょうが、同じ時間同じソウルで様々な事件が起り、本人達は全く気づいていないものの、それらの事件に思わぬ形で関係している。一歩間違えば人生どうなるものか分からないよ。というようなメッセージを私は読み取りました。ある事件も別の角度から見れば色々解釈できるという風にも読み取れますか。
ちなみに、この作品は全くヒットせず。監督は日本では『ホワイト・バッジ』で知られるチョン・ジヨンですが、どうも日本で名の通った中堅監督は、最近低調ですね。皆さん、おしなべて独立プロダクションで映画作りを始めてから冴えない。自分の作りたい映画と大衆が求めるそれが異なるのか、企画・制作・投資・配給・宣伝という総合的な映画作り体制からはじき出されて資金難で思うような映画作りができないのか、私の乏しい知識では断定できませんが、とにかく元気な新人監督達とは対照的な中堅監督の不調振りは気になるところです。シンシネの企画で成功したイ・ジョングク(『手紙』)とキム・ユジン(『約束』)は興行監督の称号を手にしましたが、私の見るところ、この両作品の成功の大部分はシンシネの企画・宣伝力によるもので、監督の手腕が占める部分は、たとえば『カンウォンドの恋』のホン・サンスや『八月のクリスマス』のホ・ジノのように決定的なものではないです。
1998年12月7日執筆
投稿者:SUMさん 投稿日:1999年2月23日(火)22時51分13秒
最近、技術のある監督は挑戦しなくてはならないという風潮でもあるかのような「オムニバス群像劇」。人間を描いている一つ一つの物語もピュアで、コメディックでもあり、楽しめる。
だが、セリフが判らないせいだろうか、全体を貫くものが弱いのではなかろうか。もっと技巧を凝らして緻密に書いても良かった気がする。チョン・ジヨン監督の力量も判るし、十分に楽しめるのだが、つめが甘いという気がしてならない。
【評価:★★★】
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