『祝祭』,『学生府君神位』に続いて韓国の葬式を扱った作品。新人チャン・ムニル監督のデビュー作。脚本も監督が担当する。家業の葬儀屋を孫に継がせようとするおじいさんとそれを嫌う孫の物語。葬儀の仕事を嫌がっていた若者が、「死」を扱う職業を通じて「生」の意味を考えるようになる過程をコミカルに描く。
全羅道のある小さな町の葬儀屋チャン・パンドル(オ・ヒョンギョン)の下で3人の男が葬儀の仕事を習うことになる。その3人とは、ソウルでの借金に追われて帰郷したパンドルの孫ジェヒョン(イム・チャンジョン)、ソウルで事業に失敗した流れ者パン・チョルグ(キム・チャンワン)、そしてタバン(喫茶店)のミス・ファン(チョン・イダ)が気になるスーパーの息子デシク(チョン・ウンピョ)。ジェヒョンは葬儀屋をゲームセンターにしようと提案するが、パンドルに厳しく叱られる。そして、次から次へと起こる葬儀にまつわる喜劇的な出来事。しかし、親しかった少女ヨニの急死をきっかけに、3人は「生」と「死」について深く考えるようになる。そして、ジェヒョンが片思いしていた花屋の娘ソファ(チェ・ガンヒ)にも死が訪れる・・・
主役のイム・チャンジョンもさる事ながら、脇役陣の存在感が光る。大御所ロックバンド「サヌルリム」のボーカル兼ギタリストで、『ジャングル・ストーリー』,『リング』にも出演したキム・チャンワンが初めて主演級でキャスティング。1966年生まれ、全羅南道コクソン出身のチョン・ウンピョは、ソウル芸術専門大学演劇科を卒業し、『白馬の月夜に』,『ビニールハウス』,『お母さん』など20作余りの演劇に出演している男優。映画は『真の男』でデビューし、『ユリョン』では、反乱を起こした潜水艦副艦長(チェ・ミンス)に腹を割かれる調理人役で出演している。オ・ヒョンギョンは演劇出身俳優。1936年ソウル生まれで、延世大学国文学科を卒業した彼は、演劇『フィガロの結婚』,『ホセンジョン』,『春の日』『終電に乗った同窓』、テレビ・ドラマ『ソウル夜曲』,『明日も青い空』,『TV孫子兵法』などに出演しているベテラン。『女校怪談』でおばけ役を演じたチェ・セヨンがチェ・ガンヒと改名して、花屋の女性ソファを演じる。彼女は、1977年ソウル生まれで、ドンミョン女子高校卒。『折り紙』,『学校』,『クァンキ』,『ひまわり』,『私』などのテレビ・ドラマにも出演している。1976年蔚山生まれで、サンミョン大学休学中の女優チョン・イダは、演劇『道徳的泥棒』,『98 蜚言所(ピオンソ)』,『統一エクスプレス』などに出演しており、映画は『殺す話』でデビュー。また、『彼は私にチータを知っているかときいた』(1997)のク・ソンジュ監督が郵便配達夫で出演している。
素朴な田舎の風景や美しいアングルなどからは、美術畑出身監督の才能を感じることができる。全羅道なまりが頻出するため、「卑俗語が多すぎる」という理由で「18歳以上観覧可」のレイティングが付けられ、話題(問題?)となった。
製作はチャ・スンジェ。
第24回(2000)カイロ映画祭新人監督賞(チャン・ムニル)受賞、第24回(2000)モントリオール世界映画祭ワールドシネマ部門、第19回(2000)バンクーバー国際映画祭、第18回(2001)サンフランシスコ・アジアン・アメリカン映画祭出品作品。
初版:2000/1/20
最新版:2001/2/26
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