血を見せることなく恐怖感をそそるユニークな心理ホラー映画。日本映画『リング』の韓国版。韓脈映画とAFDF KOREAの共同製作で、10億ウォンの純製作費は、国内資本が半分を、日本版『リング』を製作したオメガ・プロジェクトが残りの半分を出資。なお、AFDF KOREAは、ボディソニックと現代が出資した日韓共同出資会社。日本資本で製作され、俳優と製作スタッフ全員が韓国人という形式の日韓合作。
韓国でも翻訳出版され、ベストセラーになっている鈴木光司原作の『リング』は、呪いのビデオテープを見た人が一週間で死ぬ運命に直面するという内容のホラー。日本版は原作小説と設定がかなり変わっているが、韓国版は原作により忠実に脚色し、『リング』と『らせん』をカバーする内容。一部、独自の解釈を行っている点が、『失楽園』、『山銭水銭』など日本映画を単にコピーして失敗した作品とは異なる。
新聞記者ホン・ソンジュ(シン・ウンギョン)は姪の突然の死に疑問を持ち、彼女らの死因が超現実的な力によるものだと主張した解剖医チェ・ヨル(チョン・ジニョン)に助けを求めるが、彼に冷たくあしらわれる。ソンジュは疑問死の調査中、奇怪な映像のビデオ・テープを見てしまう。そして、テープは「お前は一週間後のこの時間に死ぬ。死にたくなければ・・・」という文字が浮かんで終わる。恐怖のどん底に叩き落とされた彼女は再びチェ・ヨルを訪ねる。今度は彼も関心を寄せ、テープをダビングした後、謎を分析。このテープが強力な超能力によって念写して作られたものと推理し、事件の解決に乗り出す。
1998年のホラー映画ブーム(『クワイエット・ファミリー』、『女校怪談』)に続いてそこそこヒット。音楽は『つぼみ』、『スプリング・イン・ホームタウン』などで有名なウォン・イル。
ロッカーの話を描いた映画『ジャングル・ストーリー』に出演経験があり、韓国ロッカーとして有名なキム・チャンワンはシン・ウンギョンの先輩キム記者役。ファッション広告モデル出身で、KBSドラマ『学校』で10代のファン達の支持を得たペ・ドゥナは超能力を持った女性ウンソ(貞子にあたる役)を演じる。
第3回(1999)富川国際ファンタスティック映画祭「ファンタスティック韓国映画特別展」部門、イタリアの第14回(2000)Far East映画祭出品作品。第16回(2003)東京国際映画祭「アジアの風」部門<特集3 リメイクと呼ばれる創造─アジアでリメイクする/される>招待作品。東京国際映画祭では『リング・ウィルス』という題名で上映。
日本の大衆文化が解禁された1998年に企画され、まだ様々な制約条件が多く、自由には日本映画を公開できなかった1999年6月に(日本版『リング』のかわりというような意味合いで)韓国公開された。なお、本作は製作時に日本の版元と「海外での上映は基本的にしない」という条件のもと製作されたという。ちなみに日本版『リング』は日本映画上映のための条件が緩和された後、1999年12月に韓国公開されている。
初版:1999
最新版:2000/4/8
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