イルマーレ
画像提供:パンドラ(以下、同じ)
題名 英題
原題 ハングル |
イルマーレ Il Mare a love story 時越愛 시월애 |
製作年 |
2000 |
時間 |
94(韓国公開版) 96(釜山映画祭版) 97(日本公開版) |
製作 提供
配給 |
サイダス映像事業部ウノ・フィルム ユニコリア文芸投資 ドリーム・ベンチャー・キャピタル ブエナビスタ・ インターナショナル・コリア |
監督 |
イ・ヒョンスン |
出演 |
イ・ジョンジェ チョン・ジヒョン チョ・スンヨン ミン・ユンジェ キム・ジム チェ・ユニョン ドゥナ イ・インチョル クォン・ヨンギョン キム・ダウン キム・ギョンウン ナム・ジョンヒ チェ・ソンウン キム・ムセン(特別出演) |
日本版 Video DVD |
字幕版Video 吹替版Video DVD DVD(THE PERFECT COLLECTION) |
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映像美あふれるSFラブ・ファンタジー。海辺に立つ一軒家「イルマーレ(イタリア語で「海」の意)」の郵便箱を通じて、2000年に生きる女性と1998年に生きる男性が手紙をやり取りし、やがて愛し合うようになる。原題の『時越愛』は「時を越える愛」という意味。『ホワイト・バレンタイン』で映画デビューし、その後CMのテクノダンスで人気を博したチョン・ジヒョンと、人気男優イ・ジョンジェの初共演作。
1997年末、海辺の一軒家「イルマーレ」に引っ越してきたハン・ソンヒョン(イ・ジョンジェ)は見知らぬ女性キム・ウンジュ(チョン・ジヒョン)から奇妙な手紙を受け取る。その手紙には「イルマーレに住んでいた者です。私宛の手紙が来たら、新しい住所まで送って下さい」と書いてある。しかし、この家に最初に住み始めたのは自分のはず。しかも、手紙の日付は2年後の「1999年」になっている。いぶかしがるソンヒョンだが、年が明けた1998年にウンジュからの手紙に書かれていた通りの日付に大雪が降ったことから、2年後の世界のウンジュとイルマーレの郵便箱を通じて手紙のやり取りが出来ていることを信じるようになる。一方、引っ越すにあたって、次の入居者宛てに書き置きをしたウンジュも自分の手紙が2年前のソンヒョンに届いていることを知り、二人の文通は次第に頻度を増していく。ソンヒョンは、子供の頃に高名な建築家の父親に捨てられたとの思いを持つ若者。大学の建築学科に在籍してはいるが、今では設計よりも工事現場で働くことを選択している。ウンジュは、留学後に連絡が途絶えてしまった昔の恋人が忘れられずにいる声優。互いに心に傷を持つもの同士の二人は手紙を通して、心を開き始める。そして、二人はウンジュが住む2000年に会う約束をするが、約束当日、約束場所の済州道にソンヒョンの姿はなかった。約束の日までまだ2年残している1998年に住むソンヒョンと、2000年に住むウンジュは、なぜ2000年にソンヒョンが現れなかったのかを知りたがるのだが・・・
ビジュアル的な要素を重視するイ・ヒョンスン監督第三作で、これまでの同監督作品『君の中のブルー』,『ネオンの中へ陽が沈む』と同じく、その映像美は一見の価値あり。今回は、若手撮影監督ホン・ギョンピョと手を組み、パステル・トーンの絵画のような美しい映像を作り出している。照明はソ・ジョンダル。製作はチャ・スンジェ。脚本はヨ・ジナと監督のイ・ヒョンスン。脚色はキム・ウンジョン、キム・ミヨン、ウォン・テヨン。
音楽監督はシンガー・ソング・ライターのキム・ヒョンチョル。本作の主題歌であるクラシカル・バラード『must say good-bye』も彼が歌っている。ちなみに、キム・ヒョンチョルは、イ・ヒョンスン監督の大学の後輩で、これまでの作品『君の中のブルー』,『ネオンの中へ陽が沈む』でも音楽を担当している。
映画の予告編が、本編とは全く別に4千万ウォンを投入して製作され話題となった。
映画のメイン舞台となった「イルマーレ」のセットは、江華島の西側にあり、独特な気候と風光で知られる席毛島に作られた。
韓国では『JSA』と同じ2000年9月9日に公開され苦戦が予想されたが、美しい映像と切ないテーマが女性観客のハートをつかみ、ソウルで20万人以上を動員するヒットとなった。ちなみに、「時を越えての交信」というテーマは同じ年の5月に韓国公開された『リメンバー・ミー』とかぶっているが、企画自体は『イルマーレ』のほうが先。
第5回(2000)釜山国際映画祭韓国映画パノラマ部門、第15回福岡アジア映画祭2001コンペ部門、2001年米オーロラ・アジアン・フィルム・フェスティバル、2001年上海国際映画祭出品作品。福岡アジア映画祭では、『イル・マーレ/時を越える愛』という題名で上映。第5回(2001)スケルミ・ダモレ映画祭(Schermi D'amore-Festival of sentimental film and melodrama)では審査委員特別賞・ジャーナル批評家賞・若い批評家賞を受賞。
2002年に、ハリウッド・メジャーのワーナーブラザースが本作のリメイク権を50万ドルで購入して話題となった。
ノベライズ『イルマーレ』(ヨ・ジナ著、山下慧訳)が竹書房文庫から出版されている。
初版:2001/3/28
最新版:2002/4/16
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【鑑賞ノオト】 Text by 月原万貴子(月子) 2001/9/7
今から20年程前、もちろんまだE-mailなんてものがなく、長距離電話の料金もばか高かった頃、中高生の間では文通が流行していました。雑誌の投稿欄などで知り合った人と、一度も会うことのないまま交わす数々の手紙。顔も知らない人だからこそ、身近な人にも言えずにいた本音を書いてしまったり、相談を持ちかけたりしたり・・・ この映画を見ていて、そんなことを思い出してしまいました。
海岸にひっそりと建つ一軒の家「イルマーレ」。イタリア語で「海」と名づけられた小さな家に引っ越してきた青年のもとに、2年後の日付の手紙が舞いこんでくる。幼い頃、父親が家庭を顧みないことに傷つき心を閉ざし、ずっと回りの人から距離をおいて生きてきたソンヒョン(イ・ジョンジェ)と、留学したまま音信不通になってしまった恋人を諦めきれないウンジュ(チョン・ジヒョン)。孤独に生きている男と女が、不思議な郵便箱を通じて、時間を超える手紙を交わし、心を通じ合わせていく・・・
まあ、なんてロマンチックなんでしょう! 美しい映像、美しい音楽、美しいものがたり・・・ 韓国でデート・ムービーとして話題になったのも頷けます。
決してハンサムとはいえない顔立ちながら、フェロモン系男優として名を馳せているイ・ジョンジェが、ここでは知的で物静かな青年を好演。得意のセクシー・アイ・ビームが見られないのは残念だけど、穏やかな物腰もなかなかに似合っていて、本当にムード作りの上手い俳優だと思います。
ヒロインを演じるチョン・ジヒョンも美人というよりは、ちょっと離れた目元が可愛いファニー・ガール。恋人に振られたことを頭では分りながらも、気持ちの踏ん切りを付けられずに苦しむ普通の女の子を、等身大に演じていてとてもチャーミング。19歳という実年齢よりは大人びて見えるものの、まだまだ少女の面差しを残している彼女が、これからどんな大人の女性に成長してくれるのか楽しみです。
余談ですが、何かにつけ欧州テイストのこの映画を見ていて思ったこと。「イルマーレの冷蔵庫には、キムチが入っていないんだろうな・・・(笑)」
【評価:★★★★★】
投稿者:SUMさん 投稿日:2002/1/4 19:57:03
切ない。でも、ストーカー、ソンヒョンくん、生きていたら済州道に来なさい。
【評価:★★★★】
投稿者:iwakoさん 投稿日:2002/4/5 13:03:17
私の感性がSFラブファンタジー向きではないので、この映画はそれほどでもないです。イ・ジョンジェが出ているので、DVDも持っているし何度かみて楽しんでいます。ただし、この映画でイ・ジョンジェを見るのが初めてだったらこれほど彼にネツをあげたかどうか。
タイムパラドックスはいいとして、イルマーレという家の構造が気にかかってしかたがないのです。海の上にのびた桟橋の端っこに建っていて美しい夢の場にはふさわしいと思います。が、ここからが私がファンタジー向きでない証拠なのですが、あの家の上下水道の配管はいったいどうなっているのか。こんなことが納得いかなくて・・・ 配管設備は外側からは確認できないようです。どうやって水道がでたりするの? トイレは? ごめんなさい、この映画に対してこんな見方はよくないですね。きっと配管は地下にうめるとかして上手にかくしてあると思うことにしよう。
【評価:★★★★】
投稿者:サンヂョンプンニョムさん 投稿日:2003/6/28 22:24:16
千里セルシーシアターの「チョン・ジヒョン スペシャル」で観ました。『猟奇的な彼女』を観た直後だったので、チョン・ジヒョンの演技はいい意味でギャップを感じました。映像やBGMにも惹きつけられてしまいます。
ストーリーの展開は進むにつれてある程度読めてくるのですが、それでもクライマックスのシーンでは、ロマンチックな作品には疎い私でも(笑)胸がつまり涙が出そうになりました。本当に泣ける作品です。今度はビデオを(独りで)見たいです。
人は誰でも、過去のある出来事が違う方向に進んでいたなら幸せだったのにと想定したがるのは世の常。でも、変えたくても変えられないのが運命というものだし、変えられたとしても他の何かを犠牲にしていたかもしれないのですね・・・
でも、ラストシーンは理解不能でした。ここをわからないとあかんのですが。
【評価:★★★★】
投稿者:Dalnara さん 投稿日:2003/11/24 02:48:29
ソーダ・ガラスのようなビー玉のような、けぶった海辺の風景が美しい。
愛をあきらめることも、愛すること、愛すると決めることも踏み出すまでには勇気がいる、とウンジュの逡巡を見てあらためて思いました。映画には、それはたしかに勇気がいるけれど、覚悟がいるけれど、でも一歩踏み出したら愛が与えられる、変われるというメッセージが秘められているようです。
ソンヒョンが海岸で煙草に火をつける姿が記憶に残りました。風はないように見えたけれど・・・ セーターの中に煙草とライターを入れて、風除けにして火をつける姿がもう学生ではなく、海上で現場で働いている人を表現しているようでした。
【評価:★★★】
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