超能力をもった15歳の少女と人生に疲れた30代の男性が主人公の超現実ファンタジー・メロ。『女校怪談』のパク・キヒョン監督第二作。監督自らタダ・フィルムを設立して製作し、脚本も執筆。現代韓国女子高生の性事情など、前作に引き続き社会的なコードも含んだストーリーとなっている。
離婚歴のある保険会社のサラリーマン、グホ(キム・スンウ)、彼の職場の同僚ヒョンナム(チョン・ヒョヌ)、そしてドギョン(パク・ウンスク)の三人が乗る車が、豪雨の高速道路で少女ミジョ(ユン・ミジョ)を轢いてしまう。飲酒運転のため、警察に届けることができない三人は、少女をグホの家に連れて行くが、翌朝、目を覚ましたミジョは言葉と記憶を失っていた。そして、ミジョの面倒を見ることにしたグホは、神秘的な魅力を持った彼女とテレパシーで語り合うようになり、二人はやがて愛し合うようになる。二人の信頼と愛が深まるに連れ、ミジョの超能力は強まっていくが、やがてミジョの隠された秘密が明らかになる。
3,000倍の倍率を勝ち抜いて主役の超能力少女ミジョに抜擢されたのは、大きな瞳に透き通るような白い肌と、その容貌だけでも神秘的なユン・ミジョ(本名:チャン・ミンギョン)。彼女は1983年12月1日生まれの現役高校生で、演技経験は全くない新人。『シュリ』で北朝鮮時代のイ・バンヒを演じたパク・ウンスクが、キャリアウーマンの保険会社事故調査員ユ・ドギョン役で出演。KBSスーパータレント1期出身で、テレビ・タレントと演劇俳優として活動してきたチョン・ヒョヌがグホの同僚ヒョンナム役を演じる。「秘密」のキーワードとなる少女ジヨンを演じるチョン・ソヌァは、ソウル芸術大学映画科一年在学中の女優で、『真実ゲーム』、『魚と寝る女』などにも出演している。少年ソグを演じるキム・ヨンファンは世宗大学映像学科一年の男優。
「超現実」感を表現するために、長時間のクローズ・アップ、高速撮影やロングテイクを多用している。撮影監督は『北京飯店』でデビューし、これが二作目となるムン・ヨンシク。水中撮影は『マトリックス』で水中カメラを担当したロジャー・バッキンガム(Roger Buckingham)が担当。ラスト・シーンは、オーストラリアのワーナブラザーズ・スタジオで撮影している。また、オプチカルは日本のIMAGICAが担当。音楽を担当したのは、広告プロデューサーから広告音楽家に転身し、『陽が西から昇ったら』、『穴』、『ハッピーエンド』などの音楽を担当したキム・ギュヤン。
映画の封切りに先立って、スポーツ少女漫画『I Can't Stop』、少女漫画『ホテル・アフリカ』などで人気の漫画家パク・ヒジョンがこの映画の原作シナリオを漫画化し、『シークレット』という題名で漫画雑誌『ウィンク』に連載。映画の内容の一部をあらかじめ漫画で公開し、観客の好奇心を刺激して映画の潜在市場を拡大させるマーケティング戦略が話題となった。
第5回(2000)釜山国際映画祭韓国映画パノラマ部門、第30回(2001)ロッテルダム国際映画祭コンペ部門、第21回(2001)Fantasporto国際映画祭公式コンペ部門、第25回(2001)モントリオール世界映画祭World Cinema: Reflections of Our Time部門、第34回(2001)シッチェス国際映画祭「ファンタスティック」コンペ部門、第20回(2001)バンクーバー国際映画祭「龍虎(Dragon and Tigers)」ノン・コンペ部門、第50回(2001)ハイデルベルク国際映画祭長編コンペ部門、2002年フィラデルフィア映画祭「ニュー・コリアン・シネマ」部門招待、第24回(2001)黄金撮影賞銀賞(ムン・ヨンシク)受賞作品。
日本では「辛韓国映画祭2003」で『秘密の涙』という題名で初上映された。
初版:2000/7/31
最新版:2002/10/8
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