シングル・マザーと人工受精を題材にした映画。未婚の女医が精子バンクを通じ優秀な精子の提供を受けて赤ん坊を妊娠した後に体験する愛を描く。ちなみに韓国では1997年4月30日、釜山大学附属病院泌尿器科に最初の精子バンクが開設された。2000年6月現在、韓国では精子の商業的な売買は禁止されているが、不妊夫婦やシングル・マザーを夢見る女性の要望を満たす方法として、人工受精が浮上している。
パク・ハヨン(イ・ヘヨン)は、結婚は嫌だけれど赤ん坊は欲しい新世代の大学病院泌尿器科専門医。彼女は、精子バンクから優秀な遺伝子を持った精子を選び、人工受精で赤ん坊を妊娠する。一方、浮気者の雑誌記者シン・ソヌ(ユ・テウン)はコラム記事がきっかけとなり知り合ったハヨンに特別な感情を持つ。ソヌはハヨンに夢中になるが、彼女が人工受精で妊娠中ということを知って悩む。
監督は『接続』と『性徹』(撮影中に宗教界からクレームがついて未完成)でコンピュータ・グラフィックを担当し、ソウル・オリンピックの公式記録映画や映画『心の番人』,『ビーナスの夏時』,『バリケード』の撮影監督だったハン・ドッチョン。これが監督デビュー作で原案も彼が担当。CG専門業者のキノバンク創立作品で、人工受精と胎児の成長する姿をCGによる3次元映像で処理する。「国内最高」とも評されたこの映画のCGを担当したのは『ピアノマン』,『因縁』,『建築無限六面角体の秘密』のCGを担当したゼロワン・ピクチャーズ。
イ・ヘヨンは、1994年にユン・ヒョンスクと共にグループ『ココ』で人気者になったが、グループ解散後は役者に転向。TVドラマ『初恋』,『申告します』,『予感』,『乞食』,『グッバイマイラブ』,『味あわせて差し上げます』等に出演している。映画はパク・チュンフンと共演した『尻尾を振る男』でデビュー。映画出演はイ・ジョンジェと共演した法廷コミック映画『朴対朴』で風変わりな女検事役以来でこれが3作目。イ・ヘヨンの相手役ユ・テウンは、TVドラマ『アイシング』,『TV 孫子の兵法』,『カップル』,『美しい選択』,『味あわせて差し上げます』などに出演している男優だが、映画出演はこれが初めて。
2000年6月の公開にあたって、映像物等級委員会が包茎手術と出産のシーンを問題視して等級保留判定を下し、公開が一週間延期された。製作側は問題となった包茎手術のシーンを3秒ほど削除して再審議を受け、18歳未満観覧不可のレイティングで公開された。出産シーンについては『産婦人科』の前例があったので無修正のままパスした。
初版:2000/6/26
|