東西ドイツ再統一直後に製作された作品。国際養子としてフランスで育ったものの、政治的には南北に分離している兄妹の物語を通じて、分断された祖国統一に必要なものは何であるかを問おうとした意欲作。ベルリンの壁が崩壊したポスト冷戦時代においても南北朝鮮は分断状態が続いているという事実を踏まえて見ると大変興味深い作品。
パリ特派員のソンミン(アン・ソンギ)は韓国系フランス人女性マリエレーンの不幸な記事を読んで彼女に関心を持つ。韓国名ヨンヒ(カン・スヨン)という国際養子の彼女は、養父殺害事件で取り調べを受けていたのだが、事件のショックで失語症にかかっていたのだ。彼女には実の兄ヨンチョル(ムン・ソングン)がいるのだが、実は養父殺害事件は、養父が元ナチスの協力者であったこと、またヨンヒに性関係を強要したという事実に怒り、彼が起こしたものだった。ヨンヒは兄に会いたがっていたが、社会主義者の彼は統一前の東ドイツに亡命していた。そして、ベルリンの壁崩壊後も社会主義を信じているヨンチョルは当局からもにらまれ、ヨンヒにも会おうとしない。ヨンヒを愛すようになったソンミンは彼女と共にベルリンに向う。
原作・脚本は監督のパク・クァンス。音楽はキム・スチョル。キム・ソンスとイ・ヒョンスンが助監督を担当している。
1991年度映画振興公社選定「良い映画」、第12回(1992)映画評論家協会賞脚本賞、第37回アジア太平洋映画祭撮影賞受賞、第16回香港国際映画祭、第28回カルロビー・パリ映画祭本選進出作品。
初版:1999/8/20
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