一獲千金を狙って保険金詐欺をする家族を描いた「愉快な猟奇コミック劇」。保険金を騙し取るためにあの手この手で努力する家族を芸達者な俳優陣が演じる、理屈なしの爆笑コメディ。金にまつわる社会風刺や、家族のためには社会的犯罪をも犯すという韓国的な設定が面白いが、風刺の効き具合はイマイチか。
父親チョン・ビョンファン(アン・ソックァン)の事業が失敗し、自宅を差し押さえられて、貧民街に引っ越してきた四人家族がいた。自分達の不幸を嘆く四人。しかし、ある日、ビョンファンが事故にあったことにより傷害保険として500万ウォンもの大金を受け取った家族は、地道に働くことをやめ、せっせと保険金詐欺に励むようになる。一家の家訓は「なせば成る!」。母親のウォン・ジョンニム(ソン・オクスク)は大型ディスカウントショップで焼酎の箱の下敷きになって保険金をもらい、娘のチョン・ジャンミ(パク・チニ)はボーリングで指を骨折して大金をせしめ、息子のチョン・デチョル(チョン・ジュン)は、バッティングセンターで飛んでくるボールにわざと顔をぶつけて保険金を受け取る。あの手この手で保険金を騙し取り、高級住宅まで購入した一家は、彼等の詐欺を見破った保険会社の職員シム・チュンオン(パク・サンミョン)を、ジャンミと結婚させ身内に取り込み、ついには、身寄りのない遠い親戚のウォン・グァンテ(イ・ボムス)をだしにして5億ウォンの保険金殺人を企てる。
本作と同じくファミリー・コメディもの『クワイエット・ファミリー』に出演していたパク・イヌァン(父)、ナ・ムニ(母)、イ・ユンソン(姉)、コ・ホギョン(妹)が特別出演している。ちなみに本作の監督パク・テヨンは『クワイエット・ファミリー』の助監督をしていた。
監督は、美しい恋愛映画『恋風恋歌』でデビューしたパク・テヨン。脚本はクォン・インチャン、イ・ヨンウン、監督のパク・テヨンの三人による。撮影は『北京飯店』、『秘密』のムン・ヨンシク。照明は『LIES/嘘』、『少女たちの遺言』、『友引忌 −ともびき−』のチェ・ソンウォン。編集はコ・イムピョ。セットはオ・サンマン。
音楽監督は「ファンシネ・バンド」のリーダー、キム・ヒョンテ。ファンシネ・バンド、クライング・ナッツ、オオブ・バンドなど、10あまりの有名なアングラ・バンドが一堂に会して、この映画のアルバムを製作。メイン・テーマ・ソング『まじめに生きろ』は参加10グループが一緒に歌っている。
アトムス・エンターテイメント創立作品。三星映像事業団理事だったチェ・ワンが新しく作った投資会社アイエム・ピクチャーズが投資・配給を担当。国内では初めて、映画製作費の10%をコスダックで映画の株式を公募・取引することにより調達して話題となった。
保険金詐欺を題材にしているため、韓国での公開時には、類似犯罪の発生を懸念する保険業界から製作会社へ抗議の電話が殺到したという。
第20回(2001)バンクーバー国際映画祭招待作品。2002年韓国文化院開院23周年記念『韓国映画特別週間』上映作品。
初版:2000
最新版:2002/2/25
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