朝鮮戦争時、朝鮮半島南部で活動した北のパルチザン部隊(通称:南部軍)に従軍したイ・テ(李泰:1923年生まれ)の体験的手記『南部軍』をチャン・ソヌが脚色。共産パルチザンの悲惨な末路をリアルに、そして人間的に描いた歴史大作で、チョン・ジヨン監督の出世作。
1950年、従軍記者イ・テ(アン・ソンギ)は南部軍に参加する。しかし作戦が失敗し、討伐隊の追討戦の中で負傷したイ・テは自分を看護してくれたパク・ミンジャ(チェ・ジンシル)と恋に陥る。そんな恋もつかの間、イ・テは本隊への復帰命令で彼女と離れ離れに。激戦の中、イ・テは詩人キム・ヨンと出会い、同族間の争いの虚しいさを吐露。そして長引く戦闘の中、休戦の噂が流れ始める。しかし、北朝鮮からも見捨てられた南部軍は寒さと飢えで窮地に追い込まれる。そして、戦闘の中で落伍したイ・テは討伐軍の捕虜となり、彼の長い戦いの幕が下りる。
軍事政権時代は政府の肝いりで反共映画が作られる事が多かったが、この『南部軍 愛と幻想のパルチザン』は共産主義者を人間的に描いた作品として注目に値する。また、公開された年、韓国映画としては『将軍の息子』に続いて2番目のヒット作となった(ソウル封切り館で324,169人)。
チェ・ジンシルの映画デビュー作。後に歌手兼俳優として活躍するイム・チャンジョンも端役で出演している。撮影監督はユ・ヨンギル。
第11回(1990)青龍賞監督賞・男優主演賞(アン・ソンギ)・男優助演賞(チェ・ミンス)・新人女優賞(チェ・ジンシル)受賞作品。
日本では、2014年に「韓国社会派監督チョン・ジヨン特集」で劇場公開された。
初版:1999/4/8
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