傑作コメディ『トゥー・カップス』のカン・ウソク監督が人気スターのチェ・ミンスとチェ・ジンシルを起用して製作したラブ・コメ。妻に逃げられ、子連れ出勤する羽目になった若い父親の新しい恋を描く。儒教思想の強い韓国においていち早く男の子育てを描いた画期的な作品でもある。
ある日ヒョンジュン(チェ・ミンス)は、赤ん坊の息子サンアの泣き声で目が覚める。妻が書き置きをしていなくなっていたのだ。やむなく勤め先のビデオ会社に子連れ出勤するヒョンジュン。当初は彼と息子のサンアを煙たがっていた事務所の女子社員ヨンジュ(チェ・ジンシル)だが、しかたなくサンアの世話をするうちにサンア、そしてヒョンジュンのことが気になり始める。
1992年の韓国映画興行成績第2位の作品。それまでのメロ映画とは異なり、現代風でハイセンスなストーリーと雰囲気。それに美しい画面が特長。1990年代はひそかなラブ&コメ・ブーム期だったといえるが、この作品は同じ年の興行成績1位『結婚物語』とともに、ラブ&コメ路線のレールを敷いた作品。日本で言えば「トレンディ」ドラマの走りといったところか。
この映画が製作された当時からトップ・スターだったチェ・ミンス、チェ・ジンシルのコミカルで軽妙な演技も秀逸。特にアクション演技を得意とする(ex.『ユリョン』)チェ・ミンスの肩の力の抜けたコミカルな演技は必見。また、チェ・ジンシルは、当初はザーマス系のメガネをかけつんつんしているが、相手を理解するにつれぐんぐん魅力的に美しくなっていく女性を好演している。
1990年代前半から中盤にかけて韓国映画界のヒット・メーカーとして活躍したカン・ウソク監督の出世作。この作品のヒットにより、彼は自分の会社(康祐碩プロ、現、シネマ・サービス)を設立し、翌年傑作コメディ『トゥー・カップス』を生み出す。
この映画の「製作」にクレジットされているカン・ウソク、シン・チョル、ユ・インテクは後に1990年代を代表する製作者となった。また製作室長として後にウノ・フィルムを設立するチャ・スンジェが名を連ねている他、キム・サンジンが助監督を担当している。脚本はキム・ヒョンジュン。
第13回(1992)青龍賞特別賞(キム・ミニョン)、黄金撮影賞監督賞(カン・ウソク)受賞作品。
初版:1998/7/18
最新版:2001/3/9
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