スワッピング(Swapping)を楽しむ夫婦とスワッピングの勧誘を受けた夫婦を通じて、現代夫婦の悩み=夫婦の倦怠や「性」の問題を描いた作品。「姦通」は「犯罪」とみなされる韓国において、スワッピングを題材にした点が話題となったが、韓国では夫婦問題を考える映画というより単なるセックス映画との評も。
ヒョク(キム・ヨンホ)とキョン(アニータ)は、幼稚園に通う息子をかかえる極々平凡な30代の共働き夫婦。ヒョクは久しぶりにキョンとのセックスを楽しもうとするが、妻は「疲れている」とそれを拒む。倦怠期を迎えつつある二人の夫婦生活。そんなある日、ヒョクは「クラブ・バタフライ」からスワッピングを薦める電子メールを受け取る。そしてヒョクは、会社の同僚ウ(ユン・ドンファン)に「夫婦の性の危機」に関する悩みを打ち明けるが、ウは妻のスク(キム・ヒョニ)と「クラブ・バタフライ」でスワッピングを楽しんでいる人物だった。
ファッション界では「キム・ソニョン」という名前で知られるトップ・モデルのアニータがこの映画でスクリーン・デビュー。彼女のあたかもファッション・ショーの舞台に上ったモデルのような華麗な身のこなしが話題に。本作ではじめて主役を演じたキム・ヨンホは、清州大学産業工学科卒で、映画『太陽はない』,『新装開店』,『ユリョン』に助演で出演しているほか、演劇、ミュージカル、テレビ・ドラマでも活躍している男優。ソウル大学宗教学科を卒業し、1992年にMBC21期タレントとしてデビューしたユン・ドンファンは主にテレビ・ドラマで活躍する男優。キム・ヒョニは1997年のミス・コリア出身の女優でテレビ・ドラマ『RNA』にも出演している。
この映画で監督デビューしたキム・ジェスは、ソウル芸術大学映画科を卒業した後、『カンボ』(1986)などの助監督や脚色を担当し、10年以上映画界で下積みをしてきた人物。彼はこの映画で「価値判断以前の純粋な「逸脱」の姿、そして「逸脱」に向かわざるを得ない、または「逸脱」を夢見る現代人の姿を刺激的な映像で表現したかった」という。脚本はアン・ソニョン、脚色はソン・ミノ。撮影はチョン・グァンソク。
デザイナーのハ・ヨンスが、主演陣がほとんど全裸という刺激的なポスターの撮影を演出。また、歌手のチョ・グァヌが主題歌を歌い、ロシア交響楽団モスフィルム・シンフォニー・オーケストラがBGMと伴奏を担当。
劇場公開時は、レイティング審査をパスするために一部の映像を削除したが、ビデオではそれを復活させ「完全版」でリリースされた。なお、日本ではノーカット・オリジナル版で上映される。
1999年映画振興委員会シナリオ公募受賞作。
初版:2001/3/4
最新版:2002/6/27
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