HOME団体概要support シネマコリア!メルマガ登録サイトマッププライバシー・ポリシーお問合せ



サイト内検索 >> powered by Google

■日本で観る
-上映&放映情報
-日本公開作リスト
-DVDリリース予定
-日本発売DVDリスト
■韓国で観る
-上映情報
-週末興行成績
-韓国で映画鑑賞
■その他
-リンク集
-レビュー&リポート
■データベース
-映画の紹介
-監督などの紹介
-俳優の紹介
-興行成績
-大鐘賞
-青龍賞
-その他の映画賞


バタフライ


題名
英題
 
原題
ハングル
バタフライ
The Butterfly
NABI

나비
製作年 2001
時間 106(富川映画祭版)
112(韓国公開版)
111(東京国際映画祭版)
製作
配給
 
 
Dプロダクション
ブエナビスタ・
 インターナショナル・コリア
美路ビジョン
監督 ムン・スンウク
出演 キム・ホジョン
カン・ヘジョン
チャン・ヒョンソン
日本版
Video
DVD
なし

 近未来を舞台にしたSFファンタジー。俳優の内面をえぐりだすことに成功したデジタル・ビデオによる撮影、そして観客に映像酔いをもたらす手持ちカメラによる揺れる画面、「ドグマ95」の影響を感じさせるアート・ムヴィー。『異邦人』でデビューしたムン・スンウク監督の第二作で、脚本も監督が執筆。

 酸性雨で汚染された近未来の韓国のある都市に、忘れたい記憶だけを消し去ってくれる「忘却ウィルス」が存在するという噂が流れ、記憶を消したい人々が噂を聞いて集まってくる。ウィルスのあるところには白い蝶の群れが舞い、ウィルス探しのためのツアーまであるのだ。ドイツからツアーに参加した韓国系ドイツ人アンナ(キム・ホジョン)も辛い過去を持つ女。空港に降り立った彼女は、ウィルス・ガイドのユキ(カン・ヘジョン)、タクシー運転手K(チャン・ヒョンソン)に付き添われてウィルス探しの旅に出る。

 一般にはあまり名前の知られていない二人の女優、キム・ホジョンとカン・ヘジョンの演技が国際映画祭で受賞対象となり話題に。絶妙の疲れきった視線と円熟の表情演技を見せるキム・ホジョンは演劇畑出身の女優。映画は日本上映作では『ほえる犬は噛まない』イ・ソンジェの妻役で出演している。また、溌剌とした演技を披露しているカン・ヘジョン(19)はSBSドラマ『ウンシリ』でヨンチェ役を演じた女優。

 デジタル映画製作会社のDプロダクションが製作費5億ウォンを投入して製作したデジタル映画。6mmデジタル・カメラで撮影し、35mmにキネコしている。映画振興委員会2001年度上半期デジタル長編映画配給支援事業選定作。デジタル・カメラならではのカメラ・ワークが全編を通じて見られる。

 日本の神戸フィルム・コミッションの協力を得て製作された作品。

 第20回(2001)バンクーバー国際映画祭「龍虎(Dragon and Tigers)」コンペ部門、第26回(2001)トロント国際映画祭「コンテンポラリー・ワールド・シネマ」部門、第54回(2001)ロカルノ国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門、第5回(2001)富川国際ファンタスティック映画祭富川チョイス部門、第45回(2001)ロンドン国際映画祭、第20回(2002)サンフランシスコ国際アジア・アメリカ映画祭、第3回全州国際映画祭2002特別上映部門招待作品。第14回(2001)東京国際映画祭シネマ・プリズム部門オープニング作品。

 第5回(2001)富川国際ファンタスティック映画祭主演女優賞(カン・ヘジョン)、第54回(2001)ロカルノ国際映画祭青銅豹賞(最優秀主演女優賞:キム・ホジョン)・若い批評家賞"Environment is quality of life"(ムン・スンウク)、第16回(2002)ワインカントリー国際映画祭(於カリフォルニア)最優秀サウンドデザイン賞・最優秀撮影賞・ガイア(Gaia)環境貢献賞、第2回(2001)釜山映画評論家協会賞審査委員特別賞受賞作品。

 「辛韓国映画祭2003」上映作品。

初版:2001/10/14
最新版:2001/11/13



投稿者:カツヲうどんさん 投稿日:2001/10/27 21:05:42

 ムン・スンウク監督の現時点における集大成であり、ベスト・フィルムともいうべき感動作。

 他の「ドグマ95もどき」の作品とは、明らかに一線を画す。

 フィルム・コンバートされたデジタル・カメラの映像は、ムン監督の持つ卓越した映像コラージュのセンスを、予想を越えて表現しているのみならず、俳優達の情熱溢れる演技を引き出すことに成功している。

 主演のキム・ホジョン(=アンナ)と、カン・ヘジョン(=ユキ)の熱演が醸し出す、女同士の関係は、「性」や「年齢」を越えた人間の強い絆を劇的に訴えかけ、感動的だ。そして二人の演技は、今日の他の韓国映画では絶対見ることの出来ないものである。ここまで自己をさらけ出した二人の女優と、それを導き出すまでに彼女らの信頼を得たスタッフ一同の努力には、惜しみない拍手を送りたい。

 ただ、普遍的な論点に立つと、物語の不明瞭さと脆弱さが観客を大きく選ぶ結果になってしまっている。ソウルの劇場で見ていた時、途中退場する観客が目立ったことが非常に気になった。ムン監督自身、「これは観たい人だけに観てほしい作品」と語っていたが、次回作では作家性と一般性の両立を是非期待したい。

 この映画、最初は出来れば字幕なしで見ていただきたい。なぜなら、これは「感じるドラマ」だからである。

【評価:★★★】



投稿者:SUMさん 投稿日:2003/2/4 23:05:54

 車に乗り前に進もうとすると、必ず現実というトラブルが起きて「車を止めて!」。映画『娼』のバイクのように行く手は平坦でない。

 未来の見えない世界の中の希望は母親から子供へと命が引き継がれるということだけなのか。韓国1980年代ロードムービーと比べると、社会の閉塞を表すキーワードが変わってきたことが明確に感じ取られる。

 キーワードとイメージの積み重ねで映画として成り立たせる発想は素晴らしいし、『異邦人』同様暖かみのあるその視線は未来を感じるが、妙なドラマ性のために「ストーリー」が不自然に全面に出てしまうために設定やストーリーの矛盾を感じさせてしまうという構成力の弱さが残念。もっと不条理劇として徹底していれば。

【評価:★★★】


Copyright © 1998- Cinema Korea, All rights reserved.